8年目4thQ P2 へ ←  リプレイトップへ  → 9年目1stQ P2 へ


9年目1stQ (4〜6月) Part1 〜 超攻撃型決戦 〜

《目次っぽいもの》
頂上、さらにその頂点[WR]超攻撃型決戦[SL]親友の好意?[WR]注釈?



4月。それは、新たな期の始まり。 *1a

桜が舞うにはまだ数週間の時が必要な札幌の地において、まさに今、一人の「桜」が空高く舞い上がり、頂点に挑もうとしていた。

NA

「──さーてと。 強くなったもんだよね、桜井ちゃん?
ひょっとするとあたしが負けるかも……なんて思いでこのベルト賭けて戦うのは、龍子や市ヶ谷以来、久しぶりよん」

NA無差別級世界王者・マイティ祐希子は、どこか弱気なセリフとは裏腹な楽しげで不敵な笑みを浮かべて、挑戦者・桜井千里とリング上で向かい合った。

「強くなった……ですか。 まだまだとは思いますが、否定もしません」

このところ対・祐希子戦で五分に近い戦績を残している IWWF世界王者は、1月に他ならぬ祐希子の挑戦を退けてベルトを死守している。

その翌月には祐希子&龍子という強力無比のタッグを相手に市ヶ谷との NA世界タッグ王座を守り抜いたことも、千里に自らの充実ぶりを意識させる要素となっていた。 *2a

「ようやく頂点が見えた……そこからの道のりこそ、えてして遠いもの。
私たちの世界の頂点がどれほどのものか、この身で確かめさせてもらいます!」

ゴングに重ねるように飛び出した、挨拶代わりのショルダータックル。
それを真正面から受け止めた祐希子は、そのまま強引に千里を引き倒した。

転がるようにマットに這う相手が起き上がるまでの数瞬、祐希子は一気にコーナーを駆け上がった。無用な溜めも照準あわせも無しに、一気にカクテル光の中へと飛翔する。

「なっ!?」

「──あたしのハートに火をつけたこと、後悔させてあげる!」

開始早々のフィニッシュムーブ、ムーンサルトプレス。
いきなり双翼の一枚を見せた祐希子は、千里の起き上がりも待たず一気呵成に攻めていく。

無論、千里も黙って攻められるような選手ではない。 甘く入った逆水平をエルボーで打ち落として反撃の口火を切ると、得意の蹴りをあえて見せ技にすることで形勢の挽回を図った。

「流した汗なら……あなたにだって負けません!」

十五分経過。
満を持して解き放たれたハイキックが、“炎の女帝”の牙城を揺るがせる。

封印を解いたかの如く、蹴り技を集めて勝利への道を突き進もうとする千里に──祐希子は、再びの不敵な笑みで応じた。

「それでこそねっ。 それでこそ、あたしが倒したいと思った桜井ちゃんだよ!」

フェイスクラッシャー、シャイニングウィザード、再度のフェイスクラッシャー。
無敵の女神もまた、自らの封印を解き放ったのか。
ヒートアップした超満員のドームの声援を背に受けて、祐希子は一気にフィニッシュに向けて走り抜ける。

「まだです……こんなことで!」

千里もエクスプロイダーでカウント2.5まで王者を押さえ込む意地を見せ、勝利への望みを繋ぐ。しかし、

「今日ばっかりは──あたしの勝ちっ!」

ゆっこ

フィニッシュはノーザンライトスープレックス。

世界が注目した 18分19秒間の頂上決戦は、マイティ祐希子の王座防衛によってひとまずの決着を見せたのだった。




5月のスレイヤー・レスリング最終戦。
文句なしに注目のメインイベントは、王者・サンダー龍子に GWA王者・フレイア鏡が挑むスレイヤー無差別級王座戦だった。 *1b

しかしそれは、他の試合がつまらないことを意味するわけではない。

特に、セミファイナルのアジアヘビー級王座戦、真田美幸 VS ライラ神威戦は、実力は均衡、性格は正反対、しかし共に感情にまかせるタイプ、と言っていい二人の対決であることから、メインを食う試合になるかもしれないと期待する向きも多かった。

しかも、第五戦でのちょっとした出来事から、ライラは真田の怒りを買っていたのである。

ASIA

「この前の試合……タッグ戦で、桜崎先輩と斉藤さんに場外乱闘で流血させてたっスね。
勝負は、お前と鏡先輩の勝ちが完全に見えてたはず。
それを……何であんな無茶したっスか、お前は!」

「ああっ? 何をワケわかんねぇこと言ってんだ、真田先輩。
私は最後まで手を抜かずに試合しただけだぜ?
あんたの愛しいメイド先輩が血を流したからって、んなムキになるこたぁないだろ?」

「桜崎先輩だけじゃないっス!
新女があんなことになって、フリーで頑張ってる斉藤さんにまであんな……。
そうでなくても、斉藤さんは初めてメイン戦で自分と戦ってくれた相手!
尊敬する先輩二人に無茶されて許せるほど、自分は人間が大きくないっスよ!」 *2b

「初めての相手って……ひゃははは、乙女かよ! 何年前の思い出引きずってんだ?
ま、思い出なら私も一つ引きずってるから、人のこたぁ言えねえがよ。
あれは三年ほど前──あんたを真っ赤な血の海に沈めてやるって話だったなぁっ!」 *3b

突如、ライラが牙を剥いた。
踊りかかるライラをしかし真田は予期していたのか、動じることなく真っ向から迎え撃つ。

遅れてゴングが鳴った時には、既にリング中央で派手などつきあいが展開されていた。

「一気に決めるっス!」

「焦るんじゃねぇ! たっぷり地獄を見せてやるよ!」

攻撃型の二人がノーガードでぶつかりあえば、こうなるのだろう。

斬馬迅に地獄落とし、威力には定評のある大技までも序盤から惜しみなく繰り出して、互いの身体の耐久力をガリガリと音でも聞こえてきそうな勢いで削っていく。
まさに一進一退のどつきあい、意地どころか命まで賭けた大喧嘩だった。

「命の取り合いなら、私の方が強ぇだろうよ!」

ライラのブレーンバスター、オリジナルに近い危険な投げ方のそれが、真田の意識を飛ばした。 そのまま担ぎ上げられ成す術なく食らってしまうのは、本日二発目の地獄落とし。

《ライラ神威、そのまま押さえ込む! ワン! ツー! ス……真田返したぁ! 2.8ぃ!》

寸前まで入ったカウントに、真田を応援するファンからは悲鳴と安堵と声援が乱れ飛ぶ。
だが、フォール体勢で時間を使ったことは、真田の意識をはっきりと引き戻していた。

「よくもやってくれたっスね! 倍にして返すっス!」

これで終わりと攻めに来たライラの意識と、彼女に傾いた試合の流れ。
どちらも断ち切るカウンターのトラースキック。
ぐらついたライラをもう一発、逆足のトラースキックで倒した時、勝敗はほぼ決したのだろう。

直後のジャーマンこそ、丸め込まれて冷や汗のカウント2.8を聞くことになるが、続く真田の斬馬迅を耐えるだけの余力は、ライラにももう残っていなかった。

真田

「しっかり反省! 心を入れ換えて、出直してくるっスよ!」

血の海に沈めて勝つどころか、血の一滴も流させずの敗北。

説教に近い真田の勝利宣言にも、歯ぎしりするのみで言葉を返せないライラだった。 *4b




南

「私に壊されたいのは誰なの?」

EWA二冠王者、ワールド女子所属の南利美。 *1c
5月の WRERA興行に参戦してくれた彼女に、WRERAのフロントは EWA王座戦開催を希望。 条件付きでの承諾を得た。

そこで早速、社長自ら挑戦者候補の選手にその旨を伝えたのだが……。

千種

「む、む、む、無理ですっ、社長! ごめんなさい!
私にはまだ早いですっ! だからこれで失礼しますっ!」

「いや待て、結城! そのパターンはこれで何度目だ!
少しは落ち着いてこっちの話を聞けえっ!」

結城千種。

ちょうどデビュー四年目に入った彼女は、すでに海外を含む他団体のエース級と五分に渡り合うだけの実力をつけてきている。

でありながら、これまでに経験したシングルのタイトル戦試合数はゼロ。
これは、大切に育てようという社長以下フロントの意向──などではなく、タイトル戦を打診されても千種本人がひたすら固辞してきたことによる。
……まさに、今回と同じように。

「だって、シングルなら来島さんや越後さんもいるじゃないですか。
私より強くてもベルト持ってない人がいるのに、それを差し置いてなんてぇ……」

「今回、その方便は通用しないぞ、結城。
王者側──南選手の希望でな、タイトルを賭けるなら、既に何度も顔を合わせてる近い世代の来島や越後より、対戦経験のない若手とやってみたいんだそうだ。
加えて、南選手と張り合える実力を持つとなれば、これはもうお前一人。
というわけで、観念しろ」

「いえいえいえいえいえ! あの南さんと張り合うなんて、とんでもないですよぉ!
私なんかじゃ、団体の顔に泥塗っちゃいますって!
もうちょっと、そう、あと半年とか一年とか、頑張ってからです!
挑戦はそれから改めて……モガッ、ンン!?」

「社長。 その話、受けるわ」

「ゆ、結城? ……いや、武藤!?」

目を剥く社長の前で、千種の口を暴れる身体ごと押さえて平然としているのは、いきなり現れた彼女の親友……そのはずの、武藤めぐみだった。

「ふぇぐみっ!? んめあっめ、はあひんくあもほひっげはひ! がんひひっへむー!」

「……よかった、千種もオッケーって言ってるわ。 だから、早く話を通しちゃってね?」

「あ、ああ……わかった。 今すぐ、先方に話を通してこよう」

「んんーっ! はばひほんがごほはめほー! ふぇぐみ! ひゃほぉー!」

5月シリーズ最終戦。 その注目カードの一つとして、南利美 VS 結城千種の EWA認定世界王座戦が決定した瞬間であった。 *2c




ページトップへ
■ 注釈(?) ■
*1a4月のWRERAは、桜井FC、徳島グッズショップ設置など。
タイトルマッチでは、桜井&市ヶ谷が堀&越後のアジアタッグ王者相手に NAタッグ五回目の防衛を果たしてます。
*2a8年目4Q P1と、8年目4Q P2とをご覧ください。
*1b5月のスレイヤーは、小鳥遊2p始球式、ライラCD(「それなり」のヒット)、真帆2pCD(「あまり」売れず…)、和歌山グッズショップ設置など。
4月は真帆軽傷(5月完治)、フレイアCM、真田CM、群馬に飲食店、龍子プライベートイベントその2、など。
タイトルマッチは、4月が小鳩のWWCAジュニア十四度目の防衛(vsソニック)、フレイア&千春のNJWPタッグ三度目の防衛(vsモーガン2p&ダダーン2p)、森嶋のWWPA十二度目の防衛(vs石川)。
5月は、本文に記載のある二戦の他、永沢のJSW二度目の防衛(vs斉藤)、石川&RIKKAのWWPAタッグ五度目の防衛(vsモーガン2p&ダダーン2p)、小鳩のTWWAジュニア七度目の防衛(vs千春)、でした。
*2b新女崩壊でフリーになった斉藤を二ヶ月契約で参戦させてます。
斉藤と真田の試合については、5年目3Qにて軽く触れる程度に。
*3b伏線にも何にもなってませんが、6年目2Qの話です。
なお、真田とライラはどちらも攻撃重視で育てているため、防御には難ありです。
*4b直接関係ありませんが、この月、日本海女子ではフリー参戦のカンナが AAC王座を奪取してたりしてます。
また、メイン戦では龍子がスレイヤー王座戦十九度目の防衛に成功。
*1c気が付けばシングルとタッグの EWA二冠を奪っていた南さんです。さすが。
*2c5月のWRERAは、秋田の飲食店閉店→即作り直し、桜井FC、堀始球式、富沢二十歳の誕生日、ソニックフリー参戦(二ヶ月)、千秋プライベートイベントその2、など。
最終戦前までのタイトルマッチは、千秋のWWPAジュニア初防衛(vsソニック)、堀&越後のアジアタッグ八度目の防衛(vs市ヶ谷&南)、富沢のTTT王座初(?)防衛(vsソニック)、でした。
ページトップへ


8年目4thQ P2 へ ←  リプレイトップへ  → 9年目1stQ P2 へ


トップへ
(C)2008 松永直己 / TRYFIRST
(C)2005 松永直己 / SUCCESS 運営サクセスネットワーク
(C)2005 松永直己 / SUCCESS
All rights reserved.
当コンテンツの再利用(再転載、再配布など)は禁止しております。
※画像等については「このサイトについての注意書き」もご覧下さい。