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8年目2ndQ (7〜9月) Part2 〜 Recurring Nightmare 〜

《目次っぽいもの》
尊敬と信頼と対戦[SL]Recurring Nightmare[SL]おまけ:遺恨騒ぎ[WR]注釈?



ASIA

《これは意外、意外や意外!
RIKKA VS 真田美幸、アジアヘビーのベルトを賭けた武田忍軍と真田家の一戦は、この試合初めて見せた関節技・コブラツイストが、真田家に凱歌をもたらしました!》

スレイヤー 8月シリーズにて行なわれた RIKKA VS 真田美幸のアジアヘビー級選手権は、序盤から勢いある戦いを見せた挑戦者・真田が、王者・RIKKAによる終盤の猛反撃を何とか抑えきり、初のシングル王座を手に入れた。 *1a

リングアナが「意外」と繰り返したように試合は真田が苦手とする関節技で決まったが、結果までもが意外というわけではない、堂々たる戦いぶりでの戴冠劇だった。

真田

「よっしゃあ! 自分、嬉しいっス!
今日はありがとうございました、RIKKA先輩!
リターンマッチはもちろん最優先で……って言いたいところっスけど、すんません!
今回だけは、どうしても先にやりたい人がいるんです!」

おそらくは試合前から考えていたのだろう。
誰に問われたわけでもなしに、真田は早くも防衛戦の相手を指名しようとしていた。

小さくざわめく会場の中、真田は大きく深呼吸すると、得意の気合いをたっぷりと込めた大声を、手にしたマイクに向かってぶつけた。

「桜崎先輩ぃっ!! 自分のこの熱い胸の想い、しっかりと受け止めてくださいっス!!」

そのラブコールは、観客席はもとより、既に試合を終えている選手たちの控室にもスピーカーを通して満遍なく届き──

「…………はぁ?」

シャワーを浴びて一息ついていたメイデン桜崎の、クセ毛気味な髪を慎重に手入れするその手を、ピタリと止めさせたのである。

かくして、早くも翌月── 9月の最終戦にて、真田美幸 VS メイデン桜崎という GWAタッグ王者同士のアジアヘビー級タイトルマッチが組まれることになったのだが……。 *2a

桜崎

「ふぅ……。 真田ってば、なんでわざわざ私を指名するんだか。
正直、やりたくないってのに……」

真田が得意とする打撃技は、桜崎最大の弱点だった。
だからやりたくない……という単純な話でもない。

弱点の話なら、真田最大の弱点は、桜崎が得意とする関節技だ。
ある意味、条件は互角と言える。

見方を変えれば二人は互いの弱点を補える間柄であり、だからこそ二人のタッグは、ここまで格上のチームを相手に GWAタッグベルトを死守し続けられているのであった。

「その GWAタッグの方に悪影響出るのが嫌なのよね。
10月には、石川さんと RIKKAさん、WWPAタッグ王者相手の防衛戦が決まってる。
そんな時にパートナー同士でシングル王座戦なんて……ホント、真田は何を考えてるのよ?」

「…………単純なことだ……」

「っ!! RIKKAさ……お嬢様。 驚きましたわ。 いつからそこに?」

気配でも消していたのか、天井裏にでも潜んでいたのか。
いきなりすぐそばに現れた RIKKAに虚をつかれながら、桜崎は何とかメイドレスラーとしての自分を取り戻して挨拶をした。
RIKKA

「…………先輩。 パートナー。 そしてライバル……」

「……はい? あの、RIKKAお嬢様……?」

「…………全てにおいて、敬愛してやまないのだろう。
だからこそ、全力でお前と戦いたいのだ……」

「それは……真田お嬢様のこと、ですか?」

「…………その想い、大切にしてやるがいい……」

自分の質問はここまで全て無視されていたが、不思議と桜崎は腹が立たなかった。
だから、おそらく答えが無いことを覚悟した上で、質問を続ける。

「RIKKAお嬢様……どうしてわざわざ、私にそんな話を?」

「…………少し羨ましいな、お前が……」

最後だけ少し噛み合った気がした会話は、言うだけ言った RIKKAがそのまま疾風のように去ったことで、唐突に終わりを迎えた。

「……行っちゃった。 でも、私を羨ましいって言われても……。
RIKKAさんも、石川さんや上原さんとのタッグで世界タイトル取ってるのにねえ」 *3a

一人つぶやいた桜崎だったが、RIKKAの残した言葉の意味を、何となくは理解していた。

「──パートナーで、ライバル。 おまけに、すっごく慕ってくれてる後輩、かぁ。
確かに、レアっちゃレアかもね……」

どこか遠くを見るようにして少しの間だけ考えを巡らせ、それから桜崎は、自分の頬を両手で軽く叩いて、よしっ、と決意を口に出した。

「ま、しゃーないわね。 ここは私が一肌脱いであげますか。
いえ、どうせならタイトルももらって、先輩の威厳も示してやっちゃいましょう!」

ASIA

やがて迎えたアジアヘビー級タイトルマッチは、実力伯仲との下馬評を証明するかのごとく、お互い一歩も引かない接戦のまま、終盤までもつれ込む。

最後は新王者・真田が斬馬迅で桜崎を振り切ったものの、互いの持ち味を活かしあった名勝負に、会場からは大きな拍手が送られたのだった。 *4a

「今日は参りましたわ、お嬢様。 ですが、好事魔多しとも申します。
調子に乗って来月のタッグ戦で失敗するようなことだけは、許しませんからね?」

「もちろんっスよ、先輩! 先輩とのタッグベルトも、自分の宝っスから!
だから、これからもずっと、よろしくお願いしますっ!」




氷室

「ライラ神威……あなたは、決して許されないことをした。
その報いを受けるのが、あなたの運命……」

日本海女子のエース、氷室紫月が 9月のスレイヤー興行に殴りこんできたのには、十分すぎるほどの理由があった。

その理由が生まれたのは、一月前の 8月。
JSW

スレイヤーから乗り込んできたライラ神威の最終試合に、日本海女子は王者・ガルム小鳥遊との JSW王座戦を用意した。

国内有数の正統派ヒールレスラー対決。

その話題性もさることながら、それまでの四戦でライラが見せた凡庸極まりない戦いぶりから、日本海女子にしてみれば王者の防衛は堅いと見込んでの決断だったのだろう。

しかし彼らは、試合後──どころか試合の最中から、その決断を後悔することとなる。

「ひゃーはははっ! 馬鹿どもが騙されやがって!
こんなロートル、はなっから私の敵じゃねぇんだよっ!」

あまりに一方的な試合は、わずか10分、それも陰惨なまでに相手をいたぶった上での決着で、ライラがベルトを強奪。 ガルムは病院へと直行した。 *1b

この試合で受けたダメージが元でやがて引退を余儀なくされるガルム小鳥遊は、

「ヒールレスラー同士がガチでぶつかれば、こういうこともあるのさ。
要は、私が弱かったってことだ」

と語るにとどめたが、彼女を慕っている氷室たち JSWの選手にしてみれば、それで収まりのつく話ではない。
JSW

「だから……私が、あなたを倒す。
みんなが、そして運命も、私の背を押してくれる……」

「やれやれだぜ。 弱い奴ほどよく群れるってか。
仲良しこよしの甘ちゃんは、流す血の味も甘いんだろうなぁ!」

ゴングが鳴って、激しく仕掛けたのは氷室。

どちらかといえば落ち着いて試合を進める彼女には珍しく序盤から前に出て、得意のグラウンドに引きずり込む。

「あなたの運命は、決まった……!」

氷室得意のフォーチュンロックが、ライラの体力を絞りつくそうとする。
しかしライラも日頃からフレイア鏡に嫌というほど相手をさせられ、関節技には慣れていた。

「効か…ねぇ……ってんだよ、その程度っ!!」

何とか脱出した直後から、倍返しとばかりに猛攻を仕掛ける。
打撃中心のその攻めは、明らかに氷室の流血を狙ってのものだ。

「なんだっ? 意外に血が出ねぇなぁ? それなら、これでどうだ!」

フェイスクラッシャーでマットに叩き付けた額から、ついに鮮血が飛び散った。
それを確認すると、ライラはニヤリと笑って氷室を抱えあげた。
高速・高角度のデスバレーボム──地獄落としの体制だ。

「そうはさせないっ……運命は、私に勝てと言っている!」

落とされるところを巻き込んでの回転エビ固め。
すぐにはねのけられるも、再びのフォーチュンロックが勝利をもぎ取ろうとライラを締め付ける。

「なかなか…やるじゃ、ねぇか。 だがよ……効かねぇって言ったろ!」

氷室の反撃もそこまでだった。
こちらも再びとなるフェイスクラッシャーからの地獄落としが今度こそ決まり、ライラは JSW王座の初防衛に成功したのである。 *2b
ライラ

「甘ちゃん揃いのお前らに、私が負けるはず無いんだよっ!」




数ある女子プロレス団体の中でも、選手と団体そして選手間の結びつきが一際高いとされる WRERA。

その WRERAの内部において、あろうことか「選手同士の遺恨」という不穏な噂が流れるようになったのは、9月も終わりに近づいた頃だった。 *1c

この手の噂は疑心暗鬼を呼ぶ。
やがて選手たちの間にも、誰が誰を憎んでいるのか詮索するような張り詰めた空気が漂いはじめるという、由々しき事態に陥りつつあった。

「霧子くん、これは放ってはおけない問題だ。 すぐに事実関係を確認してくれ!」

「わかりました、社長!」

WRERAの敏腕女性秘書・霧子は、社長の命を受けて調査活動を開始。

ほどなくして、残念ながら噂が真実であることが判明してしまったのだが──

市ヶ谷

「覚えてらっしゃい、祐希子ぉっ!!
いつか必ず目にもの見せて差し上げますわ!!」

「……ということで、市ヶ谷さんが祐希子さんを恨んでいる、という話のようです。 社長」

「そうか、それはマズいな。 何とか手を……って、あれ?
霧子くん、市ヶ谷と祐希子……だって?」

「はい」

「それって……いつものことじゃないのか……?」

「ですよねえ」

選手たちも、「何だ、あの二人か」の一言でこの件から興味を無くし、WRERA初となる遺恨話は、うやむやのうちに片付いてしまったのだった。 *2c




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■ 注釈(?) ■
*1a22分54秒、コブラツイストで真田が勝利。
RIKKA操作でしたが、序盤に斬馬迅食らって体力40%vs100%まで持っていかれたのが響きました。
*2a9月のスレイヤーは、家電スポンサー(石川)、GWA遠征防衛、小鳩FC、小鳥遊2p誕生日、福井にグッズショップ設置、真田プライベートイベントその2。また、新女のソニック&理沙子&八島が殴りこんできてます。
本文で取り上げてないタイトルマッチでは、
小鳩がTWWAジュニア四度目の防衛(vsソニック)、
石川&RIKKAがWWPAタッグ二度目の防衛(vsモーガン2p理沙子)、がありました。
*3a上原とはNA世界タッグ、石川とはIWWF世界タッグ獲ってます。
*4a18分34秒、斬馬迅で真田が初防衛。真田の打が+7、桜崎の極が+6ということもあり、噛み合った好勝負でした。
*1b評価値はすでに300ほどライラが上。ほぼ楽勝の 10分48秒での決着でした。
少し話を先取りすると、10月にはガルムさんが引退しちゃってます。実際にはライラのせいではないでしょうけど。
*2b23分16秒、必カードの地獄落としで終了してます。
この試合はライラに流血縛り条件(相手を流血させること)で戦わせました。
*1c過去のリプレイ通じても初の遺恨イベントが発生してます。
9月の WRERAは、EWAタッグ遠征防衛(越後&富沢。敗北でベルト喪失…)、青森飲食店設置、など。
タイトルマッチは、堀のGWAジュニア六度目の防衛(vs千秋)、
桜井のIWWFヘビー九度目の防衛(vs市ヶ谷)、がありました。
*2c遺恨の効果はバッドタッグになるだけのようなので、もともとバッドタッグのゆっこと市ヶ谷には関係ありません。
放置しても良かったのですが、一応は会話で解消させてます。
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