新日本女子プロレス、本社ビル。
マイティ祐希子は復帰の挨拶のために社長室を訪れていた。
「…左足脛骨複雑骨折、前脛骨筋肉離れ、及び左膝内側靭帯損傷…
随分と一度に同じ様な箇所を壊したもんだな。しかしそれもすべて完治し、これでリングに復帰できる。この診断書は、そういう意味だろ?」
「へへ、ま、そーゆーことです、社長。リハビリも完璧。ウエイトトレーニングはずっと続けてましたから、上半身の筋力は故障前より強くなってますよ」
「…パワーファイターにイメチェンして復帰するか? ハハッ」
「悪くないですねえ。パワーボムの練習しとこっかな? いっぺん市ヶ谷のヤツにかけてやりたいんですよ、パワーボム」
「おいおい、遺恨はナシだぞ。あれは事故だったんだからな」
「分かってますって。いくら親の仇みたいにいがみ合ってるからって、市ヶ谷のヤツはわざとケガさせるようなことは絶対にやらないですもん。でも、あたしが長いこと留守だったんで、フ抜けてなきゃいいんですけどね。市ヶ谷のヤツ」
「あいつがそんなことでフ抜けるようなやつなら、私も苦労しないんだがね。
とにかく、お前の復帰記者会見をやらないといかんな。どこでやりたい?」
「…じゃ、東京ドーム!!」
「…金取って客でも入れる気かあ? 大きけりゃいいってもんじゃ…待てよ、客入れて、か。悪くないな…」
「?」
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