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3年目2ndQ (7〜9月)

《目次っぽいもの》
タッグパートナー[WR]団体の思惑[SL]登竜門[SL]商売っ気[WR]高い壁[SL]注釈?



「ヘイ、バンダナしてるマッチョなあたしが、姉のリリィよ」

「そしてロングヘアのキュートな私が、妹のコリィね」

「「2人で、スナイパー・シスターズよ!」」

「うおおっ! 見ろ、祐希子! あれだよ。あれこそ、スナイパー・シスターズだ! 海外プロレス番組で見てたのと同じパフォーマンスだぜ。すげー!」 *1

「いやまあ……いいんだけどね。今からあたしたちが戦う相手だって、忘れてない? 恵理」

7月にAACとの契約満了を迎えたWRERAは、個別契約中のリリィ・スナイパーの古巣でもあるWWCAと、新たに提携を結んだ。 *2
早速派遣されたレスラーは、エミリー・ネルソン、ダイナマイト・リナ。そして最後の一人が、長期休養明けでWWCAに復帰した、リリィの妹のコリィ・スナイパーであった。

リリィとコリィの姉妹タッグ、“スナイパー・シスターズ”は、世界でも指折りの人気と実力を誇るタッグであり、その再結成が日本で見られるとあっては、来島ならずともアメリカンプロレスファンにはたまらない。WRERAの観客も、熱い視線を二人に注いだ。

ただ、そうなると、その注目を快く思わない選手も出てくるもので……

市ヶ谷

「納っっっ得、いきませんわ!! 今日の主役は私ですのよ? それをあんな大味姉妹などに……こうなったら、いっそ乱入して、試合をぶち壊してさしあげますわ!」

「落ち着いてください、市ヶ谷さん。次の試合──葉月さんとの防衛戦に響きますよ」

「桜井さん! あなた、私とあの大味姉妹と、どちらの味方ですの!?」

「どちらの味方でもありません。ただ、葉月さんからは頼まれたんです。『ベストでやりあいたいから、あのお嬢が変なことしないよう、見張っといてくれ』と」

「くっ……。まあ、よろしいですわ! あの姉妹も祐希子たちも所詮は前座。AACタッグ王者でもある私と葉月さんとのタイトルマッチが始まれば、観客は皆、前座の試合のことなど忘れてしまいますわね!」

「興味ないし」の一言で、今まではシングルベルトへの挑戦を避けてきた六角葉月だったが、ノンタイトル戦でチョチョカラス、市ヶ谷、祐希子らを相手に連勝を重ねたこともあって、タイトル挑戦を期待する周囲の声が高まっていた。 *3

その声を無視できなくなったWRERAの社長が説得に乗り出し、ついに市ヶ谷の持つAAC世界ヘビー級王座への挑戦が決定したのだった。 AAC

「オーッホッホッホ! 昨日の友は今日の敵。タッグパートナーで先輩だからって、ひとかけらも容赦しませんわよ!」

「やれやれ。ま、期待させてもらうよ?」

市ヶ谷は先輩だからといって遠慮も様子見もしない選手だ。序盤から積極的に打って出るが、そこを豊富な経験で凌いだ葉月は、やがて自分のペース──関節地獄に市ヶ谷を引きずり込む。

「大丈夫かい? ちょこっと痛いぜ?」

「くうっ……こんな!?」

圧倒されながらも、何とかロープブレイクの連続で凌ぐ市ヶ谷に風が吹いたのは、地味な展開に観客の反応を気にした葉月が、仕切りなおしと間合いを取った時だった。

「ここですわ!!」

柔道女王ならではのキレのある裏投げから、勝負をひっくり返すビューティボム。それだけで屈する葉月ではないが、一度調子に乗った市ヶ谷はもう止まらない。

市ヶ谷 シャイニングウィザード、DDT、そして再度の裏投げに繋げ、市ヶ谷は格上の葉月から、辛くもタイトルを守りぬいた。 *4

「オーッホッホッホッホ! 常勝街道まっしぐらですわ!」




7月に入り、EWAは早くもトップレスラーであるナスターシャ・ハンとドリュー・クライを、二つの条件付きでスレイヤー・レスリングに派遣してきた。 *5 GWA-T

その条件とは、ブレード上原とサンダー龍子が持つGWAタッグ王座への挑戦権と、それに勝った場合、上原の持つスレイヤー無差別級王座への挑戦権も与えること。

社長から判断を任された秘書の井上は、EWAの申し出をこちらも一つの条件付きで受諾する。

即ち、上原&龍子組が勝った場合、ハンの持つEWA認定世界王座に龍子を挑戦させること。

双方の団体の思惑を乗せたGWAタッグ王座戦は、ナスターシャ・ハンの決め技・STFで上原がギブアップ寸前に追い込まれるピンチもあったが、最後は龍子のプラズマサンダーボムがハンに炸裂。

「相手団体のシングル王座」への挑戦権を得たのは、スレイヤーのサンダー龍子の方であった。 *6

「なるほど……言うだけのことはあるわね。いいでしょう、リュウコ。あなたの挑戦、受けてあげます。このナスターシャ・ハンの持つ、EWA世界王座のベルトを賭けて……!」




《GWA王座を逃したあの日から、はや9ヶ月。今日、サンダー龍子が、もう一度世界の頂点に挑みます! その相手はヨーロピアンスタイルの女帝、関節の女王、ナスターシャ・ハン!》

EWA

「──社長。この試合に龍子選手が勝てば……」

「うむ。晴れて、上原くんのベルトに挑戦させる。本人もそれを目標に気合いを入れているようだし、今日は勝ってくれるだろう」

「もし、負けるようなことがあれば?」

「わかっているだろう、井上くん? 全体の方針は変わらんよ。ただ、次代のエース役は、サンダー龍子からRIKKAという名に変わるかもしれんな」

8月シリーズ最終戦、再試験にして密かに最終試験として位置づけられたEWAタイトルマッチを迎えたサンダー龍子。 *7

サンボを極めたとうたわれる王者・ハンは、関節技だけでなく投げや打撃も強い。しかし、龍子にとってローズ・ヒューイットほど相性の悪い相手ではなかった。
それであれば、実力と運、そして勝負への執念が明暗を分ける。

「龍の逆鱗に……触れたようだね!」

リング中央でSTFを食らうという危ない場面もあったが、それでギアの上がった龍子は、もはや国内最強と称されるパワーと、ハンが苦手とするスピード・跳躍系の技で相手を翻弄。最後はパイルドライバーでダウンさせたところにギロチンドロップを投下し、念願のシングルタイトルをその手に収めた。 *8
龍子

「上原さん、社長……これで文句ないよな? 次のシリーズ、スレイヤー無差別級王座に、このサンダー龍子が挑戦させてもらうよ!」

勝ってなお満足しない龍子の宣言に観客は歓声をもって応え、社長も満足げな、そして上原は不敵な笑みを、それぞれの顔に浮かべた。 *9




9月。WRERA女子プロレスの社長は、重い表情で一人の選手を事務室に呼んだ。 *10

「桜井、その……今月も、お前をCMに起用したいという企業がだな……」 桜井

「先月と同じく、お断りしてもらえますか?」

「わ、わかった。ところでだ、お前のCDを出したいというレコード会社がだな……」

「私は人気者になりたいのではなく、強くなりたいのですが」

「わ、わかった。ところでだ、お前の写真集を出したいという出版社がだな……」

「冗談も程々にしてください!」

──決して冗談ではなかったが、こうなることが分かっていた社長は、心の中で特大のため息をついた。

デビュー間もない越後のような選手を除き、WRERAもメディアへの選手の露出をそれなりに認めているが、最終的には選手の意思に任されている。
選手の側は、積極的かそうでないかの違いこそあれ、往々にして快く応じているのだが、唯一、ほぼ全てのオファーを即座に断っているのが桜井千里だった。 *11

「桜井選手に怒られるのがお嫌なら、社長があらかじめお断りなさればいいじゃないですか」

「……基本的には、そうしているんだよ」

社長は、秘書の霧子が持ってきてくれた紅茶に口をつけた。給湯室に常備してあるティバッグものだが、今は味よりも人心地だ。

「ただ、できれば少しだけでも受けてほしくてね。あまり断り続けると彼女の評判にもマイナスだし、スポンサーの機嫌を損ねれば、他の選手にも悪影響が出る。好き嫌いは別として、こういうのもレスラーの仕事だと知っておくのは、損じゃないと思うんだが……」

「それに、人気低下やスポンサー離れは、会社の収益にもかかわりますものね」

「……そうか。そうだな。そういう理由もあるな」

「社長。社長は経営者なのですから、そういう理由をまず第一に考えるべきでは?」

「うん……その通りだ。気をつけるよ」

まったくこの人は、と呆れる霧子だったが、その口元に浮かんだ笑みは、どこか暖かいものであった。




《ついに……ついにと言っていいでしょう! ついに実現した待望のカード、スレイヤー無差別級王座選手権、ブレード上原VSサンダー龍子! ここ大阪城アリーナを埋め尽くした15,750人の観客は、早くも凄まじい熱気をリングに注いでおります!》 *12 スレイヤー

「今日は勝たせてもらうよ。……いや、今日で越えさせてもらうよ。上原さん!」

「そういう気概は嫌いじゃないね。でも、私のセリフは一年前と一緒さ。──私に勝てるって、本気で思ってるの?」 *13

《おーっと、レフェリーの注意説明の間に、リング中央で二人が睨みあい、激しく火花を散らしております! このスレイヤーでは、あまり見られない光景ですが、まさに一触即発! どちらもゴングが待ちきれないといった様子です!》

そして、一旦コーナーに別れてから、大歓声の中でゴングが鳴ると、龍子が一気に飛び出して上原に迫った。

「なっ!?」

「遅いっ!!」

体格、体力、そしてパワーは龍子が勝る。スタミナ配分を考えない挑戦者ならではの戦い方に、上原は序盤、防戦一方に追い込まれた。

「調子に乗るんじゃ……ないよ!」

上原の必殺レパートリーの一つ、ドラゴンスープレックスが龍子を捉える。しかし、龍子はカウント2で跳ね除けると、プラズマサンダーボムを警戒する上原の裏をかいて、パイルドライバーで上原の意識を飛ばしにかかった。 *14
カウントは2.8。何とか返した上原の息は荒い。

「一気に、決めさせてもらう!」

「いいや……」

龍子の片エビ固めを何とかロープブレイクで凌いだが、もう後がない──そう思われた上原の呼吸が、その時、スッと落ち着いた。 上原

「遊びは、もう終わりさ……!」

何かが変わった、そう龍子が考える暇さえ与えない、再びのドラゴンスープレックス。
そして続けざまのフランケンシュタイナーに龍子の額が切れ、鮮血が飛んでも、上原の攻めは止まらない。

「かわいそうだけど……覚悟するのね!」

ロープ際での619、タランチュラというねちっこい攻めに、たまらず中央に逃げたところを、非情なまでのフランケンシュタイナーがもう一度龍子を襲い──

龍子が意識を取り戻した時には、すでに3つめのカウントが数えられていた。
ブレード上原、2度目の防衛戦勝利。 *15

「いい試合だった。そのことは観客の声援が証明してるだろ?」

手を差し出す上原のセリフも、今の龍子には慰めにはならなかった…… *16




*1スナイパーズのセリフはVシリーズより拝借。来島さんはリリィとライバルフラグ立ってる設定ですが、こういう時はただのファンに戻ってしまうだろうということで。
*27月のWRERAは、AACとグレース・ハンとの契約が終了。WWCAと提携しましたが、カオス登場の団体評価10000にはまだ届いていなかったりします。また、六角に特撮映画の打診もありました(お断り)。
*34月に25歳になってから、さらに成長を遂げる六角。何とここへきて評価値で理沙子、上原に追いつきました
…「地味」が効いて人気はCですけど。
*424分36秒、裏投げで市ヶ谷の勝利。六角の極め技連発で体力ゼロになった時は負けを覚悟したのですが、ロープ際ではほとんどギブアップしない今回は、全部ロープブレイクで凌げてしまいました。ホントに関節技不遇です。
*57月、スレイヤーの興行にハンとクライ(2P)が参戦。その他のイベントはありませんでしたが、ついに上原さんに能力下降の青文字が出始めてしまいました。
*619分31秒、プラズマサンダーボムで王者組の勝利。全体的に王者組有利でしたが、リング中央で必殺STFが決まったときは、さすがに上原の負けかと思いました。龍子のカットが無ければ、本当に終わっていたかもです。
*7ヒューイットに勝てなかった龍子を、上原の団体ベルトにそう簡単に挑戦させたくなかったのは確かです。
*8EWAタイトルマッチは、16分31秒、ギロチンドロップで龍子の勝利。
飛防が4と低いハンは、攻9の龍子でも+5。ハンはパ防も高くはないので、かなり優位に戦えました。
*98月のスレイヤーは、化粧品ゴケイドーのスポンサー(フレイア)、フレイアFC、真田FC、森嶋FC、東京にグッズショップ設立、龍子CD(結果は「かなり」)、そしてフレイアの新女殴りこみ、と他にもいろいろありました。
フレイアは新女で理沙子とも激突。さすがに、まだ勝てませんでした。
*108月のWRERAは、AACタッグ海外防衛戦(結果は凱旋)、食品スポンサー(ゆっこ)、ゆっこ冒険映画(お断り)、堀ホラー映画(お断り)、桜井CM(お断り)、堀のAACジュニア6回目防衛(ダイナマイト・リナ戦)がありました。宿舎もレベル2にしてます。
9月は、桜井のCM、CD、写真集(いずれもお断り)、市ヶ谷の誕生日イベント、がありました。
*11CM、CD、写真集などはOKするとしばらくオファーが来なくなるのですが、断り続けている桜井は結構連続して来ます。この9月は三つもオファーが。
桜井についてだけ軒並み断っているのは、受けると嫌そうな反応をするから遠慮しているのと、初回プレイ(ANGE女子)で十分にイベントを見ているからです。
*12既に、10000〜15000席は安定して札止めできるようになってきているスレイヤー。
そろそろ、ドームへの色気が出てくる頃ですが、他団体との競合もあってシェアはまだ安定せず、です。
*132年目1Q、または妄想補完その6をご参照。
*14龍子の必殺技をパイルドライバー(難易度7)とプラズマサンダーボム(難易度9)の二本立てにしちゃっていたせいで、COMはパイルドライバーの方を使ってくれます。ったくもう。
*1517分15秒、フランケンシュタイナーで上原の勝利。
終盤、体力を10%程度まで削られた上原に、必殺カードが二連続。絵に描いたような「逆転勝利」でした。
*169月のスレイヤーは、上原FC、龍子FC、桜崎FC、石川CD(結果は「かなり」ヒット)、フレイアの日本海女子殴りこみ、もありました。
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