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6年目3rdQ (10〜12月) Part2 〜 団体対抗戦 (2) 〜

《目次っぽいもの》
団体対抗戦:全試合結果。そして…重なる影と握った手[SL,WR] − 注釈?



「けっこうやるじゃない。今度もいい試合しようね!」

団体対抗戦の初月を締めくくった頂上対決。
サンダー龍子 VS マイティ祐希子戦は、祐希子が彼女には珍しい踵落としでフィニッシュ。
NA王座戦のリベンジを目論んだ龍子を返り討ちにした。

対抗戦


対抗戦

「もうちょっと、手ごたえがあると思ったんだけどね……」

その龍子も、市ヶ谷にはわずか15分足らずで勝利。
龍子のコメントにブチ切れた市ヶ谷は、翌月のスレイヤー王座戦での「決着」を希望。 龍子が受けたことで、市ヶ谷は二ヶ月連続でスレイヤーに参戦することとなった。



「勝利の美酒を、味わいたいですわ」

六角葉月 VS フレイア鏡は、ともにシングル無冠とはいえ、世界トップクラスの関節技使いの対決。
グラウンドの攻防では葉月が優ったが、打撃や飛び技に活路を見い出した鏡が逆転勝利をおさめた。

対抗戦


対抗戦

「やはり、最後に立っていたのは私でしたね」

実力の割に無冠時代が長かった、両団体「元・無冠の女王」対決は、森嶋のライガーボム二発を耐え切った桜井が、ハイキックからのエクスプロイダーで勝利。
僅か13分ながら、密度の濃い攻防でファンを沸かせた。



「へっへー! この肉体で負ける訳ないだろ!」

11月、互いの2勝2敗で迎えて決着戦となったボンバー来島 VS RIKKAの一戦は、逆転につぐ逆転の熱戦。
最後は来島渾身のナパームラリアットが RIKKAを沈め、WRERAに対抗戦勝利の栄冠をもたらした。

対抗戦


第一回 スレイヤー VS WRERA 対抗戦 [結果]
×サンダー龍子 VS マイティ祐希子19分02秒 踵落とし
サンダー龍子 VS ビューティ市ヶ谷×14分46秒 プラズマサンダーボム
フレイア鏡 VS 六角葉月×19分28秒 フェイスクラッシャー
×森嶋亜里沙 VS 桜井千里13分01秒 エクスプロイダー
×RIKKA VS ボンバー来島27分33秒 ナパームラリアット


対抗戦としては、3勝2敗で辛くも WRERAが勝利。

ただ、他にも「若手交流戦枠」と銘打たれたシングル戦が 2試合行なわれ、こちらは 1勝1敗、五分の結果を残した。

対抗戦

「美貌も技も、私に遠く及ばないね」

双子の姉妹対決として話題を集めた 村上千春 VS 村上千秋戦は、まさに実力伯仲、一進一退。
毒霧噴射からの裏投げで千秋に軍配が上がったが、どちらに転んでもおかしくなかった試合だった。 *1D



「これがホントの、出血大サービスってやつだっ!」

序盤から大技が乱れ飛び、両者流血の荒れた試合となった ライラ神威 VS 武藤めぐみ戦は、ラフファイトに長けたライラが経験の差を見せつけ、わずか10分強で勝利する。

しかし、この試合はこれだけでは終わらなかった……。

対抗戦

「ひゃーはっはっは! 暴れ足りねぇってんだよ!
もっと悶えろ、もっと泣け、もっとわめきやがれ!
テメェのおすまし顔、真っ赤な血で染めあげてやるぜ!」

《あぁっと! 互いの流血に理性がトんだか!? ライラ神威暴走! 大暴走だぁっ!
グロッキー状態の武藤めぐみに馬乗りになっての、滅多打ち、滅多刺し、滅多斬りぃ!
コスチュームは破れ、血の華が舞う! これは嬲り殺しか……って、え……?
いや、ちょっと! これ、ホントにヤバいんじゃ!?
だ、誰か、止めないと!!》

これは演出の一環ではない──リングアナや観客がそう気付き騒ぎ始めてようやく、レフェリーも本気で止めに入った。
だが。

「触るんじゃねえ! テメェもブチ殺すぞっ!!」

それを一撃で吹き飛ばすと、ライラはそのまま振り上げた鉄槌をめぐみ目掛けて振り下ろして── 小さく、しかしはっきりと聞こえる、鈍くて嫌な音が周囲に響いた。

あまりの展開に呆然となっていた両団体の選手が、その音で我に返って次々とリングに上がり、凶行を続けるライラを力ずくで引き剥がし、押さえつける。 *2D ライラ

しかし、身動きできなくなっても、返り血で紅く染まったライラの、狂える哄笑は止まらなかった。

「ひゃはははは! いいザマだぜ、天才のお姫さんがよ!
これに懲りたらおうちで大人しくしてな! ひゃーはっはっは!」 *3D




(…………あれ? 鳥の声が……聞こえる……)

小鳥のさえずりに導かれ、武藤めぐみはぼんやりとまぶたを開く。
その目に映ったのは、記憶のどこにも無い、真っ白な天井だった。 千種

「あ……、めぐみ!」

「千種? どうして、ここへ……?」

歓喜と気遣いが等しく入り混じる声を発した親友は、スレイヤーの興行には参加していないはずだった。

めぐみは訝しげに身を起こして──その身体に、鋭い痛みが走った。

「!!」

忌まわしい記憶が、火花のように蘇る。
病院のベッドの上で苦痛に歪んだ顔が、最悪の事態まで想像して、血の気を失った。

恐る恐る、手と脚を順番に動かしてみる。指の先まで。
続いて、首、肩、腰。
痛みはあるが全て問題無く動くことを確かめ終えて、めぐみはようやく安堵の息をついた。

「外れた骨も綺麗に入ったみたい。 クセになることも無いだろうって、先生が言ってたよ」

「千種……」

「出血の割には傷も深くないから、傷も残らないって。 すっごく心配したんだよ?
えっと、それから──」

「千種っ!!」

「わっ!?」

枕元で簡素な椅子に座っていた千種に、めぐみが抱きついた。
いきなりのことに身体を硬直させ、手だけバタバタと振って、千種が慌てる。

「だ、ダメだって、めぐみ! ここ、病院だから! それにケガも!」

「……千種……」

「…………めぐみ?」

千種は、気付いた。
自分の背に回された手の、微かな震えに。
自分の肩に伏せられた顔から届く、微かな嗚咽に。

「めぐみ、痛いの? ……怖いの?」

「……違う……私、くやしいよ……千種……」

「めぐみ……」

「あんな簡単に負けて、その後も、何もできなくて、やりたい放題されて……怖くて、震えてて……くやしいよぉ……」

千種は、自分の手もめぐみの背に回した。
そのまま目を閉じて、時の流れに身をまかせる。
ただ、互いの体温と、胸の鼓動だけを感じて。

いつしか、窓から差す光が、白から茜色へと変わって──

「……千種」

「めぐみ?」

千種は、目を開いた。
めぐみの姿勢は、目を閉じた時から変わってはいない。
ただ、自分の背に触れたままの彼女の手は、もう震えてはいなかった。

「……強く、なろうね……!」

強くなりたい、ではない。 強くなる、でもない。
それは、めぐみが千種に差し出した、目に見えることのない手のひらだった。 千種

「……うん! なろうね、絶対!」

千種はその手を、しっかりと強く、握り返した。 *1E




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■ 注釈(?) ■
*1D千春と千秋は、ずっと評価値差が0〜10程度で来てます。まさに実力伯仲。さすがは双子です。
*2Dライラのお目付け役であるフレイアが WRERAの方に殴りこんでいたため、ストッパーがいなかった…といった妄想設定も入ってます。
*3Dライラ VS めぐみは、双方流血の上、ライラが意外なほど楽勝。めぐみが軽傷の上、ライラのプライベートイベント(試合相手病院送り)もあったので、「V2」の場外ビューティボム事件をこういう形で再現してみました。
最初はビューティボムが地獄落としに変わるだけの予定だったのですが…書いてるうちにライラがエスカレートしちゃいました。ごめんなさい。> めぐみ
*1Eここのシーン&セリフは、上でも書いた「V2」の場外ビューティボム事件のものを一部拝借してます。
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