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10年目3rdQ (10〜12月) Part2 〜 順当と鬼門と挑戦と大波乱 〜

《目次っぽいもの》
順当と鬼門と挑戦と大波乱[WR]EXタッグリーグプロレス大賞注釈?



11月。 *a1
WRERAで行なわれたタイトルマッチは、自称を含めて全四戦。
それらはいずれも、最終日のしゃちほこドーム興行にてとり行われた。

WWPA-J

「ま、こいつは楽勝ってとこだな。
最初っから負ける気がしなかったぜ」

一つめのタイトルマッチは、村上千秋 VS ディアナ・ライアルの WWPAジュニア王座戦。

「叛乱だのチーム分けだのめんどくせぇ。 ま、ここなら干渉されずに好き勝手できんだろ」というだけの理由で千里と龍子のチームに入った千秋は、もとより“叛乱劇”などどこ吹く風。

だが、王者として臨んだこの試合では、今の『WRERAのジュニア最強』は堀ではなく自分だと主張するかの如き見事な戦いぶりで、まさしく圧勝。
ヘビー級戦線でも通用する力をつけてきたディアナを全く寄せ付けない貫禄の勝利を挙げて、順当に八度目の防衛を成し遂げたのだった。


GWA

「……やられたよ、来島。
はっきり言うと、私が勝てる試合だって思ってた。
あんたは最近、調子が出てないって聞いてたしさ。
けど、そんな甘い気持ちで勝てる相手でも、獲れるベルトでも、なかったってことだね……」

タイトルマッチの順番としては三つめにあたる GWA世界王座戦は、王者・ボンバー来島と挑戦者・サンダー龍子の一戦。

前月の NA王座戦では祐希子と互角の勝負をした龍子にとって、力の衰えも指摘されている来島は、組みし易い相手のはずだった。 *a2

しかし、GWAのベルトは、スレイヤー時代から何度と無く挑戦しては跳ね返されてきた、龍子の「鬼門」。 *a3

この試合でも、ドラゴンスープレックスでカウント2.9、ドラゴンスリーパーでギブアップ寸前に追い込むなど勝利にあと一歩のところまで試合を優位に進めながら、最後は来島の裏拳をまともに喰らい、敗北を喫したのである。


NJWP

「……さすがですね、祐希子さん。
最後はもう、ダメだって思いました。
私……どうやって勝ったのか、覚えてませんよ」

「あはは、それでも、勝ったのはあんたよ、めぐみ。
油断も手加減もなーんにも無しで、私はあんたに勝てなかった。
次の NA王座戦……王者としてあんたと戦えること、楽しみにしてるわよ!」

四つめのタイトルマッチは、メインイベントの NJWP王座戦。
武藤めぐみにとっては、挑戦者・マイティ祐希子の持つ NA世界無差別級王座への挑戦権をも賭けた、二つの意味で負けられない試合であった。

試合は、一進一退の攻防から、めぐみ得意のフライングニールキックをかわした祐希子が 必殺の JOサイクロンを炸裂。
しかし、めぐみはその大技をカウント2.8で返し、続くエクスプロイダーまでも耐え切ると、半ば無意識のニーリフトを叩き込んだ。
彼女は、祐希子からカウント3を奪うとともに、ついに“実力世界最強”の称号への挑戦権をも手にしたのである。


そして、もう一つ。
あくまで非公式ではあるが、一応は二つめのタイトルマッチとされた試合では、まさに大波乱の結末が待っていた。

TTT

「あ、あ、あ……ありえませんわ!
どういうことですの、なんですの、これは!
やり直しを要求いたしますわ!!」

「わ、私はノーコメントっ!
ちょっとしばらく身を隠すから、あとはよろしくね、社長!」

前回、クルス・モーガンを相手にまさかの「防衛」を遂げた、自称 TTT王者・富沢。
悪ノリした彼女が、今月の TTT王座防衛戦の相手に冗談半分で指名してみたのは、恐れ多くも……というより、非常に恐ろしいことに、あのビューティ市ヶ谷だった。

「ストレス発散にはちょうど良いですわね!」

という一言で市ヶ谷があっさりと受諾してからは、富沢のもとにお悔やみの言葉が多数届いたものだったが、いざ始まった試合では、わずか 5分で限界まで追い込まれた富沢が、そこでまさかの「覚醒」(確変?)。

フランケンシュタイナー二連発で市ヶ谷の額を割ったのを皮切りに、市ヶ谷のビューティボムをリバースすると、トラースキックからノーザンライトボムに繋げて、カウント3。
まさかのスーパーミラクル大逆転ウルトラサヨナラ下克上勝利をあげてしまったのである。 *a4

「………………」

試合後、すぐに富沢が逃亡してしまったこともあって、市ヶ谷はストレス発散どころかさらなるストレスを眉間の皺に刻み込んで、不気味な沈黙を守ったまま、リングを去ったのであった。




団体の垣根を越えて行なわれる、年の瀬恒例、EXタッグリーグ戦。

主催者となる新生・新女は、まだまだ順調とはいえない経営状況ではあったが、関係各所の努力・協力により、今年も無事に開催されることが決定していた。

そんな 12月のある日── *b1

「…永沢。 ちょっといいかしら…」

「? どーしたんですか、森嶋先輩。 あらたまっちゃって?」

スレイヤー・レスリングの永沢舞は、入団以来なにかと目をかけてもらっている(というより永沢の方が積極的に目をかけさせている)森嶋亜里沙から、一つの申し出を受けた。
森嶋 永沢

「EXタッグリーグですか!? 出ます、デマス!
森嶋先輩とのタッグなら、優勝間違いなしですし!」

「…そんなに甘いものじゃないわよ…」

タッグ結成の申し出に二つ返事で応えた永沢は、森嶋のたしなめるような発言にも、屈託の無い笑顔を向けた。

「そうですか? だって、森嶋先輩は強いじゃないですか。
私もちょっとは自信ありますし、よっぽどの相手じゃなければ……」

「…その『よっぽどの相手』にも勝つ必要があるのよ…?」

「えっ? もう、他の参戦チームが決まってるんですか?」

「…そうじゃない。 人の話はよく聞くことね、永沢。
EXタッグリーグは、あくまで第一歩。 あなたとのタッグは、そのためだけじゃないの。
あの NAタッグ王座を奪い、そしてどんな相手からも守っていく……そういうタッグだと思って、私と組んでほしいのよ…」

覚悟を問うような、森嶋の念押し。 しかし、

「じゃあ、森嶋先輩とずっとタッグが組めるんですね! やった、ヤッタ!
私、タッグチームとかパートナーっていうのに、憧れてたんですよー!」 *b2

永沢の返答は、森嶋が拍子抜けするほどあっけらかんとしていた。

「…いいのね? 言っておくけど、イバラの道よ。
NAタッグ王者はこの前代わったけど、新しい二人も、生半可な相手じゃないわ。
勝てるまで、タッグ解散なんて許さないから…」

という、脅しにも似た再度の念押しにも、

「大丈夫、ダイジョブ! 私だって、もっと強くなりますから!
だから、ずーっとタッグパートナーとして、これからよろしくお願いしますね、先輩!」

と、笑顔で頭を下げた永沢に、ようやく森嶋も相好を崩したのであった。

EXタッグリーグ参加チーム
吉原泉&神田幸子新日本女子
SA-KI&栗浜亜魅新日本女子
ノエル白石&榎本綾新日本女子
寿零&マッキー上戸ワールド女子
氷室紫月&獅子堂レナ日本海女子
ソニックキャット&草薙みことフリー
森嶋亜里沙&永沢舞スレイヤー
テディキャット堀&越後しのぶWRERA

七日間にわたる EXタッグリーグの熱戦は、今年も最終戦の WRERAとスレイヤー両団体のタッグによる試合が、優勝決定戦となった。
EX

WRERAの堀&越後組は、元アジアタッグ王者。
彼女らからベルトを奪った 新・NAタッグ王者(アジアタッグは返上)の武藤&結城組に挑むべく EXタッグリーグに臨んだ二人だったが、二年前と同じく、スレイヤー・レスリングが送り出したチームの前に涙を呑むことになった。

優勝トロフィー、そして NAタッグ王座への挑戦権は、森嶋と永沢の手に渡ったのである。

「ところで、森嶋先輩。 タッグパートナーといえば、家族も同然ですよね?」

「…まあ、そうかもしれないわね…」

「ですよねー! それで、家族も同然の先輩に、私から一つお願いがあるんですけど……」

「…あなたのペットの世話を半分手伝えって話なら、却下…」

「うっ。 ばれてる、バレテル……」




この年のプロレス大賞受賞者は、以下の通り。

ベストバウト:ジュニアメロディ小鳩 VS テディキャット堀
ベストバウト:タッグビューティ市ヶ谷、マイティ祐希子
 VS 桜井千里、サンダー龍子
ベストバウト:シングルボンバー来島 VS サンダー龍子
最優秀新人コンバット斉藤
最優秀外国人スーパーカオス
最優秀選手マイティ祐希子

斉藤2p

「私のような者を評価していただき、ありがとうございます」

新人賞は、スレイヤー・レスリングのコンバット斉藤。 *c1

十五歳にして全日本空手選手権を制したその実力を、プロレスのリングでも存分に発揮した結果だった。

疑問の声が出ることも多いベストバウトについても、今年はいずれも熱戦・好勝負として認められた試合ばかりが選出されたが、

「な、なぜこの私が、あなた如きと一緒に表彰台に上らなければいけませんの!?
無理矢理タッグを組まされただけでも不愉快ですのに、さらにこんなことまでさせられるとは、もはや侮辱・屈辱・汚辱で恥辱ですわ!」

「うっさいわねぇ! あたしだって嫌なんだから、あんたも少しはガマンしなさいよ!
ほら、邪魔だから、そこもうちょっと詰めなさいって! このワガママ高飛車女!」

……といった騒ぎがタッグ部門の表彰式で起こり、他の受賞者たちから苦笑と迷惑顔と他人のフリを引き出すという一幕もあった。




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■ 注釈(?) ■
*a111月の WRERAは、めぐちぐがアジアタッグ返上、AACジュニア遠征防衛(堀)、EWA遠征防衛(千種)、千種CM、ゆっこプライベートイベントその2、などがありました。
他団体では、保科が引退してます。
*a2長寿の龍子に比べて、能力下降が目立つ来島。評価値差は180あり、「ま、龍子さんが勝つならそれでもいいかぁ」と来島には失礼なことを思いながら来島を操作してました。
*a32年目3Qでヒューイットに敗れて以来、どうもこのベルトには縁がない龍子さんです。
*a4冗談みたいな試合だったんですけどね…。評価値差は実に250。体力5%vs85%から逆転できるとは予想もしてませんでした。ウチの富沢は、時々こんな感じのまさかの勝利をやってくれます。
*b112月の WRERAは、成瀬2pが軽傷、小縞FC、千秋CM、など。バカンスでは小縞が登場。
スレイヤーでは、真田FC。バカンスでは小鳥遊2pが登場です。
*b2桜崎&真田や龍子&石川といった以前から団体で活躍していたタッグへの憧れに加え、最近はライラ&小鳥遊2p、フレイア&千春、小鳩&美沙、中森2p&真帆2p、なども活躍しているので、永沢も羨ましがってるのではないかと。
*c1加入時に直接登場させなかったので、なにげにこのリプレイ本編(除く番外編)では初ゼリフの斉藤2pです。
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