なかなか勝ち星の増えないはるみではあったが、ひたむきなその試合ぶりはそれなりに好評を博していた。
実力の方も、先輩たちにはまだ及ばないものの、提携海外団体の若手、ジョディ・ビートンとの試合では安定して勝ちを拾えるまでに伸びてきていた。
そんなはるみに、上原は海外遠征のチャンスを用意する。
「海外遠征…ホントですか、上原さん! どこへですか!?」
「メキシコ、ヨーロッパ、カナダのカルガリー…それぞれ全然違うタイプのプロレスだけど、あなたが行きたいところに行くといいわ」
「そ、そう言われても…どこがいいかなんて、まだあたしには…」
「メキシコだと飛び技が、ヨーロッパだと関節技と打撃技が、カルガリーだと投げ技とパワー技なんかが伸びやすいでしょうね」
「…説明セリフですね、上原さん。それじゃ…メキシコへ行かせてください!」
「よーし、強くなって帰ってきなさい!」
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