「完敗ね…祐希子。やっぱり、思った通りに強くなったね」
「…その声…!! まさか、う…上原さん…!!?」
何もないところから、もう一度やりなおそう。メキシコに渡りマスクを被った上原は、呪縛から解き放たれたような活躍を見せられるようになり、世界を狙えるベルトを手にすることもできた。
しかし、祐希子が理沙子を倒したと聞いた彼女は感じてしまう。理沙子や自分たちの時代そのものがもう終わりに近づいているのだと。
そして、自分が目指すプロレスは、ベルトや世界にあるのではなく「楽しさ」にあるということも。
「今思えば、あたしも新女のワクに囚われすぎてた。でも理沙子はそんなものとは関係なく、自分のプロレスを作り上げようとしてたんだよね。…それが分かるから、理沙子とも今なら笑って会えると思うよ」
「上原さん…何だか新女にいた頃より生き生きしてますね」
「ハハッ、そう見える? でも、あんたたちには世界を目指して頑張って欲しい。それが、あたしたちの世代を乗り越えていったものの義務だと思って」
「…相変わらずキビシーこと言ってくれるなあ、この人は。…分かりました! 上原さんや理沙子さん…それに、藤子さんの分まで頑張って、必ず世界王座を取ってきます!」
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