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7年目3rdQ (10〜12月) Part1 〜 市ヶ谷の変・龍子の乱 (1) 〜

《目次っぽいもの》
市ヶ谷の変・龍子の乱:素直な心奪われたAAC王座世界王座強奪計画[SL,WR] − 注釈?



10月、神戸。 *1a
営業的にも経営的にも好調なスレイヤー・レスリングは、6月のウィッチ美沙に続き、今年二人目の新人・イージス中森を獲得した。 *2a

中森2p

「中森です。 精一杯がんばらせていただきます」

元気なだけに子供っぽさも拭えない美沙とはまさに好対照の、大人びて落ち着いた雰囲気。

何よりひたむきで真っ直ぐなその眼差しは、コーチを務めることになったブレード上原にも好印象をもたらした。 *3a

「私がコーチの上原だ。 厳しくいくから、そのつもりでね」

「はい。 よろしくお願いします」

と、とりたてて問題なくコーチと練習生の顔合わせが終わろうとした、その時──

「オーッホッホッホ! 社長室はここですの!?」

あまりに特徴的な高笑いとともに激しく開けられたドアに二対の視線が集中し、うち一つは驚愕に見開かれた。
そこに現れた人影は、この場所、即ちスレイヤー・レスリングの事務所には、入ってくるはずのない人物だったからだ。 市ヶ谷

「い、市ヶ谷じゃないか!? あんた、どうしてここにいるんだい!?」

「あら、どなたかと思えば、元・レスラーの上原さんじゃありませんこと。 引退してもコーチなどして働かなければならないとは、下々の方は大変ですわね」

「下々で悪かったねっ。 それはいいから、何で WRERAのあんたがここに来てるのさ?」

「部屋を間違えただけですわ。 私、こちらの社長に直談判しにきましたの。
天文学的な確率のいたずらでこの私に勝ち続けてしまっている、不幸で罪深いサンダー龍子。 そんな彼女に悔い改めるチャンスを与えてあげてほしいと!」

「…………。 えーと、つまりは、龍子とシングルで戦うチャンスをくれってこと?」

「私が龍子に、チャンスを与えてさしあげる、ですわ」

「……まあ、いいや。 社長室なら、廊下を左だよ。 ただ、せめて受付に戻ってアポ取った方がいいと思うけどね」

「このビューティ市ヶ谷に、アポなど必要ありませんわ! オーッホッホッホ!」

入ってきた時と同じ高笑いを残して、市ヶ谷は出て行った。 *4a

突然吹き荒れて去っていった台風に、呆然と立ち尽くすこと数秒。

やっと我に返った上原は、中森もさぞ唖然としているだろうと彼女の方を向き──意外や意外、そこに感心しきりの表情を見つけて、大いに戸惑った。

「……中森……?」

「なるほど。 どなたかは存じませんが、女王様キャラのレスラーですね。
普段からあそこまで演じきっているとは、まことに見事なプロ根性です。 感服しました」

いや、あれは素なんだよ──そう口に出そうとして、上原は結局何も言わずに黙っておくことにした。 その理由は、自分でもわからなかった。




AAC

「今日こそ、真の実力と格の違いを教えてあげますわ!」

龍子相手に、ここまでシングル戦全敗の市ヶ谷。 *1b

一騎打ちにあたり、自らの持つ AAC世界王座を賭けると申し出たのは、彼女の意地とプライド、そして満腔の自信によるものだったのだろう。

事実、市ヶ谷は龍子相手に互角以上の闘いを展開し、勝利にあと一歩のところまで迫ったのだが……。

《ビューティ市ヶ谷、ここで屈辱のギブアップ宣言だぁ!
今年に入って切り札に加えたドラゴンカベルナリアで、サンダー龍子が勝利!
市ヶ谷戦の連勝を伸ばすとともに、四年間彼女が守ってきた AAC王座を奪ってみせました!》

「そ、そんな……この私が……ありえませんわ……」 *2b

さしもの市ヶ谷が、強気な負け惜しみ発言も忘れるほどのショックを受けてフラフラと退場していく中、スレイヤーの 10月巡業はサンダー龍子を称える歓声とともに幕を閉じた。

しかし、この話はここで終わらなかった。
それどころか、さらなる展開を見せることとなったのである。




「──市ヶ谷の奴が失踪したぁ!? ホントなの、恵理っ!?」

11月に入ってすぐのこと。 *1c
いつもより早く WRERAのジムに顔を出した祐希子は、先に練習を始めていた親友の来島から『市ヶ谷失踪』のニュースを聞かされて、さすがに目を白黒させる羽目に陥った。 *2c

「ホントもホント。
今は霧子さんが、大慌てで埼玉の豪邸やら心当たりやらに電話してるぜ。
発表済みの興行のカードも全部見直しだってんで、事務所中が大騒ぎだ」

「あのバカ、なにやってんだか……AACのベルト奪られて、そこまでショック受けるなんてねぇ」

「──ってことは、私のせいか。 そいつは悪いことしたね」

「いいのいいの。 ほっときゃいいって。 あの唯我独尊高飛車女には、ちょうどいい薬よ」

「…………」

「恵理? どうしたのよ、固まっちゃって」

「どうしたのって、お前わかってんのか!? そいつ、そいつ!」
龍子 ゆっこ

「そいつって、失礼じゃない。 龍子でしょ、龍子。
……あれ? そーいえば、なんであんたがここにいんの?」

ようやく自分を見て首を傾げてくれた相手に、サンダー龍子は軽く吹き出しながらの苦笑いを返した。

「ははっ。 驚かせるつもりだったけど、アテが外れたね。
その落ち着き、さすがは WRERAのエース様ってとこか」 *3c

「いや、こいつのは落ち着きとゆーより、お馬鹿……」

「しゃらっぷ、恵理っ。
……で、龍子さんは、はるばるこんなトコまで何しに来たのかな?
あたしのベルト狙いに来たなら受けて立つわよ。 返り討ちにしてあげるけどね」

「NA王座か。 それも目当ての一つだけど、それだけじゃないんだよ。 実はね……」

そう切り出した龍子の話は、せっかく手に入れた AAC王座をスレイヤー社長と秘書の井上の意向で返上しなければならなくなった、というものだった。

龍子は、団体最高位のスレイヤー無差別級王者。
その王者が他のシングル王座を持ち続ければ、二つのベルトが同等のものと見られることになりかねない。
それは、“自団体の王座こそ世界最高”と位置付けたいスレイヤーの上層部にとって、到底看過できないことだったのだ。 *4c

「二年前のこと、覚えてるかい?
あんたの持つ NA王座への挑戦権を賭けた、私と市ヶ谷とのスレイヤー王座戦。
あれをやっちまったのも、社長たちは気に食わないらしくってさ。
それ以来、他のシングル王座への挑戦は暗に禁じられてたんだけど……」 *5c

「市ヶ谷があんたとの AAC王座戦を強引に組んで、壮絶に自爆しちゃったってわけね。
でも、それとウチに殴りこんできたのと、どんな関係があるのよ?」

「──私は、大いに不満なんだよ。 うちの社長と井上さんの方針にはね」

いきなり飛び出た龍子の自団体批判に、祐希子と来島は驚いた。

しかしそれだけでは、WRERAに殴りこむ理由、その答えにはなっていない。
そう思った二人の当惑が予想通りだったのか、龍子は口元を緩めてから、用意していたであろう言葉の続きを紡ぎだした。

「だから、AACベルトの返上に条件を付けたんだ。 どうせすぐ返上するなら、他の──いや、全部の世界王座を私に奪らせろ、ってね」 *6c

へえ、と感心の声を上げたのは祐希子だったが、来島の反応は全くの正反対だった。
憤りを隠そうともしない声で、龍子に最後の質問をぶつける。

「それじゃ、何か? ウチに来たのは、俺の TWWAのベルトを奪おうってことかよ!」

「察しがいいね。
だけど、それだけじゃないよ。 WRERAには、あと二つあるだろ?
一つは、ダークスターカオスが持つ、WWCAのベルト。 もう一つは──」

「──私が持つ IWWFのベルト、ですね」

落ち着き払った第四の声の登場に、その場にいた三人全員が振り返った。

桜井千里──現・IWWF世界ヘビー級王者。 来島 桜井

「勝負を挑むというなら、受けて立ちます。
ただ、二年前と同じなどとは思わないでください」 *7c

「そうだぜ! 俺たちの世界王座をコケにしやがって……。
てめぇをブッ倒して、返す刀で、その大切なスレイヤー王座も奪ってやるから、覚悟しな!」

「いいだろう。 もし私が負けたら、そいつとのスレイヤー王座戦だ。 約束してやるよ」

WRERAが誇る世界チャンピオン二人の強烈な視線を浴びつつ、龍子は全く動ぜずに言い放った。




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■ 注釈(?) ■
*1a10月のスレイヤーは、IWWFタッグ遠征防衛、森嶋FC、美沙学園祭(デビュー前なのにさすが魔女?)、フレイアCM、宿舎をLv5に、美沙参戦、など。
また、小鳩がWWCAジュニア九度目の防衛(vs千秋)、
桜崎&真田がGWAタッグ四度目の防衛(vsフレイアライラ)、
森嶋がWWPA六度目の防衛(vsモーガン)、もありました。
*2a10月、スレイヤーにて中森2pを獲得してます。
中森は前作でも使った選手ですが、そけっとさんの「はらぺこ日和 中森プロ」(直リンクごめんなさい)の記事を見て惚れ直しました。 …今回は2pキャラでの獲得になってしまいましたけど。
*3a久々登場の上原さん。 得意は飛び技で関節技主体の中森とは合いませんが、コーチ評価1500はやはり魅力。それに、華麗な飛び技を見せる中森さんも見てみたい気が…。
*4a10月にスレイヤーに殴りこんだ市ヶ谷。一緒に千秋も殴りこませてます。
*1bここまで三戦して全敗。ただ、いずれも龍子操作かAUTOでの負けだったので、ここらで市ヶ谷様を操作して勝たせてあげよう…と本気で思っての試合だったのですが…
*2b22分50秒、ドラゴンカベルナリアで龍子の勝利。
あと少しで勝てる、というところで、リング中央の移動不可関節技を食らってしまってジ・エンド。
市ヶ谷にはずっと AAC王座を持っていてほしかったので、試合後は本文の市ヶ谷と同様にプレイヤーも茫然自失してました。
*1c11月のWRERAでは、AACジュニア遠征防衛などが発生。
10月は、来島完治、来島学園祭、宮城に飲食店設置、千秋のプライベートイベント
来島がTWWA七度目の防衛(vs桜井)、などがありました。
*2c実際に失踪イベントが発生したわけではありません。
というか、信頼度は高値キープしがちなこと、特訓をあまりしないこと、特訓失敗すると大抵の場合はロードしてしまうこと、もあって、失踪イベントは見たことがありません…
*3c11月、スレイヤーの方では、RIKKA&石川がIWWFタッグを遠征で喪失、EWA遠征防衛、フレイアホラー映画(結果は「ヒット」)、小鳩CM、石川CD(「それなり」のヒット)、永沢写真集(「かなり」の売上)。
また、小鳥遊2pのプライベートイベントがありました。霧子さんってば…
試合では、小鳩がTWWAジュニア初防衛(vs千春)、
RIKKAがアジアヘビー九度目の防衛(vsモーガン)。
*4c背景(妄想設定)は今回とちょっと違いますが、4年目3Qでは EWA王座を龍子に返上させてます。
*5c5年目3Qをご覧下さい。
*6cかつて市ヶ谷に言わせた「世界王座統一宣言」(出航前に轟沈)に続く、龍子の「世界王座強奪宣言」
率直なところ、海外ベルトがだぶついて遠征防衛とか忙しすぎる → ここらで龍子サマの力で一掃させてみよう、という話です。…そうは言っても対龍子サマ防衛戦は全部本気でやるのがジレンマですけど。
あ、龍子がちょっと悪役っぽくなっちゃってるのはごめんなさい。
*7c5年目3Qにて、千里も来島も、龍子に鎧袖一触で薙ぎ倒されてます。
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