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8年目2ndQ (7〜9月) Part1 〜 殴りこみは計画的に 〜

《目次っぽいもの》
龍子の苦悩[SL]殴りこみは計画的に[WR]野生児への感想[SL]注釈?



市ヶ谷

「……勝った? 勝ちましたのね? 勝ちましたわっ!!
オーッホッホッホ! ざまーみさらしませ、サンダー龍子!
乱れていた星の巡りもようやく正常に戻ったようですわね!」 *1a

「……くそっ、市ヶ谷め。
シングルじゃ、あんたに初めての負けか。
ま、ノンタイトルだし、そこまで喜ばれると、悔しさ通り越して祝福してあげたくなるけどな?」

7月。 *2a
半年前に奪われた NA世界タッグベルト奪還を目的に、スレイヤー・レスリングは現王者のビューティ市ヶ谷&桜井千里組を自団体の興行に招待した。 *3a

WRERAではアウェーでのタイトルマッチを危惧する声も挙がったが、いつもの如く、

「オーッホッホッホ! そのくらいがちょうど良いハンデですわ!」

と強がる市ヶ谷に社長が押し切られる形で、承諾することになったのである。

「さて。 先日の試合では、千里さんがあなたのパートナーの石川とやらの挑戦を退けましたし、今日で私とあなたの勝負付けも済んだというもの。
これで今度の NAタッグ戦は、もはや戦わずして勝負が決まったも同然ですわね、龍子!」 *4a

「……前言撤回。 祝福はヤメだっ。
どの口で勝負付けが済んだなんて言ってんだ、市ヶ谷!?
大体、もし仮にそうだったとしても、タッグとシングルは全くの別物なんだよ。
前回は不覚を取ったけど、今度こそ私と石川のコンビネーションを見せ付けてやるさ!」

スレイヤー側の挑戦者は発表されていなかったが、団体最強タッグとされる前王者・龍子&石川組が相手となるのは、ほぼ間違いない──というより、他に同等の実績と実力を持つタッグチームがいないため選択肢が無い──とされていた。

何より、龍子には他の誰かに挑戦権を譲るつもりが無く、自分が出る以上は石川をパートナーに指名するつもりだったのである。

だからこそ、社長秘書の井上に呼び出され、そこで告げられた言葉は、彼女にとって到底承服しかねる申し出だった。

「『申し出』?
そんな軽いものではないわ。 これは社長命令よ、龍子さん。
今回は石川さんではなく、彼女よりも評価の高い、森嶋さんか鏡さんと組んでもらいます」
龍子

「評価って……井上さん、なんだよ、それ!
単に雑誌のランキング見て決めてんじゃないだろうね!?
そうでなくても、鏡さんも森嶋も、私とはまるで組んでない。
私とのタッグで、石川よりも動けるわけがないだろ!」

「その石川さんは、先日の IWWF王座戦、桜井選手相手にほぼ完敗。
そんな選手があなたと組んでも NAタッグ戦の勝ち目は薄い……
それよりは、急造タッグでも、より高い実力者と組ませるべきという判断よ」

「あんたらはプロレスが分かってない!
市ヶ谷の奴にも言ったが、タッグとシングルは別物なんだ!
タッグってのは、シングルで強い奴二人を組合せりゃいいってもんじゃないんだよ!」

「──向こうの市ヶ谷選手と桜井選手は、急造タッグだったと聞いているわ。
その二人に敗れて、みすみすベルトを失ったのは、どのタッグだったかしら?」

「くっ……!」

「もう一度言います。 これは命令なのよ、龍子さん?」

NA-T

発表された挑戦者組は、サンダー龍子&森嶋亜里沙。

スレイヤーの現・No.1と No.2が組んだタッグは、ほぼ初タッグながらもなかなかの動きを見せ、20分過ぎには王者組をあわやというところまで追い込んだ。

しかし最後は 35分26秒、桜井千里の不知火に森嶋が屈し、王者組に二度目の防衛を許すことになる。

スレイヤー・レスリングのフロントが重要事項と位置づける NAタッグ王座の奪還は、次回以降に持ち越されることになったのだった。 *5a




「それじゃ行ってきます、祐希子さん。 千種、忘れ物ないわね?」

「もう、めぐみったらぁ。 私、そこまでそそっかしくないよ?」

「新女近くで初めて会った時、携帯をホテルに忘れて慌ててたのはどこの……」 *1b

「わーわーわーっ!! は、恥ずかしいこと思い出させないでよぉ!」

「はいはい、夫婦漫才はそこまでにしときなさい。 殴りこみは遊びじゃないんだからね。
くれぐれも、理沙子さんたち新女のみんなに失礼の無いように。
特にめぐみは、誰が相手になっても、ベルトをしっかり守って帰ってくること!
わかったわね?」

8月、元は新日本女子のベルトである NJWP王座を引っさげて、WRERAの武藤めぐみは結城千種とともに新女こと新日本女子への殴りこみへと向かった。 *2b

一言で「殴りこみ」と言っても、先方の招待や事前合意の上での参戦もあれば、興行前あるいは興行中にアポ無しで押しかけての参戦交渉まで、その形式は様々である。

今回のめぐみたちはアポ無しのケースだったが、新女にとっては自団体のベルトを取り返すチャンスとなることもあって、むしろ歓迎されるはずであった。

ゆっこ 理沙子2p

「それにしても、チャンピオン自ら殴りこみ、ですか。
普通は向こうから来るべきだと思うのですが……?」

「あはは、佐久間ちゃんは堅いというか、真面目よねぇ。
ま、新女とは縁も深いし、いろいろと借りもあるからね。
それにほら、あんたと瓜二つのパンサー理沙子さんも、もうお歳だもん。 東京から札幌まで来てもらうのは大変かなーって」

「……そう。 それはありがたい心遣いね、祐希子?」

「……へっ?」

目の前にいる後輩の佐久間理沙子と同じ声が、背後から聞こえてきた。

怒りを隠した微笑みが容易に想像できるその声に、祐希子は冷や汗を垂らしながらゆっくりと背後を振り返って──半ば予想通り、後輩と瓜二つの顔をそこに見いだした。

「り、り、理沙子さんっ!?
ど、どうしていつもいきなり現れるんですかぁ!?」
理沙子

「あら。 私は、二階の事務所を訪れる前に顔を出してるだけよ。
『若い』あなたたちの顔を見るのも、『年上』の私には楽しいし。
それとも、こういうのも『年寄り』の感覚なのかしらねぇ?」

「り、理沙子、さん……くび、首が絞ま……」

「あら、何かしら、祐希子。 最近耳が遠くって、よく聞こえないのよ?」

にっこり笑って人を斬る──この場合は胸倉を掴んで絞めあげる、新女の“女王”。
その鬼気迫る様相にタジタジになりながらも、佐久間は勇気を出して先輩に助け舟を出した。

「あ、あのっ……パンサー、さん。 それくらいにしないと、祐希子さんが……」

「あら、佐久間……いえ、理沙子さん……って、同姓同名だと、どうもやりにくいわね。
佐久間さん、でいいかしら。 お久しぶりね?」

ようやく解放されて咳き込む祐希子を顧みもせず、新女の理沙子は WRERAの佐久間に笑いかけた。 チャンピオン・カーニバルの際に、挨拶程度は済ませている。

「はい、お久しぶりです。 それで、本日はどういう御用なんでしょう。
また何か、大きなイベントでも開催されるんですか?」

「いえ、今日はごく普通の参戦交渉よ。 急な話だから、いわゆる殴り込み、ね」

「……え……?」

「もちろん最大の目的は、もともとウチの持ち物である NJWPヘビーのベルトです。
我が団体のエース、ソニックキャットを、現・王者の武藤さんに挑戦させてほしい。
興行直前に無理は承知だけど、そこを何とか……って、何を固まってるの、佐久間さん?」

「あのぉ……理沙子さん」

「あら、祐希子。 『若い』あなたが、何の用かしら?」

「それはもういいですからっ。 それより、今さっき行っちゃいましたよ、NJWP王者」

「行ったって……どこに?」

「新女です。 殴りこみに。 思いっきりすれ違っちゃいましたけど……どうします?」

結局。

意気込んで殴りこんだものの互いに肩透かしをくらった WRERAと新女の遠征チームは、
武藤めぐみが GWA所属のジャネット・クレアと NJWP防衛試合を、
ソニック&理沙子組が堀&越後組とアジアタッグ挑戦試合を行なうことで、
何とか折り合いをつけた。

NJWP ASIA-T

試合はどちらも王者側の防衛に終わったが、これ以後、WRERAと新女の間では
「突然の殴りこみはやめて、事前に連絡を取り合うようにしよう」
という紳士協定が結ばれたということである。 *3b




真帆2p

「うん、わかったぞ!
ついていくから、そのプロレスってのを真帆に食べさせろ!」

お盆も明けた 8月下旬。
スレイヤー・レスリングは、全国に張り巡らせたスカウト網の賜物として、人里離れた地に暮らす少女、中村真帆の獲得に成功した。 *1c

新日本女子の人気選手、フォクシー真帆を彷彿とさせる、野性味溢れた言動。
それは彼女の将来にも十分な期待を抱かせるものではあったが、

「こちらが今度入った、中村真帆さん。
好きな物は食べ物で、好きな食べ物は食べられる物よ。
何でも噛む癖があるから、彼女の目に付くところに大切な物を置かないようにね」

──という社長秘書の井上の紹介を受けると、ジムに集まった選手のほとんどは、

「ったく。 ホントに、うちの団体はどういう基準で新人を選んでんだか……」

と、思わず素に戻って呟いたメイデン桜崎と大同小異な感想を抱いた。 *2c

但し、中には例外もいるもので……。

真帆2p 永沢

「きゃーっ! キツネさんだぁ〜! 可愛い、カワイイ!
井上さん、この子、私が飼います! 部屋で飼います!
しっかり面倒見ますから、いいですよね!?」

「こ、こらぁっ! 真帆はペットじゃないぞっ!
抱きつくな、ほおずりするなっ! このぉ……ガブッ!」

「あうっ! 噛んでる、カンデル! 痛い、イタイ!
でも、大丈夫っ……怯えているだけなんだよね?
怖くないよ、怖くないからっ……ね? ほら、もう大丈夫っ!」

「ちっとも大丈夫じゃないっ! 真帆を放せーっ!」

「あ、待って! 逃げちゃだめ〜!」

……と、いきなりジムの中で真帆との追いかけっこを始めた永沢舞。 そして、

中森

「ふむ。 あの予測の付かない野生の動き……確かに、逸材ですね。
見ているだけで、いい勉強になりそうだ」

と、深読み気味ながらも、真帆に感心と関心を抱いたイージス中森。 *3c

主にこの二人が真帆の面倒を見ることに決まったのは、言わば自然の帰結であった。




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■ 注釈(?) ■
*1aこれまでシングルでは観戦/否観戦、操作/AUTOによらず龍子さんに勝てなかった市ヶ谷様ですが、この度ようやく一勝をあげることができました。
*2a7月の WRERAは、飲食店TV放映、めぐみの怪我が完治、秋田に飲食店設置、千種写真集(「かなり」の売上)、桜井プライベートイベントその2、など。タイトルマッチは、
南が富沢のTTT王座を奪ったものの即返上(…という妄想設定)、
堀がGWAジュニア王座五度目の防衛(vs千秋)、
ゆっこがNA世界王座十五度目の防衛(vs来島)。
スレイヤーの7月は、WWCAジュニア遠征防衛、ライラのホラー映画(「失敗」…)、千春CM、森嶋一日署長、長野グッズショップ設立、など。タイトルマッチでは、
森嶋がWWPA九度目の防衛(vsフレイア)、
桜崎&真田がGWAタッグ六度目の防衛(vsモーガン2p&ダダーン2p)、がありました。
*3a7年目4Qにて NA世界タッグベルトが移動してます。
*4a桜井vs石川の IWWF王座戦は、13分08秒、コンビネーションキックで桜井が八度目となる防衛してます。
*5a4月にゆっこ&来島を破り、ここでは龍子&森嶋を破った市ヶ谷&桜井組。王者組を操作することもあって、しばらくこの二人が負けそうな気がしません。
*1bめぐみと千種の出会いは、5年目4Qにて。
*2b8月のWRERAは、富沢写真集(「すごい」売れ行き)、青森グッズショップ設置、などが発生してます。
*3bホントにこんな協定結べれば、苦労しないんですけどねー。
NJWP王座戦は、めぐみが三度目の防衛
アジアタッグ戦は、堀&越後が五度目の防衛
また、堀はソニック相手にAACジュニア王座二十三度目の防衛も果たしてます。
*1c8月、スレイヤーにて真帆2p獲得です。
スレイヤーでは他に、長野飲食店設置、桜崎プライベートイベントその2、などが発生。
また、龍子がスレイヤー無差別級十六度目の防衛(vsフレイア鏡)を果たしてます。
*2c桜崎は美沙獲得時にも似たようなこと考えてますので。
*3c真帆とはベタータッグの中森さんです。
二人の関係性(公式設定)はよく知らないのですが…どちらもさかなやキャラだから?
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