「おっ、いたわね帰国子女」
「ハイ、ミスチャンプ。また会えて嬉しいわ。今日もここでトレーニング?」
「ううん、今日は別の用事で来たのよ」
「ふーん。インストラクターを口説きに来たとか? ここのインストラクター、結構イイ線いってるしね」
「そ、口説きに来たのよ。相手はインストラクターじゃなくて、あんただけどね」
「……ごめんなさいチャンプ、あたしそーいう趣味は…」
「な、なにバカなこと考えてんのっ! 自分をスカウトしないかって言ってきたのは、あんたの方でしょ?」
「スカウト? じゃ、あたしをあなたのオフィスに入れてくれるってこと?」
「レスリングの基礎も持ってるようだし、バランスも良さそう。でもそんなことはどうでもいいのよ。
重要なのは、仮にも、無敵だの女帝だのと言われているあたしに堂々と自分を売り込むその強気な姿勢…て言うか、どっちかって言うとずうずうしさかしらね?
へへっ、こんなに自分の力に自信を持ってるコなんて、めぐみ以来だわ」
「…ワールドタッグチャンプのコトですね? 光栄だわ」
「でも、その自信はプロレスラーになった途端、木っ端みじんに打ち砕かれるかも知れないわ。あんたみたいなプライドのカタマリのようなコには耐えられない事が、次々と襲ってくるかもしれないわよ」
「それ、脅してるつもりですか?」
「先輩からの、ありがたーいアドバイスよ」
「フフ…謹んでいただいておきますよ、それ。よろしくお願いしますね。先輩」
「よろしくね。ソニア」
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