「理沙子、あんたホントにやる気あるの? 何よ今日の試合は。そんなので藤子さんのベルトを守っていけると思ってるの? 冗談じゃないわ、そんな甘チャンが新女のトップだなんて、例え周りが認めてもあたしが認めない!!」
「京子…私が手を抜いてるっていうの?」
「…あんたは自分の実力をそのままリング上で出すことを怖がってるのよ。ケガさせるんじゃないか、もっと大変なことが起きるんじゃないか…ってね」
「…でも、限度を超えた危険なファイトはどんどんエスカレートしていって、いつか必ず取り返しのつかないことを起こすわ。そうなる前に、私はもっと他のプロレスを模索したいのよ」
「理沙子…あんたがこのままトップにい続けたら、新女はどんどん生やさしいお嬢ちゃん集団になってっちゃうでしょうね…」
どちらが正しいか、明日アジアヘビーのタイトルマッチで白黒つける。
…上原のその宣言は、新女の全員に何か重苦しい予感を感じさせていた。
「理沙子は、全力を出して試合することができなくなっちゃった。藤子さんでさえ壊しちゃうくらいだもん、怖くなって当然よね。でも、あたしはそのくらいの力を持ってるってことが羨ましくって仕方ないの。だから理沙子には、同期として、親友として、あたしのたどり着けないところまで昇っていって欲しい…」
「…あたしには、頑張って下さいとしか言えませんね…上原さん…」
「フフ…だからといって勝ちまで理沙子に譲ってあげるほど、あたしはお人好しじゃないからね。勝負は勝負。アジアヘビーのベルトは、あたしがもらうわよ」
「上原さん、見せてもらいます。二人の戦い…!」
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