7年目3rdQ P1 へ ←  リプレイトップへ  → 7年目3rdQ P3 へ


7年目3rdQ (10〜12月) Part2 〜 市ヶ谷の変・龍子の乱 (2) 〜

《目次っぽいもの》
市ヶ谷の変・龍子の乱:龍子無双立ち塞がる者復活のアノ人[SL,WR] − 注釈?



《これは女子プロレス界の川中島か、はたまた大阪夏の陣か!?
寄せ手はたった一人、しかしその一人こそ“動くこと雷霆の如し”、サンダー龍子!!
既にビューティ市ヶ谷を討ち取りし猛将の苛烈なる攻めに、WRERAの城はどこまで持ちこたえることができるのかっ?
第一の矢倉を守るは、WWCAが誇りし黒き混沌・ダークスターカオスです!》

失踪した市ヶ谷を欠いて始まった WRERAの11月シリーズは、初日からダークスターカオス VS サンダー龍子の WWCA世界王座戦が組まれるという、異例の構成となった。

さらに第三戦には、ボンバー来島 VS サンダー龍子の TWWA世界王座戦。
第四戦には、桜井千里 VS サンダー龍子の IWWF世界王座戦。
そして最終第六戦には、マイティ祐希子 VS サンダー龍子の NA世界王座戦が組まれた。

龍子の実力を以ってすれば、シングル六冠──自ら返上を公言しているため一時的にはなるが──の王者となる可能性すら、大いにありえる話だったのである。 *1a

無論、カオスを始めとする誰一人として、易々と世界王座を譲り渡すような気概と実力の持ち主では無かったのだが……。

「くそっ……くそぉっ……ちくしょおっっ!!」

「──さすがだったね、ボンバー来島。 危なかったよ。
ウチの森嶋とあんたの戦い、あれを見てなかったら、負けてたのは私だったね……」 *2a

WWCA TWWA

15分45秒、延髄斬りでダークスターカオスを破り、WWCA王座を奪取。 *3a
21分47秒、ドラゴンカベルナリアでボンバー来島に辛勝、TWWA王座を奪取。 *4a

WRERAと“世界王座”を愚弄するかのようなサンダー龍子の言動に嘲りとブーイングを投げかけていた WRERAのファンたちも、瞬く間に三の丸まで陥された事実を目の当たりにしては、もはや沈黙せざるをえない。

それでもなおベルトと団体の沽券の防衛を信じる者たちは、次に龍子を迎え撃つ千里に、その想いを託すしかなかった。




「ベルトや団体を守る……そんな気構えで戦うつもりはありません。
だからといって、挑戦者のつもりで戦うわけでもありません。
ただ、目の前に立ち塞がる敵を倒すのみ──私にできるのは、それだけです」

IWWF

IWWF王座戦、桜井千里 VS サンダー龍子。

両者の直接対決は、二年前にただ一度きり。
祐希子の NA王座を狙って現れた龍子の前に、千里は成す術なく葬り去られている。

今の状況は、その時と酷似していた。
だが、千里もその時の千里のままではない。

「この二年間の成果、出し切ってみせる!」

仕掛けたのは千里の方だった。

ロックアップから離れたところで早くも必殺のハイキックをノーモーションから打ち放ち、大きくよろめく龍子に、エルボーから投げへと繋ぐコンビネーションまで決めきった。

「こんなものですか? サンダー龍子という選手の力は!?」

「挑発かい? そういうのには乗ってやることにしてるんでね。
──私がどんなもんか、見せてやるよ!」

二年前よりも強くなっているのは、サンダー龍子も同じだった。

火花が散るようなヘッドバットから、持ち上げてのストレッチマフラー。
そして伝家の宝刀・プラズマサンダーボムが、千里が肺に溜めた空気を根こそぎ吐き出させた。

「どうした! あんたの方こそ、こんなもんか!?」

「その答えは……結果で示します!」

正面からぶつかり合う二人の攻防は、文字通りの一進一退。
張り詰めた均衡をどちらが破るのか、固唾を呑んで待ち構える観客たち。

その瞬間は、いきなりやってきた。

「雷神の鉄槌を──食らうがいい!」

山札から二枚目の切り札を引いたのは、龍子。
再びリングを荒れ狂うプラズマサンダーボムの雷は、カウント2.8まで千里の肩をつけるにとどまったが、さらに龍子はグラウンドのまま千里のバックを取った。

ドラゴンカベルナリア。
あの市ヶ谷と来島を続けて屈辱に塗れさせた脱出困難な関節の妙技に千里を捕らえ、龍子は勝ちを確信した。
──すぐさまレフェリーから、ロープブレイクの声がかかるまでは。

「なにっ!?」

それはまさに千慮の一失。
プラズマサンダーボムを受けてからカベルナリアに絡め取られるまでのわずかな間に、千里は巧みに位置をずらしてロープ際へと龍子を誘導していた。
そのことに龍子は気付けなかったのだ。 *1b

「勝負を焦りすぎましたね、サンダー龍子!」

ショックを引きずったまま立ち上がる龍子のボディを、千里渾身のミドルキックの衝撃が続けざまに二発突き抜ける。

さらに、のめった身体に打ち放たれるハイキック──それが、千里に勝利をもたらす最後のピースとなった。
桜井

「この団体、ここには、私より強い人がいる。
……だから、私はあなたに勝てたんです」

IWWF世界ヘビー級選手権は、22分45秒、王者・桜井千里が六度目の防衛。

会場中の拍手と喝采が千里に集まる中、この日の興行は WRERAにとっての大団円で終わりを迎えようとしていたのだが……。

「オーッホッホッホ! あなたよりも強い人、それは私のことですわね? 千里さんっ!」 *2b

《──い、市ヶ谷だ! ビューティ市ヶ谷です!
自分勝手にサンダー龍子に挑んで返り討ちにあい、ショックで失踪していた市ヶ谷!
今月のこの混乱を引き起こした張本人が、臆面も無くその姿を会場に現しましたぁっ!》

「……な、なんですの、その解説はっ!?
ちょっとそこのアナウンサー! ふざけたことをおっしゃると承知しませんわよ!」




「思えば……この私が負け犬女のサンダー龍子ごときに何度も敗れるというのが、そもそも不可思議なまでの不条理だったのです。
そこに天変地異的な凶兆、世界規模の危機の予兆を感じ取った私は、世界の平和を守るべく、各宗派の大僧正を集めて加持祈祷させていただけですのよ!
断っっじて、ショックで失踪だの雲隠れだのをしていたわけではありませんわよ、葉月さん!」

「へいへい。 それはもう、何度も聞いてわかったから。
だからって、私ゃとカオスを巻き込んで AACタッグ戦でリベンジ狙うこともないっしょ?
ったく、今回はさすがに迷惑な話だねぇ」

AAC-T

計算か偶然かはともかく、龍子が一敗地にまみれたタイミングで復活を果たした市ヶ谷。 *1c

彼女は復帰早々に相変わらずの強引さを発揮して、無理矢理第五戦のカードを変更。
自分と葉月の持つ AAC世界タッグ王座に龍子をカオスと組ませて挑ませるという、勝手極まりない試合をメインに持ってきてしまったのである。 *2c

「ホント、あんたも大変だねぇ、カオス。 ま、お互いプロだ。 やるからには全力だよ!」

「当たり前だ。 敵に回すと厄介なリュウコだからこそ、味方にすれば心強い。 そのベルト、今度こそいただくとするぞ」

「オーッホッホッホ! いいですわね、龍子? 最終戦は私との AAC王座戦ですわよ!」

「この試合であんたらが勝てばだろ? 最終戦、私は祐希子の NA王座を奪うんだ。 これ以上、あんたの勝手に振り回されてたまるか、だよ!」

初タッグで相性も良いとは言えないが、個々の実力は全く疑う余地のない挑戦者組。

熱い試合は、場外乱闘が多発するいささか荒れた展開となったが、最後はビューティボムから STOへと畳み掛けた市ヶ谷が、値千金のフォールを龍子から奪って決着。 *3c
タッグ王座を守り抜くとともに、龍子への借りを少しばかりは返した市ヶ谷であった。

「あーら、祈祷の効果が早くも顕れたようですわね!
約束通り、最終日は AAC王座戦。 ベルトを返上するなどとバチ当たりなことをおっしゃっている罪深き女から、この私がベルトを奪い返してさしあげますわ!」

……と、市ヶ谷が意気込んで臨んだ AAC世界ヘビー級王座戦は、しかし、25分05秒のブレーンバスターで、王者・サンダー龍子が勝利。

市ヶ谷は、AAC王座を奪回できなかったばかりか、またもシングルでの対龍子連敗記録を伸ばすことになってしまったのである。 *4c

「納っっっ得いきませんわ!
こうなったら、今度は大司教と大教皇と大宮司を集めてお祓いですわよ、社長!」

「……いやまあ、あのな、市ヶ谷。
お祓いだろうと何だろうと勝手にやってくれていい。 それは構わん。
ただ、頼む。 本当に頼むから、ベルトや会社や他の選手や他の団体まで巻き込むのは、勘弁してくれんかなぁ……?」




ページトップへ
■ 注釈(?) ■
*1a既に持つスレイヤー無差別級、AACに加え、WWCA、TWWA、IWWF、NAで六冠。こんな王者になったら、年四回の遠征戦だけでも大変ですが…
*2a森嶋vs来島は6年目4Qなどで簡単な説明のみ。
体力を充分に残しての関節技ギブアップ負けが定番となりつつある来島さんです。
*3aカオスのナックルで流血するも、必カードのパワーボムを受けで止めるなど終始龍子がコントロールして、体力60%を残しての勝利でした。
*4a体力30%vs100%まで来島が追い込まれてから、必カードのナパームラリアットなどで反撃して逆転。
勝てると思った試合だったのですが…
市ヶ谷の時といい、かけられると移動ができないドラゴンカベルナリアは脅威。 関節技弱体のサバイバー2ですが、これとロメロは強すぎです。
*1b単にロープ際で技をかけられたので、ロープブレイクできただけですけども。
来島戦の敗退が頭に残りドラゴンカベルナリアが怖かったので、ロープ際を意識して試合を進めていました。
*2b違います。
*1c実際には「失踪」していないので、奇数人数での興行→第四戦まで市ヶ谷欠場→第五戦から参加、という試合の組み方をしています。さすがに、龍子が負けたから市ヶ谷が出てきた、という展開はたまたまです。
*2c試合の途中変更ができるわけはないので、第五戦の AACタッグ王座戦も第六戦の試合も、もともとの予定通り。理由の方が後付けです。
*3c47分54秒の決着。よく場外に落ちる試合でした。
*4cこれで五連敗。今回は龍子を操作したので半ば予想通りではありましたが、市ヶ谷様も意地を見せ、相当粘られました。
ページトップへ


7年目3rdQ P1 へ ←  リプレイトップへ  → 7年目3rdQ P3 へ


トップへ
(C)2008 松永直己 / TRYFIRST
(C)2005 松永直己 / SUCCESS 運営サクセスネットワーク
(C)2005 松永直己 / SUCCESS
All rights reserved.
当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しております。
※画像等については「このサイトについての注意書き」もご覧下さい。