「…どうしてめぐみは市ヶ谷さんのところになんか行ったの? あんなに市ヶ谷さんを嫌ってたあなたが、JWIに行ったなんて信じられなかった。一言、相談してくれてもいいじゃない!?」
「…ごめんね、千種。あなたには本当に迷惑をかけたと思ってる。でもね…私が言ったら、千種、快く送りだしてくれた?」
「…それは」
「市ヶ谷さんの団体に行ったこと、私は後悔してないわ。確かに市ヶ谷先輩の事、今でもそんなに好きな訳じゃないよ。でもね、あの環境の中で、あたしは強くなったと思う」
「うん、聞いた。小川先輩に勝ったんだってね」
「千種だって、菊池さんに勝ったんでしょ?」
「アハ、何とかって感じ…あっ!? そうだ、ヨーロッパで無視したでしょ、めぐみ! ブシドー!」
「ああ、思い出されちゃった!」
久々に笑いあう二人。今まで会えなかった分、色々なことを話し合う。
ヨーロッパでのこと、それぞれの団体でのこと、そして夢のこと。
「ねえ、めぐみ? あたし達って、やっぱりプロレス馬鹿なのかもしれないね。自分たちの青春、プロレスに賭けちゃってるもん」
「でもさ、そのかわりに夢が見れるじゃない。人並みの青春と引き替えに、世界チャンピオンになるっていう大きな夢をね」
「どっちが早くベルトを巻くか競争だね。じゃあ、賭けしない? めぐみが先だったら、お祝いに焼き肉食べ放題をごちそうしちゃおう!」
「それじゃあ、あたしはアイスクリーム1ケースだ! これでどうだっ!!」
「あははははは!!」
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