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オープニング


0-1

「…しかし驚いたぜ。この辺りに、チビのクセに化けモンみてえに強ぇヤツがいるっていうから来てみりゃ、女だったとはなあ…」

「…そのチビの女に、3人がかりで襲ってきたのはどこのどいつなのよ? まったく笑わせてくれるわね」

「ここいら一帯はオレ達のチームが仕切るってんだよ。出すぎたマネするヤツには、大人しくなってもらわねーとな」


隠し持っていたナイフを抜いて目の前の少女に突っかかろうとする男だったが、そこに割って入った女性に腕を締め上げられて、ほうほうの体で逃げ帰った。

助けられた少女は感謝するどころか邪魔をされたことに腹を立て、女性に食ってかかるが…


0-2

(な、なに…体が動かない…!? まさか、このあたしがあいつにビビってるっていうの…!?)

「フフッ、どうやら体は分かってるみたいね。そういうのは理屈じゃないのよ。言ってみれば自分の身を守るための本能ね。…そういう本能を持っている人間は強くなるわ」

「う、うるさい! あたしはビビってなんかいない!! さあ勝負しろ!!」

息巻く少女に、女性は自分のいる団体の入門テストを受けるよう誘いかける。

「もしそれに合格できるようだったら、いつかは私と戦うことになるかもしれないわね。こんな薄暗い路地裏じゃなく、眩しいほどカクテル光が当たる、マットの上でね」

「…あんた一体、何者なの…!?」

「新日本女子プロレス所属、龍崎藤子。マットの上では、ドラゴン藤子と呼ばれてるわ…」


新日本女子プロレス…

日本女子プロマット界にその名を轟かせ、最強軍団の名を欲しいままにする、戦う女神たちの集うリング。
毎年多くの少女たちが、そのリングに上がることを夢見てその門を叩くが、多くは入り口に立つことすら許されずにこの場を去っていく。

しかし、ごくたまに、そんな翼を持てなかった天使たちに混じって、幾重もの黄金の翼を持った女神の卵が目覚めの時を待っているのである…


0-3

「…ふーん…、あれがプロレスのリングか…意外と広いんだな。
…な、なんなのよ、このワクワクするような気分は…! あたしは別にプロレスがやりたいワケじゃないっての!」

「よっ! あんたもテストを受けに来たのかい? オレは来島ってんだ。来島恵理。よろしくな」

「…新咲祐希子。祐希子でいいわ」

来島の語るプロレスの魅力をぼんやりと聞いている祐希子。その二人の前にドラゴン藤子が姿を見せた。

「フフ…忠告しておくけど、ウチの入門テストは生半可じゃないわよ。覚悟しておくのね」

「…フン! あたしをここに呼んだこと、後々になって後悔することにならなけりゃいいけどね!」

「それはそれは、楽しみねえ。じゃ、私は練習があるから」

新女のトップ・現IWWFアジアヘビー級王者であるドラゴン藤子に喧嘩を売り、それでいて彼女のことをろくに知らない素振りの祐希子に頭を掻く来島。

「…よくわかんないヤツだな…ドラゴン藤子と話してたかと思えば、その藤子さんがチャンピオンだっていうことも知らないし…
おまけにどうやら本気であの人を倒そうって思ってるみたいじゃねーか? 身の程知らずなんだか怖いもの知らずなんだか…なんなんだ、あんた?」

「そうね…気になったものは自分で確かめないと気が済まない…そーいう性分なんだな、きっと」


そしてここに、女神を目指す、巣立ったばかりの天使たちが羽をもらった…

0-4c 0-4b 0-4a

祐希子と同期入団の三名。左から山田遥、小沢佳代、来島恵理。


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