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番外編:故郷(くに)別対抗W杯 : Part2

《目次っぽいもの》
決勝トーナメント一回戦二回戦準決勝決勝戦表彰式注釈?



故郷(くに)別対抗タッグリーグ&トーナメント戦、W杯(WはレッスルのW)。

選手64名の『夢の中』にて突如開催されたタッグの大会は、予選・グループリーグを終え 16チームによる決勝トーナメントを迎える。




【一回戦】

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「そこの先輩方! お二人が美人なのは認めるのですけど、これからは美しさよりも可愛さの時代なのです! だからオバサンたちはここらで引っ込んでてくださいなのですよ!」

「ちょ、ちょっと美沙ちゃん!? あの二人にそんなこと言ったら……!」

菊池の危惧が当たったのか、鏡&十六夜組はいきなり怒涛の攻めに出た。

何とかスピードとタッチで凌ごうとした美沙と菊池だったが、それが可能だったのは20分まで。最後は鏡の打撃ラッシュで美沙が昇天されてしまったのだった。
  

○ 鏡&十六夜 [九州] −(22分10秒 顔面ウォッシュ)− 美沙&菊池 [東北] ×

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「ハァイ、カオス! 次はワタシの番よ!
カリフォルニア・サンシャイン、レッツ……きゃあああ!」

まだ序盤。ここで一度交替を……と考えたアメリカチーム先鋒のカオスにとっても、さすがに想定外の出来事だった。

中国地方チームの先鋒・祐希子は、不用意にリングインしたアニーに対していきなりのコブラツイストから強引にJOサイクロンに繋げ、至極あっさりとカウント3を奪ってしまったのである。
  

○ 祐希子&八島 [中国] −(6分11秒 JOサイクロン)− アニー&カオス [アメリカ] ×


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「小川さん、秘策があるので耳を貸してください。
うまく千種をグラウンドに引き込んだら、囁いてほしい言葉があるんです。 そうすればきっと……」

「…………え? ええええ!?
ちょ、ちょっとあなたたち!
いったいどういう関係なの!?」

中部地方代表同士の対戦は、将来を嘱望される WRERAの親友タッグ・武藤めぐみと結城千種の対戦としても注目され、試合もその注目に恥じない盛り上がりを見せた。

序盤の千種ペースを、中盤にめぐみが小鳥遊へのフライングニールキックで逆転したかに見えた試合だったが、終盤には千種が小川にバックドロップ二連発。
めぐみの「秘策」が何だったのかはわからないまま、千種&小鳥遊組が二回戦進出を決めたのだった。
  

× 小川&めぐみ [中部] −(35分34秒 バックドロップ)− 千種&小鳥遊 [中部] ○


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「クククッ。 私ら姉妹を組ませちまうとは、主催者さんもバカなことをしたもんだよ。なぁ、千秋」

「まったくだね、千春。
この大会じゃあ、私らのコンビネーションに付いてこれるタッグはいやしねえ。 優勝はもらったぜ!」 *a1

“評価値”合計は参加32チーム中2位。加えて姉妹タッグという優位性もあって、下馬評は圧倒的に中国地方代表・村上姉妹のものだった。

ところが、越後の防御の堅さと真帆の無尽蔵の体力は、誰の想像をも超えていた。
姉妹の猛攻を耐え抜いて規定の60分を迎えると、再試合では越後の千春へのサソリ固めを千秋がカットした直後に合体技を出され、村上姉妹はまさかのベスト16止まりに終わったのである。
  

△ 千春&千秋 [中国] −(60分00秒 引き分け)− 越後&真帆 [東北] △
× 千春&千秋 [中国] −(39分53秒 Wパワーボム)− 越後&真帆 [東北] ○


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「東京対広島かあ。
確かどっちにも野球チームがあったよね? 佐久間ちゃん」

「ええ。 野球だけじゃなくサッカーのチームもあったと思いますよ」

……などと穏やかな雰囲気で試合に入ってしまったのが、関東チームの失敗だったのか。

試合は(勝負に対してはとにかく一途な)千里が縦横無尽。
同郷のパートナー・金森が堀に一方的にやられるというハンデをものともせず、ほぼ一人で WRERAの先輩&後輩タッグを退けた。
  

× 佐久間&堀 [関東] −(19分30秒 不知火)− 桜井&金森 [中国] ○


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「いい、龍子さん? 確かにあなたは強いけど、予選でも熱くなりすぎてたわ。
もっとクールかつエレガントに行かないと、この先は……」

「久しぶりだね、ヒューイット! あんたにはいろいろと借りがあったよな! 今度は私が貸しを作る番だよ!」 *a2
  

聞いちゃいないわね、と業界の大先輩相手にタメ口で溜め息をついた真壁だったが、リング上の四人の中で龍子が最強であることは冷静に把握していた。

だから自分は下手に出しゃばらず、龍子をサポートする──その考えは正しかったはずだが、いつしか彼女も龍子に頼ってしまっていたのかもしれない。

因縁あるローズに対して気負ったのか、龍子がプラズマサンダーボムで決め切れずにカウント2.9で肩を上げられた直後。
打撃を受けて流血した龍子に慌てて代わった真壁が、ローズの大技・バスターローズを決められ、急転直下の敗北を喫してしまったのである。
  

× 真壁&龍子 [九州] −(27分02秒 バスターローズ)− ローズ&コリィ [アメリカ] ○


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「実はですね〜、小縞さん。
私、予選突破できるなんて夢にも思っていなかったので、今は夢のような気持ちなんです〜」 *a3

「まあ、本当に夢だから……。
あーあ。 現実だったら実家のファミレスのいい宣伝になったのに……」

──という気持ちで格上の相手に臨んでも、結果が出るわけがなかった。

四国(徳島)代表 VS 近畿代表の試合は、四国の森嶋が小縞を、同じく中森が保科を、それぞれが圧倒する展開。
タッチワークで凌いで何とか反撃のチャンスを待った小縞&保科であったが、結局は反撃のきっかけすら掴めずにゴングを聞くことになってしまい、相手の二人から「もう少し練習しなさい」「プロ意識の差が出たようですね」とキツいお言葉までもらってしまった。 *a4
  

○ 森嶋&中森 [四国] −(25分36秒 踵落とし)− 小縞&保科 [近畿] ×


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「そう。 永沢って子も攻撃重視の突貫タイプなのね。
来島とは似た者同士ってとこかしら」

「そうですわ、利美お嬢様。
ですから、私たちといたしましては……」

大会随一の腹黒タッグ(失礼)、四国代表の桜崎&南組。
正反対とも言える単純思考タッグ(失礼?)の九州(福岡)代表・来島&永沢組に対して、二人は常に後の先を取るように策を立てて動き、見事それは図に当たった。

但し、中盤までは。

南が来島の怒涛のラッシュを捌ききれずに大ダメージを受けてしまうと、替わった桜崎も後輩・永沢に押される展開で、二人の算段は破綻。
最後は永沢が南を下し、優勝候補の実力を見せつけたのである。
  

○ 永沢&来島 [九州] −(22分22秒 ノーザンLスープレックス)− 南&桜崎 [四国] ×




【二回戦】

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「くっ! 仕留め切れなかったとは……詰めを誤ったかしら。
悪いわね、鏡さん」

「かまいませんわ、十六夜さん。
あの様子では、八島さんはもうオシマイですもの。
あとは、二人で『あの人』を倒せばよいだけですわ……」

そう言いながらも鏡は、決してそれが簡単ではないことを良く知っていた。

相手は、NA世界王者・マイティ祐希子。

“実力世界最強”の女神は、八島を圧倒した十六夜の“災厄”すらものともせずに有利に試合を進め、カウント2.8までを奪って鏡を引きずり出した。

それでもまだまだこちらが優位なはず──鏡の計算はわずか二分で崩壊した。 ナックルパート、JOサイクロン、フェイスクラッシャー、そして踵落とし。

一気呵成の猛攻で自身の持つ肩書きの重みを証明した祐希子が、中国地方チームを準決勝に引き上げたのだった。 *b1

× 鏡&十六夜 [九州] −(14分51秒 踵落とし)− 祐希子&八島 [中国] ○

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「よーし! 行こう、越後!
早く試合を終わらせて、真帆はメシを食べに行きたいぞ!」

「こら貴様っ。 先輩を呼び捨てにするとはどういう了見だ!
せめて越後さんと呼べ、越後さんと!」

一回戦では優勝候補の村上姉妹を相手に合計 100分の激闘を繰りひろげた、東北地方代表・越後&真帆組。

真帆ならずともこの二回戦は試合を早く終わらせたいところだったが、今回の相手・中部地方代表の千種&小鳥遊はどちらも根性や頑健さに秀でた二人だ。
越後の防御力と真帆の体力という要素──別の見方をすれば二人とも攻撃力には難がある──もあって、試合は60分戦って決着がつかず、越後&真帆組にとっては一回戦に続く再試合となってしまった。 *b2

さすがに疲れが出たのか、再試合では越後と真帆のタッチワークにあからさまな乱れが生じ、真帆が千種のノーザンライト→小鳥遊ののど輪落としを続けて被弾しカウント3。

東北代表の二人、特に真帆にとっては、試合が早く終わらなかった上に敗退してしまうという、不満ばかりが残る結果になってしまった。

△ 小鳥遊&千種 [中部] −(60分00秒 引き分け)− 真帆&越後 [東北] △
○ 小鳥遊&千種 [中部] −(43分24秒 のど輪落とし)− 真帆&越後 [東北] ×


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「カオスもモーガンもリリィも敗退。
ステイツ代表、最後の砦として、こんなところでは終われないわね、ローズ?」

「代表? 最後の砦? ホホホ、国のためなど馬鹿馬鹿しい限り。
全ては私のため。 私こそ最高そして最強の美しきバラなのですから!」

本人の自覚や気概はともかく、アメリカだけでなく海外代表として最後の砦となったローズ&コリィ。 彼女たちにとっても IWWF王者・桜井千里は強力すぎる相手だったが、それなら実力の劣るパートナー──金森を狙えばいい。

金森も打撃技や千里との合体技で格上の二人を相手に粘るが、ついにローズのトラースキックが金森の体力を根こそぎ削り取った。

よもや、そこからの反撃があろうとは。
コーナー際で体勢を入れ替えての顔面ウォッシュ。まさに九死に一生の金森からタッチを託された千里は、ローズと、続くコリィを押し切って、ベスト4 三番目の椅子を手に入れたのだった。

○ 桜井&金森 [中国] −(27分58秒 エクスプロイダー)− ローズ&コリィ [アメリカ] ×


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「強敵……ですね。 優勝候補筆頭もうなずけます。 *b3
だからといって、諦めるつもりはありませんが……」

「…そうよ、中森。 諦める必要なんて無いわ。
向こうには関節技に弱い相手もいるしね…」

WRERAの重鎮、現GWA王者のボンバー来島。
彼女を何度もあっさりとギブアップに追い込んでいる天敵こそが、この試合の相手・四国(徳島)代表の一人、森嶋亜里沙だった。

もう一人の中森も発展途上ではあるが関節技に長けており、加えて、来島とタッグを組んだ九州(福岡)代表の永沢も関節技には弱い方。
こういった相性の問題もあって、序盤戦は中森がスレイヤーの先輩・永沢相手に一歩も引かない健闘を見せ、森嶋も来島を相手に余裕の試合運びを披露する。

しかし、追い込まれた来島の起死回生・ナパームラリアットが一発で試合を引っくり返した。

ともに交替して迎えた中森と永沢の対決では、今度は永沢が先輩の意地と貫禄を見せるラッシュからのノーザンライトスープレックスで後輩の挑戦を退けたのである。

× 中森&森嶋 [四国] −(31分11秒 ノーザンLスープレックス)− 永沢&来島 [九州] ○




マイティ祐希子 (WRERA) & アドミラル八島 (フリー) の、中国地方代表。

結城千種 (WRERA) & ケルベロス小鳥遊 (スレイヤー) の、中部地方代表。

桜井千里 (WRERA) & 金森麗子 (フリー) の、中国地方(広島)代表。

ボンバー来島 (WRERA) & 永沢舞 (スレイヤー) の、九州地方(福岡)代表。

グループリーグと決勝トーナメント二回戦までを終了し、ついに優勝の行方は 4チーム 8名に絞られた。 *c1




【準決勝】


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「さあてと、千種。
あんたとは何度かタッグでやってるけど、お互いこーゆー組み合わせは滅多にないわよねー。 今日は楽しませてもらうわよ!」

「楽しむだなんて……そんな余裕見せてたら、私たちがあっさり勝っちゃいますよ、祐希子さん。
ここまで来たからには、狙うは優勝だけです!」

祐希子は確かに強いが、少なくとも“評価値”合計はこちらが上。 実力の合計もおそらくは上のはず──と千種がそんな計算をしたかどうかはわからない。

しかし、祐希子の実力が千種と小鳥遊の予想をはるかに上回っていたことは間違いなかった。

「一気に決めるわよぉ!」

千種を序盤からの JOサイクロンで下がらせると、続く小鳥遊も圧倒。 まさに独壇場の展開に、

「これで負けたら、私のせいだって言われちまうね!」

パートナーのアドミラル八島も奮闘。
得意技ののど輪落としを千種に決め、祐希子ともども一気に試合を決めにかかる。

「そうは……そんな簡単には、決めさせません! 反撃開始よ、ケルちゃん!」

「お、おいおい、あんたっ! その『ケルちゃん』って誰から聞いたよ!?」 *c2

反撃の狼煙は千種&小鳥遊組のダブルラリアット。
さらに千種得意のバックドロップで、八島は KO寸前。 そして、

「こいつでおしまいだぁーー!!」

小鳥遊の巨体を存分に活かした必殺のガルムズディナーが、交替した祐希子を吹き飛ばした。

展開は完全に逆転。
ここから書かれるシナリオは、千種と小鳥遊の勝利しかありえなかった。
──相手が、あの“無敵の女神”でさえなければ。

「あんたたち! 夢の中だろーがなんだろーが……。
そんな簡単にトップがとれるなんて、思わないでよね!」

祐希子がそこから見せた反撃は、まさに神懸かっていた。
まだまだ余力を残していたはずの小鳥遊を大技の連発で翻弄し、さらに千種をも一方的に押し込んでみせる。

「まだです! 最終回からだって、ビッグイニングを作ってみせます!」

……千種の宣言が虚しいものと化したのは、それから三分後。

WRERAの後輩に対しても容赦の無い祐希子のシャイニングウィザードが、千種を流血させるとともに、時間切れまであと数秒というギリギリで勝利までも奪い去ったのだった。

○ 祐希子&八島 [中国] −(59分55秒 シャイニングウィザード)− 千種&小鳥遊 [中部] ×



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「最初は、すっげー不安なタッグだったんだけどよ。
タイプも祐希子似だし、永沢の奴とはけっこう相性いいのかもな。
だから……決勝には俺たちが行かせてもらうぜ、千里!」 *c3

「宣言するのはご自由に、来島さん。
大切なのは、最後にどちらが立っているか。
……勝利だけは、決して譲りはしません!」

WRERAではもう八年半の付き合いになる、ボンバー来島と桜井千里。

最近は後輩・千里に水をあけられている感が否めない来島だが、だからこそ「パートナーに恵まれた」この大会では負けるわけにはいかず、もちろん負ける気もしていなかった。

「二対二だけじゃねえ! 一対一でもなっ!!」

来島のナパームラリアットもあって、序盤は千里相手に優勢。
さらに来島のパートナー・永沢も、千里のパートナー・まだまだ若手の金森に、実力差を見せ付ける。

「元気な子は嫌いじゃないけどね!
今のあなたじゃ、まだまだ。 マダマダ!」

序盤から強引に不知火を繰り出すなど金森を翻弄してリズムに乗ると、永沢は千里に対しても得意のタイガースープレックスを決めて互角以上に振る舞い、早くも試合の行方を決定づけにかかった。

「……やられっぱなしじゃ、いないもん! カッコいいところ、見せるんだから!」

それを食い止めたのは、金森だった。
ヘッドバット二発から組み付いてスモールパッケージホールド。 起き上がる間を与えずに顔面ウォッシュ。 永沢まさかのピンチに出てきた来島の猛攻も何とかエルボーで振り切って、千里とのタッチにこぎつける。

「やはり最後に立っているのは──私たちです!」

飛び出した千里がスパートをかけ、来島、永沢、再び替わった来島を、いずれも寄せ付けない。
決勝戦に進むのは、中国地方代表、広島チームの二人と思われたが──

「決勝には俺たちが行かせてもらうって、言っただろうがっ!!」

来島二発目のナパームラリアット、そして直後の永沢とのダブルパワーボムが、さしもの千里からも体力と抵抗力を搾り取った。

「千里さん! 手を、手を伸ばしてっ!」

何とかエプロンの金森が身を乗り出して、千里との交替に成功するが、

「悪りぃな! これで終わらせてもらうぜ!」

ロープ際のコブラツイストで締め上げてから、とどめはトップロープからのミサイルキック。

広島出身の二人を倒して決勝に進んだのは、九州地方代表・福岡出身の来島と永沢だった。

× 金森&桜井 [中国] −(19分23秒 ミサイルキック)− 来島&永沢 [九州] ○



【決勝戦】


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「よお、祐希子。
タッグでお前と向き合うってのも、珍しい話だよな。
普段は正直、お前が主役って感じだが……今日は、俺が主役を張らせてもらうからな!」

「そうです、ソウデス! 今日の主役は私たち!
祐希子さんにはなーんか親近感あるんですけど、勝負は別です!」 *d1

「あはは。 恵理とスレイヤーの永沢のタッグかぁ。
さすが優勝候補筆頭チーム。 どっちも手ごわい相手よね。
“評価値”ってやつは、向こうがかなり上みたいだし。 どう思う、静香ちゃん?」

「……静香ちゃんはやめてほしいね。
試合のことなら、聞くまでもないだろ。 覚悟を決めて、やるだけさ!」

祐希子 VS 来島。
タッグパートナー同士ということもあって WRERAでも最近は珍しい親友同士の対決で、決勝戦は幕を開けた。

「お前の強さはよくわかってるからな……フルパワーで行かせてもらうぜ!」

ナパームラリアットで先手を取ったのは来島。
序盤ということもあって祐希子が一度下がると、来島は八島に対してもノンストップで攻勢に出た。

「来島ぁ……。 調子に、乗るんじゃないよ!」

「生意気言うんじゃねえよ、八島っ。 もっともっと調子に乗らせてもらうさ!」

八島必死の反撃も、来島の筋肉の壁に跳ね返され、押し返される。
決勝戦は中盤戦まで、来島が出ずっぱりの一人舞台となった。

「さっすが恵理ね! でも、やっぱり主役はこの祐希子サマだって、教えてあげる!」

ここで炸裂した、祐希子の JOサイクロン。
さらに来島にフロントスープレックスやフェイスクラッシャーを叩き込み、親友相手に“炎の女帝”の牙城を見せつける。 だが、

「主役とかボスとかはいつか交替しちゃうもの! 動物の世界もプロレスもおんなじです!」

今や永沢は、来島と同等クラスにまで成長してきている選手だ。
祐希子相手にも全く引かず、あのカオス相手に JSW王座を防衛したばかりのその実力を、遺憾なく発揮してみせた。 *d2

「みんな、お待たせー! 必殺技だよ、必殺技!」

ついに永沢の必殺技・タイガースープレックスが祐希子に決まり、九州代表チームの二人に、優勝の栄冠を意識させる。

「まだだ! こんな程度で終わるなんて、ナメてんじゃないよ!」

交替した八島の、のど輪落とし。
さらにはナックルやベアハッグが、実績も実力もはるかに上な永沢に、彼女の意地と負けん気を刻み込んでいく。

「ううっ。 ちょっとマズいかも。 ワンちゃんパワーを充電しないと……!」

「おっとぉ! そう簡単にタッチはさせないわよ!」

一瞬早く替わった祐希子が、永沢の交替を許さない。
ノーザンライトスープレックスから八島とのダブルパワーボムの大技二発で、永沢の耐久力を限界まで削りきった。

「フォールは、させねえよ!」

レフェリーのカウントは来島がカットで止め、さらにようやくタッチにこぎつけて、三たび向かい合った祐希子と来島。
祐希子の息はすでに荒く、対する来島は余力十分。 来島は、フィニッシュに向けて突進した。

「恵理のそーゆーとこ……好きなんだけどね!」

勢いを丸め込んでのローリングクラッチホールド。 カウント2で弾いた来島に、八島を呼んでのダブルパワーボムからフェイスクラッシャー、そしてラリアットを返してのラリアット。

「そ、そんな……このままじゃ、まずい、マズイ! 来島さーん!」

一気に逆転された形勢を再び逆転するべく、タッチした永沢。 しかし、

「主役交替? それはもーちょっと……あとってことで!!」

ダブルパイルドライバーから引き起こしての、ストレッチプラム。

永沢の告げるギブアップの声が、試合終了にして大会終了のゴングを鳴らす鍵となったのである。

○ 祐希子&八島 [中国] −(47分36秒 ストレッチプラム)− 永沢&来島 [九州] ×




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「優勝トロフィーかい……。 うれしいっちゃうれしいんだけど。
私が勝っちまって、良かったのかねぇ」 *e1

「なーに言ってんのよ。 正々堂々、あたしたちの優勝でしょ!
ま、最後はやっぱり祐希子サマが勝っちゃうってね!」 *e2



故郷(くに)別対抗タッグ戦、W杯(WはレッスルのW)。
優勝は、マイティ祐希子とアドミラル八島の中国地方代表チーム。

戦前の評価や予想、そして“評価値”の差などを全て覆してたどり着いた頂点は、マイティ祐希子にとって第一回チャンピオン・カーニバルに続いての「大会」優勝でもある。 *e3

カレーポット型のトロフィーを掲げてガッツポーズを取る祐希子に対して、敗れ去った他の選手たちは全員、

「まぁ、夢の話だから……」

などと呟きながら、ぞろぞろと会場を後にしたのだった。




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■ 注釈(?) ■
*a1そう。実力も高く得意分野の相性も良くしかもベストタッグ。決勝トーナメント開始前は、この二人が優勝する確率は高そうだと思っていたのですが……。
*a2ローズ・ヒューイットが龍子の「壁」になってた話は、2年目1Q妄想補完その62年目3Q、とかにて。
*a3この二人が16強に残ったのは、予選サプライズの一つです。
*a4ゲーム中、実際に出た言葉なので、ちょっと面白かったです。
*b1評価値合計はかなり鏡&十六夜組が上なのですが、無双モードに入ったゆっこさんにはあまり関係なかったようです…。
*b2真帆は成長途上ということもあり、技はあまり覚えていません。しかし基礎はばっちりで筋力&パワーがA、回復が9なので、世界トップレベルの体力です。
*b3評価値合計は全チーム中でNo.1の来島&永沢です。
*c1大きな「ハンデ」(金森と八島2pには悪いけど)を負ったゆっこ組と桜井組がここまで残るとは思いませんでした。
なお、三位決定戦はやりません。
*c2小鳥遊は永沢などから『ケルちゃん』と呼ばれてる妄想設定です。8年目1Q10年目1Qなど。
*c3投げ&飛び技を得意とする点は、確かにゆっこタイプの永沢。それになにより中の人が同じですから。
*d1中の人が同じですから(しつこい)。
*d2本編ではスルーしてますが、ついこの前の 5月に防衛。
*e1もちろん八島2pに何の問題もありません。ただ、まさかこの組み合わせでゆっこチームが優勝するとは…。
決勝戦終了直後は半ば呆けて、手を叩いて笑っちゃいました
*e2Part1のグループEでドイツについてのサッカー界の格言を書きましたが、さしずめ
女子プロレスは単純な競技だ。2人かそれ以上の女たちが技と力を競って身体をぶつけあう。そして最後にゆっこが勝つ」てなもんでしょうか。
*e3来島&永沢チームとの評価値合計差は200超。
ゆっこさんには「トーナメント」「一発勝負」とかいう裏スキルがついてるんじゃないかと。(サッカー界だとミランやリバプールについてそうな奴。)
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