「…ただいま、めぐみ。がんばってるね。誰が見ても立派なチャンピオンだよ」
「…千種? 千種なの!? 帰ってきてくれたんだね…?」
「さっきヨーロッパから戻ってきたんだ…ごめんね、勝手なコトして。心配かけちゃったでしょ?」
「千種…バカ…何で黙っていなくなったり…したのよ…」
「どうしてもめぐみに追いつきたくて…。その一心で頑張って、やっとの事でヨーロッパ王座を取って帰って来たんだけど、まさかこんな事になってるなんてね。祐希子さん、足をやっちゃってダメなんだってね…」
「こんな事になっちゃって、私、どうしたらいいかわかんない! でもね…あんな卑怯な奴らにベルトを持つ資格なんてないんだ!」
泣きじゃくるめぐみを暖かく見守る、その目を決意の色に染め変えると、千種はめぐみに想いを告げた。明日のパートナーに立候補したいと。今なら、一緒に戦えるはずだと。
「…明日の相手がどんな奴か知ってるの? 千種の選手生命だって、どうなるか保障できないほどの強敵よ!?」
「大丈夫。リングの上で死ねれば本望。でも、あたしは倒れない。それが大事な試合ならなおさらの事! それが…プロレスラーだと思うから」
「千種…あんた、本当にバカだね…大バカだよ」
「ふふっ、そうね…私達、本当のバカなのかもね。でも、バカの一念は岩をも通しちゃうんだからっ。さ、あしたは絶対に勝つわよ! そうでしょ、めぐみ?」
「…もちろん! 千種とのタッグなら、相手が誰だろうと怖くないわ! 勝って新女の意地を見せつけてやる!」
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