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3年目1stQ (4〜6月)

《目次っぽいもの》
最凶お嬢様伝説[WR]くの一ここにあり[SL]王者の資格[WR]二人は親友[SL]注釈?



「オーッホッホッホ! ズン胴な鴨がネギとベルトを背負ってやってきましたわね。せいぜいもう一度ケガなさらないよう、気をつけることですわ!」 *1

「なに言ってんのよ、このホラ吹き高飛車ワガママ女! あんたなんかに、ベルトはもちろんネギ一切れだってくれてやるもんですか!」

AAC

本拠地・札幌のキター!!アリーナで行なわれた、WRERAの4月シリーズ最終戦。
集まった観客は団体新記録となる9,450人。その最大のお目当ては、自他共に認める犬猿にして水と油の二人・マイティ祐希子とビューティ市ヶ谷による、AAC世界ヘビータイトルマッチだった。

「いっくよーっ!」

ゴングと同時に飛び出し、積極的に攻める祐希子。だが、完治したはずの怪我の影響が残っているのか、そのスピードにはいつものキレがない。
目が慣れてきた辺りから、たやすく市ヶ谷に捕まって、二度、三度、四度、とDDTを連発で食らう。 *2

「口ほどにもないですわね……これでおしまいですわ!」

トドメとばかりの必殺・ビューティボム。それは何とかカウント2.9で返した祐希子であったが、立ち上がったところに、この上なく綺麗に決まった裏拳。
意識を断ち切られた祐希子は、そのまま敗北の3カウントと、ベルトを巻いた天敵・市ヶ谷の高笑いを聞くことになってしまったのである……。 *3

「負け犬はそうやって、マットに這いつくばっているのがお似合いですわ。オーッホッホッホ!」




4月のスレイヤー・レスリングは、ブレード上原とサンダー龍子がGWAタッグ王座防衛戦のため、GWAのお膝元・カナダへ遠征。
団体のNo.1とNo.2を欠くことになった4月巡業は、否応なしに集客力低下が予想され、社長と秘書・井上の頭を悩ますことになった。

「タイミングが悪いとはこのことだな、井上くん。今月からプライムタイムのTV放送が始まるというのに、いきなりのエース不在とは」 *4

「GWAタッグ戦の予告や現地映像を入れてもらえるよう、お願いはしていますが──あとはやはり、目玉としてローズ・ヒューイットとのGWA王座戦を組むことでしょう」

「といっても、かませ犬では客も盛り上がるまい。誰を当てるつもりかね?」

「RIKKA選手がよろしいでしょう。龍子選手ほどヒューイットを苦手としておりませんので、興醒めな試合にはならないはずです。あわよくば、番狂わせもあり得るかと……」

上原、龍子に続く、団体No.3のRIKKA。
総合力は龍子に及ばないが、甲陽流忍術を体得しているというスピードや体術は、目の肥えたファンからも評価が高かった。

それでも、ローズ・ヒューイットに勝てる力はまだ無い。一方的な試合にならなければいいが──という下馬評は、試合が始まると良い意味で裏切られた。
GWA

「…………いざ、参る……!」

序盤こそローズのパワーに押されるRIKKAだったが、嵩(かさ)にかかって攻めに来たところを忍びの冷静な眼で見極め、トラースキックをカウンターで炸裂させる。

「…………隙あり……!」

すかさずコーナーポストに上ったRIKKAが繰り出すのは、彼女の十八番・無明蹴。
並みのミサイルキックとは難度も威力も華麗さも違う、くの一ならではの大技が決まり、勝利を期待する歓声が会場に溢れる。しかし──

「私こそ最高、そして最強の存在!」

これも王者の意地か。フライングニールキック、のど輪落とし、そして先ほどのお返しと言わんばかりのトラースキックに、RIKKAの身体はマットに崩れ落ちた。

「…………む、無念……」

16分57秒、チャンピオンの怒涛のラッシュの前に屈したRIKKAだったが、その戦いぶりには会場から大きな拍手が送られた。 *5

翌月、この月の戦いぶりが評価されたRIKKAは、ブレード上原のスレイヤー無差別級王座初防衛戦の相手として指名されることになる。 *6
結局は、こちらも力及ばず敗れたとはいえ、ファンの間でも団体内でも、RIKKAの評価は間違いなく高まったのである。 *7




「ふえ?」

呼びかけにカレーのスプーンを口に入れたまま振り向いた親友・祐希子の姿に、来島は大きくため息をついた。

「ちょっとちょっと、恵理さん。人の顔見てため息なんて、随分と失礼じゃない?」

「あ、悪りぃ。なんか、いつも通りで拍子抜けしちまってよ」 来島

「いつも通りじゃないわよ。今日はキーマカレーだもん」

「そうじゃねえって。この一ヶ月、お前がいつ爆発するか、寮長や霧子さんとビクビクしてたんだけどさ。平然としてるのがちょっと不思議でな」

「爆発って……人を不発弾みたいに。何が不思議なのよ?」

「いや、他の相手ならともかく、あの市ヶ谷に負けてAAC世界ヘビー取られたわけだろ? お前のことだから、てっきり大荒れして乱闘したりヤケ食いしたりした挙句、社長にリベンジマッチを直談判しにいくはずだと思ってたんだが……」

「……恵理があたしのことを、どー思ってるか、よくわかったわよ。言っとくけど、あたしだってすっごく悔しいんだからねっ」

「それにしちゃ、あっけらかんとしてねーか?」

「──そりゃあね。市ヶ谷のヤツに負けたのは悔しいわよ。でも今回は、あいつが強かったっていうより、あたしが弱かったの。そう思うんだ」

「お前にしちゃ弱気だな。自分にはチャンピオンの資格が無い、てことか?」

「うーん。ちょっと違うかな。
誰かが言ってたわ。『ベルトってのは、特に世界王座なんてのは、それに相応しくない奴の腰には絶対に巻かれない』って。
チョチョカラスに勝った時のあたしには、ベルトを取るだけの力と資格があったはず。──でも、ベルトを持ち続けるだけの力や資格は、あたしにはまだ無かったのよ」 *8 ゆっこ

珍しく饒舌に語る祐希子。カレーが冷めるのも忘れて遠くを見るその表情に、来島も黙って耳を傾けた。

「だから、今はベルトを奪い返すのが先じゃない。もっと練習して試合して、強くなることが先。そうすれば、今度は市ヶ谷なんかに負けないはずだし、ね」

あの市ヶ谷にもベルトを取る力と資格があるって認めるのは、かなりシャクなんだけど──と付け加えて、祐希子は思い出したかのようにカレーをすくった。口に運ぶと、笑顔がこぼれる。
それを見ていた来島も、つられたかのように苦笑した。

「ま、その辺はやっぱり祐希子だな。安心したぜ。ただ、今の話だと、社長の提案もお断りってことだよなあ」

「社長の? どんな話?」

「葉月さんと市ヶ谷のAAC世界タッグへの挑戦だよ。俺と祐希子でどうだってな。 社長は、祐希子対市ヶ谷の第二ラウンドってことで客も喜ぶだろう、て言ってたんだが、今の話じゃ仕方ねえか。社長には俺から謝って──うわぁっ!?」

その場に叫び声だけ残して、来島の身体はもの凄い勢いで引き摺られた。
目を白黒させた来島の服を掴んでいるのは、もちろん祐希子だ。

「恵理と組んでAACタッグ挑戦なんて、社長もイキな試合組んでくれるわね! よおっし、燃えてきたあ! 絶対ベルト取るわよ、恵理! 市ヶ谷の奴もボロボロにしてやる!」

「ちょ、ちょっと待てえ! ベルトよりも強さじゃなかったのかよ!?」

「あれはシングル。こっちはタッグ! カレーと一緒で、別腹よ!」

「カレーは別腹じゃねえ!」

WRERA 5月興行の締めとして行なわれた AAC世界タッグタイトルマッチは、王者組の市ヶ谷と挑戦者組の来島がともに流血するハードな熱戦となったが、祐希子が場外で市ヶ谷と乱闘を繰り広げる中、最後は葉月が来島をチキンWフェイスロックでタップアウト。
王者組が初防衛戦を勝利で飾った。 *9

以下は、試合後の挑戦者組コメント。 *10

「えへへ、ついつい市ヶ谷ボコるのに夢中になっちゃって。ごめんね、恵理?」

「えーと。やっぱ、ベルト狙うより、まずは強くなるのが大切ってことで……練習してくる」




「龍子〜っ♪」

「うわっ!?」

暗い道でいきなり後ろから抱きすくめられ、龍子は反射的に巻かれた腕を押さえて肘を繰り出そうとし──声の主に思い当たって途中で止めた。

「わ、待って。私、私だよ〜」

という、慌てている割にはまだのんびりとした口調で相手を確信した龍子は、苦笑いを浮かべて肩越しに振り向いた。

「お帰り、石川」

「えへっ。ただいま、龍子」

6月。ワールド女子の巡業に参加していた石川にとって、神戸に戻ってきたところで偶然出会った親友・龍子とは、約一ヶ月ぶりの再会だった。 *11
石川 龍子

「ねえ、本当にいいの? おごってもらっちゃって」

「肉うどんとお酒くらい、いいよ。遅くなったけど、誕生日祝いさ。それと──」 *12

「はいはい。今出すから、慌てないでね〜」

石川が大きなバッグを開けると、こじんまりした定食屋にはおよそ似つかわしくないものが、その姿を現した。
石川は、誇らしげにそれを掲げてみせる。

「じゃーん! これが、WWPAチャンピオンベルトでーす!」

ワールド女子の興行で、石川は団体の象徴・WWPAヘビー級ベルトを賭けてのタイトルマッチに挑むチャンスを得た。
相手は、ワールド女子のエース、“カラミティ・クィーン”こと十六夜美響。

ワールド女子にしてみれば、「殴りこみ」という形で興行を盛り上げてくれた石川へのサービスマッチの意味合いが強く、十六夜が敗れるとは考えていなかったのだろう。
WWPA
だとすれば、石川はその期待を大きく裏切ったことになる。

同じパワーファイターによる勝負は、終始十六夜のペースで進んだが、決め技・災厄降臨の不発もあり、38分07秒の白熱した試合は、石川のまさかの逆転勝利で幕を閉じたのである。 *13

「おめでとう、石川。大したもんだよ。シングルじゃ、先を越されちまったね」

ブレード上原とともにGWAタッグ王座を堅持する龍子ではあったが、シングルでは未だ無冠。 *14
親友とはいえ、シングルのベルトを先に腰に巻いた石川に対し、うらやましいという想いも確かにあった。

「挑戦者には、私も立候補させてもらうよ。できれば、来月にでも。いいよな?」

龍子はわずかながらの本気を冗談に紛らわせて、石川への挑戦を表明した。しかし。

「あははは。それは、ダメだよ〜。龍子はもっと上を狙わなきゃ」

「上?」

「そ。世界のベルトとか、上原さんのベルトとか。いい、龍子? 私なんかのベルトを取り上げて喜んじゃダメなんだからね。ベルトにもレスラーにも、権威ってものがあるんだから。それを無視したら、バチがあたるよ?」

「……ワールドさんに失礼だろ、それ」




*13月のゆっこの負傷は、4月に完治。4月のWRERAは、特に他のイベントは無しです。
*2「全力でチャンピオン側を操作する」という自分ルールで、ゆっこを操作してたのですが、序盤から飛カードが全然来ない上に、中盤から市ヶ谷のDDT四連発。さらに必殺カードって……とにかく凶悪でした
*317分01秒、裏拳で市ヶ谷の勝利。
「ゆっこには、このままチャンピオンロードを歩んでもらおうか…」なんていうプレイヤーの思いを粉々に打ち砕く市ヶ谷様。アングルもブックも(もともと無いですけど)、とことん無視してくれる素敵さです。
*44月のスレイヤーは、プライムタイムTV契約、桜崎FC、フレイアCM、桜崎のプライベートイベントもありました。
さすが18歳で登場の桜崎、イベント発生 (18歳以上が条件の一つ) もかなり早かった感じです。
*516分57秒、トラースキックでRIKKAの敗北。
評価値差が150はある状況で、勝ちを意識するほどの善戦。よく頑張ってくれました。
*65月のイベントとしては、RIKKAの一日署長、上原写真集(結果は「かなり」の売れ行き)、そして、初の殴りこみで石川が日本海女子に。
石川はガルムとのメイン戦に抜擢されるも、さすがにまだ力及ばず。
*75月のスレイヤー無差別級防衛戦は、20分43秒、延髄斬りで上原が防衛成功。楽勝ペースだったのですが、上原さんのミサイルキックがことごとくはたき落とされたので時間がかかりました。
*8V3」の龍子さんのお言葉を拝借してます。パラレルワールド?
*9AACタッグ王座選手権は、28分30秒、チキンWフェイスロックで六角&市ヶ谷組が防衛。
来島は体力10%以上残ってましたが、六角の技であえなくギブアップ。まあ、六角VS来島は六角の極が+10ですしね…
*105月のWRERAは、ゆっこ一日署長(お断り)、来島の写真集(結果は「かなり」の売れ行き)、プライムタイムのTV契約。
そして、5度目となる堀のAACジュニア防衛戦(19分12秒、グレース・ハンからノーザンライトSで勝利)もありました。
*116月のスレイヤーは、GWA&バニー・ボンバーが契約満了。代わりにEWAと提携しています。日本海女子から返礼殴りこみもありました(朝比奈、中森、真帆)。
WRERAでは、六角CD(結果は「それなり」)、来島の一日署長、越後のデビュー、六角のプライベートイベントその2、が。
*12SP」のおまけディスクによると、龍子さんの好物は肉うどん。石川はお酒。6月に二十歳になった石川はお酒も解禁?
ちなみに、SPだと石川の出身は岩手県になってます。(サバイバー2では石川県。)
*13WWPAヘビー級タイトルマッチは、38分07秒、スクラップバスターで石川の勝利。評価値は十六夜がかなり上でしたが、十六夜に必殺カードが来なかったのが大きいです。石川には災厄が通じなかった?
*14GWAとの提携終了により、龍子はヒューイットに勝ち逃げされた形になってます。龍子さん無念。
果たしてリベンジの機会は訪れるのでしょうか。
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