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10年目4thQ (1〜3月) 〜 チャンピオンロード 〜

《目次っぽいもの》
印象と認識[SL,WR]チャンピオンロード[WR]市ヶ谷様、ぶちあげる[WR]注釈?



永沢 森嶋

「…蹴散らしてあげるわ…」

「先手必勝! 一番手は、私が行きます!」

年が明けて早々に幕を開けた、WRERA 1月シリーズ。 *a1
昨年末の EXタッグリーグ優勝チーム・スレイヤーの森嶋亜里沙と永沢舞は、EXタッグの前から公言していた通り、敵地である WRERAのリングに姿を現した。

二人の目的は、EXタッグ優勝チームに与えられる挑戦権の行使。
即ち、武藤めぐみ&結城千種の持つ NA世界タッグ王座への挑戦であった。

「…どうだった、永沢? 武藤めぐみの印象は…?」

「うー、やっぱり強かったです。
最後のフライングニールキックなんか、ほとんど反則、ハンソク!
あの後の私の記憶、すっかり飛んじゃってるんですよ〜」

── 1月、第四戦。 スレイヤー

スレイヤー無差別級のベルトを団体に奪還すべく、武藤めぐみに挑んだ永沢だったが、結果は 17分11秒、フライングニールキックからの片エビ固めで敗北。
めぐみに六度目となる防衛を許してしまったのである。

「あの龍子先輩がベルトを奪われて、取り返そうとした森嶋先輩や鏡先輩や小鳩先輩も勝てなかったっていうの、わかる気がしました。 だけど……」

「…どうしたの…?」

「だからって、森嶋先輩よりも強いとか、そんな風にも思わなかったです。
私のトラちゃん技もかなり効いてたし、絶対に倒せない相手とかじゃないなーって」 *a2

「…そうね…」

頷いたものの、森嶋はめぐみの強さを過小評価しているわけではない。
加えて、今度の勝負はシングルではなくタッグだ。
結城千種というパートナー個人の力量もさることながら、タッグとしての実力がどれほどのものか。 少なくとも、まだ日の浅い自分と永沢よりは高い練度を持っている、と思って間違いないだろう。

「…ただ、付け入る隙はありそうね…」

NAタッグ王座戦は、次の第五戦。
武藤めぐみは、さらに次の第六戦に、マイティ祐希子との大一番・ NA世界無差別級王座戦を控えている。

次の大一番を意識して、めぐみの積極性が少しでも失われれば、あるいは──
それが、森嶋の言う「付け入る隙」なのだった。

──第五戦メインイベント、NA世界タッグ王座選手権試合。
先鋒を務めたのは、結城千種と永沢舞だった。
NA-T

「負けませんから!」

「ニャンコちゃんパワーで、気合十分!」

二人のデビューは、ほぼ同時期。
かつてプロレス大賞・新人賞を争った二人は、シングルでも何度か矛を交えたことがある。 *a3
しかし、今日の対決では、どちらも自分の想像以上に相手が成長していることを知った。
ともに得意は投げ技。 だからこそ二人は、千種が打撃技、永沢が飛び技と、あえて投げ以外の技を中心に、相手にダメージを与えていく。

「だけどやっぱり、チャンスにはコレ! 必殺、ヒッサツ!」

永沢必殺の投げ技・タイガースープレックスが千種に大きなダメージを、同時に挑戦者組には大きなアドバンテージを与えた。

「まだよ! この程度、すぐに取り返す!」

「…来なさい…!」

めぐみの登場を機に、永沢も森嶋に出番を譲った。
森嶋も、今やスレイヤーでは最強の名をほしいままにする選手だ。 めぐみの強さを知るからこそ、チャンスを逃すような真似はしなかった。

「…海賊の力、思い知りなさい…!!」

惜しみなく披露した得意の SSDが、めぐみの出鼻を大きく挫いた。
そのままラッシュをかける森嶋の姿に、会場は早くも新王者の誕生を予感する。

「そうはいくもんですか! ……千種!」

「うん! めぐみ!」

めぐみはヘッドシザースなどでペースを掴んでから、千種とのダブルラリアートを二連発。
そのままタッチを交わすと、千種は投げ技に関節技まで絡めて、挑戦者の森嶋にペースを奪い返させない。

「先輩、ここは私が勝負! ショーブ!」

「それを──待っていたわ!」

永沢の再登場に、こちらも再度タッチしためぐみが、フライングニールキックを炸裂させた。
永沢自身が「ほとんど反則」と評した技が、今また永沢の身体に強烈な衝撃を与える。

「ここで、仕留める!!」

ダブルドロップキック、ステップキック、ダブルパイルドライバー、そして関節の妙技・ドラゴンカベルナリア。 *a4
めぐみの真骨頂、怒涛の連続技が、一気に永沢の命脈を絶ちにかかった。

「…永沢…!」

「それは、させません!」

カットに入るも、千種に押さえられた森嶋。
永沢の悔しげなギブアップの声がその耳に届いた時、森嶋は彼女が想像していた武藤めぐみの「付け入る隙」など最初から存在していなかったことを、身を以って知ったのだった。

28分25秒──。 武藤めぐみと結城千種は、いきなりの強敵を相手に、NA世界タッグ王座の初防衛に成功したのである。




実力主義を謳う、NA世界無差別級王座。

初代王者・マイティ祐希子が、世界の強豪十一人からの挑戦を、五年間、のべ二十五戦にわたって退け、唯一の王者として君臨してきた玉座。

その頂きに挑むべく、二年ぶりとなる新顔・十二人目の挑戦者が今、リングに上がった。 *b1
NA

“最強世代”マイティ祐希子 VS “新世代”武藤めぐみ。

7月にめぐみが結城千種とともに起こした叛乱劇は、ここで勝利して決着を見ることになるのか。

「よーしっ! 燃えてきたぁ!」

「駆け上る私を、見せてあげるわ!」

この決戦を前に、スレイヤー・レスリングの永沢と森嶋から、スレイヤー王座と NAタッグ王座を守り抜いてきためぐみ。
彼女は、NAタッグのパートナーでもある結城千種の応援を背に、ゴング直後からのエルボー、ローリングソバット、ショルダータックルと、一気に攻めに出た。 しかし。

「そんな簡単に、追い抜かせたりはしないわよ!」

JOサイクロン。
祐希子双翼の一枚、日本海式竜巻原爆固めがいきなりその姿を見せ、会場中に王者の牙城を意識させたが、

「私は、どんな壁だって越えてきたんだから!」

すかさず返すフライングニールキックが、挑戦者の意地と気概を王者に叩きつけた。

「へへへ。 いい感じじゃないの、めぐみ! こっからは本気で行くわよ!」

「そんなの、当たり前!」

ヘッドシザース、ドロップキック、ソバット、コブラツイスト、ステップキック、アームホイップ。 相互に小技を出し合う静かな展開が、やがて来る嵐を予感させる。
その嵐を起こしたのは──

「行くわよ!」

めぐみのドラゴンスリーパー。
祐希子がロープに辿り着くまで、存分に彼女の体力を搾り取っためぐみの技が、試合の中盤戦を飛び越えて、終盤戦への扉を開けた。

「だったら……あたしもスパートね!」

フロントスープレックスから、セカンドロープにもたれさせためぐみにブーメラン── 619。
さらに DDTで場外に叩き落しためぐみに切れ味鋭いダイヤモンドカッター、さらにリングに引っ張り上げてのナックルパート。
祐希子怒涛の連続攻撃は、めぐみのお株と勝利をともに奪い去ろうとする。

「だめよ……私は、勝たないと、いけないの!」

めぐみの反撃は、ニーリフトからフロントスープレックス。
さらに攻撃を続けるべく、身を起こそうとしためぐみ。
しかしそれよりも早く、祐希子がコーナーポストに駆け上がろうとは──
ゆっこ

「リングは広いのよ! ほぉら!」

カクテル光に舞った、祐希子が誇る双翼のもう一枚、ムーンサルトプレス。

王者貫禄の一撃に、めぐみの NA世界王座初挑戦は、17分43秒で終止符を打たれたのであった。




「えへへ。 ま、あんたと千種とそのファンのみんなには、悪いんだけどね。
あたしもここばっかりは、簡単に譲るわけにいかないのよん」

NA世界タイトルマッチの終結を告げるゴングが鳴り終わり、祐希子が身を起こした。
王者が差し出した手に、めぐみはしかし、仰向けのままでかぶりを振った。

「……ごめんなさい、祐希子さん。 私、今は握手なんてする気には……」

「──そっか。 うん、オッケーオッケー。 そーゆーとこ、あんたらしいわよ。
どうやら次は、もっと手強くなっちゃってくれそうね」

笑顔で片目をつぶった祐希子に、めぐみは悔しさ一杯の表情の中で、それでも何とか微笑みの形を作って返した。

光の中で見つめあう、勝者と敗者──唐突に、予告無く、会場の照明が落とされた。

「……えっ?」

「あっちゃー。 またか……」

さすがに戸惑うめぐみの耳に、祐希子のうんざりした声が響いた。
その反応を待っていたかのように、

「オーッホッホッホッホ!
相も変わらず、地味〜なベルトを必死の形相で守ってらっしゃるようですわね、祐希子!」

ドームの一角で、会場中のスポットライトを集めてふんぞり返ったのが誰か。
WRERAを知る者たちにはもはや言うまでもない。

それでも、エースとしての責任感か、あるいはただ単に黙ってられないだけなのか、祐希子が嫌そうにしながらも、マイクで彼女の名を呼んだ。
ゆっこ

「なーによ、市ヶ谷。
毎度毎度、あたしの勝利に水を差してくれて、ホントご苦労さまよね。
で、今日は何の用?
また、このベルトに挑戦させてくれとか、そーゆーお願い?」

「──ベルト挑戦?」

形の良い鼻梁をそびやかした市ヶ谷の言葉に、祐希子も珍しく戸惑いの表情を見せた。
高確率で NA王座の話と思っていたので、鼻で笑われるのはさすがに予想外だったのだ。

「私、そのような低次元の争いをするのは、もうやめましたのよ。
郷に入っては郷に従え……ここ何年かは私もプロレスの伝統とやらにお付き合いしてたのですが、いい加減、そろそろ愛想が尽きてきましたの。
ベルトの有無や、タイトルマッチの結果だけで、格だの強弱だのを判断する──。
そんな狭く小さい枠に収まっていることが、我慢できなくなってきたのですわ!」

「……まあ、あんたはこの前から無冠だし、我慢できないってのもわかるけど。
人のベルトに挑戦しては、無様に負けまくってるもんねー。 富沢相手とかさ」 *c1

「それに革命だの旗揚げだの大々的に喧伝しながら、ここへ来て停滞気味の叛乱劇!」 *c2

「あ……無視された。 へぇ、少しは成長したのねぇ。 市ヶ谷」

「このようなおままごとを繰り返しても、団体も業界も、遠からず衰退の一途を辿るのみ!
そこで、天才にして高貴、美しく誰からも愛され頼られるこのビューティ市ヶ谷が、またも救いの手を自ら考え、差し伸べることにしましたのよ!」

「おーい、市ヶ谷ぁ。 話が長くって、お客さん退屈してるわよー」 *c3

「私がその昔あっさりと頂点を極めた柔道しかり、その他多くのスポーツや武道しかり。
それら全てで最も盛り上がり、世界の覇者を決めると言われているのは、世界的規模で行なわれる大会なのですわ!」

「あー、こりゃダメだわ。 完全に自分の世界入っちゃってる……って、大会?」

「そう! ベルトなどが価値を持っているのは、プロレスなどごく一部のみ!
大多数のスポーツや武道において、最も重い意味を為すのは、世界大会での金メダル!
金色に輝く至高のメダルこそが、世界の覇者、頂点の証明とされているのです!」 *c4

ここへ来て、あくびなどしていた観客や選手たちも、市ヶ谷が語らんとする話に気が付いてきた。 会場中に、静かなざわめきのウェーブが渡っていく。

その反応に満足したのか、市ヶ谷は一つ大きく頷くと、ここが肝心とばかりに、大きく手を広げて力説した。

「この私が主催者として開催する、プロレスの世界大会!
四年前に一度行なわれた大会をベースに、市ヶ谷財閥の総力を上げて規模を拡大。
名実ともに世界大会として仕上げさせていただきます!
四年というのも、世界規模の大会としてはちょうどメジャーな期間ですしね。 *c5
叛乱も因縁も世代闘争も、全ての決着はそこでつければよろしいのですわ!
オーッホッホッホ!」

「ちょっと、市ヶ谷! てことは、あんた、まさか……!?」

今の市ヶ谷は、その声が祐希子の物だと意識もしていなかっただろう。
それでも、至極満足げに頷くと、豪奢な髪をわざとらしく一度かき上げてから、市ヶ谷劇場の仕上げとなる一大宣言をしてのけたのだった。
市ヶ谷

「第二回、エンジェルウィング・チャンピオンカーニバル!
今ここで、この私・ビューティ市ヶ谷が、その開催を高らかに宣言いたしますわ!」




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■ 注釈(?) ■
*a11月のWRERAは、成瀬2p完治、めぐみFC、来島写真集(「かなり」の売上)、市ヶ谷写真集(「あまり」売れず…)、理沙子2pプライベートイベントその2、など。
本文で書かないタイトルマッチは、堀の GWAジュニア十六度目の防衛(vs千秋)、富沢&理沙子2pの EWAタッグ初防衛(vsモーガン2pダダーン2p)、桜井の IWWF十六度目の防衛(vs森嶋)、ワールド女子での小縞の WWPA初防衛(vsカンナ)、がありました。
スレイヤーでは、森嶋FC、ライラプライベートイベントその2
桜崎&真田の GWAタッグ十四度目の防衛(vsカオス2pコーディ2p)、ライラのアジアヘビー二度目の防衛(vs寿)、小鳩の WWCAジュニア十九度目の防衛(vs千春)、がありました。
*a2必殺のタイガースープレックスと、タイガードライバーをそう呼んでる…ということにしておいてください。>トラちゃん技
*a36年目プロレス大賞の新人賞争い。
現在でも評価値差は50ほどしかなく、かなり良い勝負をしてくれます。
*a4ゆっこたち「世界の頂点」を倒すための切り札的技として、最近めぐみにドラゴンカベルナリアを覚えさせました。
*b1これまでの相手は、葉月、モーガン、龍子、理沙子、市ヶ谷、上原、桜井、フレイア、来島、カオス、森嶋、です(敬称略)。
*c1市ヶ谷様は、10年目3Qにて富沢に TTT王座を防衛されちゃってます。
*c2すみません。
*c3すみません。
*c4実際にはカップ(賜杯)だったりトロフィだったりも多いのですが、まあその辺りはスルーしてくださいませ。
*c5初回大会はExtra Fightにて。
毎年や、二年や三年に一回というのも多いですが、ここはオリンピック&サッカーのワールドカップのイメージだとお考えください。
ゲーム中のファイナルシリーズが(初回開催後は)四年に一度というのも意識してます。
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