「…ふーん…、あれがプロレスのリングか…意外と広いんだな。 …な、なんなのよ、このワクワクするような気分は…! あたしは別にプロレスがやりたいワケじゃないっての!」
「よっ! あんたもテストを受けに来たのかい? オレは来島ってんだ。来島恵理。よろしくな」
「…新咲祐希子。祐希子でいいわ」
来島の語るプロレスの魅力をぼんやりと聞いている祐希子。その二人の前にドラゴン藤子が姿を見せた。
「フフ…忠告しておくけど、ウチの入門テストは生半可じゃないわよ。覚悟しておくのね」
「…フン! あたしをここに呼んだこと、後々になって後悔することにならなけりゃいいけどね!」
「それはそれは、楽しみねえ。じゃ、私は練習があるから」
新女のトップ・現IWWFアジアヘビー級王者であるドラゴン藤子に喧嘩を売り、それでいて彼女のことをろくに知らない素振りの祐希子に頭を掻く来島。
「…よくわかんないヤツだな…ドラゴン藤子と話してたかと思えば、その藤子さんがチャンピオンだっていうことも知らないし… おまけにどうやら本気であの人を倒そうって思ってるみたいじゃねーか? 身の程知らずなんだか怖いもの知らずなんだか…なんなんだ、あんた?」
「そうね…気になったものは自分で確かめないと気が済まない…そーいう性分なんだな、きっと」
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