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7年目1stQ (4〜6月) Part2 〜 お嬢様は魔女? 〜

《目次っぽいもの》
因縁対決のできあがるまで[WR]お嬢様は魔女?[SL]注釈?



5月、WRERA最終戦のメインに組まれたカードは、現王者・テディキャット堀&ボンバー来島組に、元王者・六角葉月&ビューティ市ヶ谷組が挑む、AAC世界タッグ王座戦だった。

「オーッホッホッホ! なぜあなた方が AACタッグのベルトを持っておりますの?
それはもともと私と葉月さんが不当に奪われた物。 取り戻させていただきますわ!」 *1a

「アハハハ。 麗華ちゃんは、いつかそう言ってくるって思ってたにゃん。
ねー、来島ちゃん。……来島ちゃん?」

「寮長ぉ……この試合、絶対に勝つぜ! 絶っ対にだ!」

「う、うん。 それはもちろんそうだけど……怖い顔して、どうしたにゃ?」

話は一ヶ月前、4月にさかのぼる。 *2a

TWWA

この月の巡業で、来島の持つ TWWA王座に市ヶ谷が挑戦。
市ヶ谷にしてみれば、

「誰かと思えば、チャンピオン・カーニバルで私に準決勝への道を阻まれた、来島さんじゃありませんこと?」 *3a

という来島が相手ということもあって、戦う前から勝利宣言。さらに、

「億が一にも負けることがあれば、この私の AAC王座にすぐさま挑戦させてあげますわ!」

などと言うものだから、すっかり慣れた市ヶ谷節とはいえ、さすがに来島の闘志に火がついた。

「その言葉、忘れんじゃねえぞっ!」

と奮起して臨んだ TWWA防衛戦は、激闘の末に裏投げで来島の勝利。 *4a
約束通り AAC王座戦も用意されたが、それで市ヶ谷の態度が変わるわけでもなかった。

AAC

「偶然たまたまモノのはずみで幸運にも私からベルトを守ったからといって、調子に乗るとは罪深いですわね。 これで私が勝ったら、AACタッグ王座に挑ませてもらいますわよ!」

……という挑発だか計算だかを来島も受諾。

この試合は結局 STF──来島はどうも関節技に弱い──で市ヶ谷が十二度目の防衛を果たし、市ヶ谷には AACタッグ王座への挑戦権を、来島には市ヶ谷への憤怒の念を、各々に残したのである。 *5a

AAC-T

「……うーん。 来島ちゃんが怒る気持ちもわかるけど、麗華ちゃんの言うこといちいち真に受けてたら疲れるだけなのにね。
そう思いません、葉月さん?」

「寮長は大人だねぇ。
ま、それは置いといて、そろそろ試合始めないかい? リングの上でする話じゃないっしょ?」

「……そーですね」

ようやくゴングが鳴った AACタッグ王座戦は、王者組先鋒の堀が、葉月に押しこまれる展開から始まった。

堀は先だって葉月から NJWPヘビーを防衛していたが、老獪な葉月はその試合で現在の堀の力量や戦法を把握していたのだろう。
得意とする投げや飛び技を上手く封じて、堀のダメージだけを蓄積させていく。

「このままだとマズイにゃ! ここは──これっ!」

得意のフィッシャーマンバスターを早くも炸裂させて、何とか来島にタッチ。
葉月も頃合いと見たか市ヶ谷に交代し、“因縁の戦い”を演出した。

「こいつでブッ飛んじまえ!」

「引き立て役はおだまりなさい!」

ナパームラリアットに、ビューティボム。
二人が誇るパワー系の大技もそれぞれ決まるが、それで勝負が決してしまう世界ではもはや無い。

来島が押されて堀に、市ヶ谷がピンチになって葉月に、そして再び来島対市ヶ谷に、さらにもう一度交代し……と、戦いは50分を過ぎても決着がつかなかった。

「引き分け狙いなんて弱気じゃ、祐希子に笑われちまうぜ!」

60分時間切れも見えてきたところで、来島の STOが市ヶ谷を打ち倒す。
押さえ込んで入ったカウントは、2.8。
双方ともに疲労困憊だが、ダメージは明らかに市ヶ谷が上。
来島の勝利、そうでなくても引き分け止まり。 観客も皆、そう信じるに至ったが……。

「……甘いねぇ。 あの強烈お嬢の底力、みんな忘れてんじゃないの?」

葉月の呟きは、預言の如し。

市ヶ谷怒涛の反撃が来島を襲い、最後はシャイニングウィザードで逆転フォール。
堀のカットは葉月が抜け目なく押さえ、挑戦者組がベルトの奪回に成功したのだった。

六角 市ヶ谷

「オーッホッホッホ! チャンピオン・カーニバルと同じ展開。 学習能力の無い凡人は哀れですわね!」 *6a

「いやまあ、惜しかったよ、うん。 寮長も来島も、あんまり気を落とすんじゃないよ?」

決着は56分52秒。
王者組、特に来島にとっては、悔しいことこの上ない敗戦だった。 *7a




桜崎

「私が、新しく入った練習生のコーチを……ですか?
確かに、人に教えるのは嫌いではありませんけど……」

6月、スレイヤー・レスリングでは団体を挙げての海外旅行が恒例となっていた。 *1b

その荷作りに追われる中、メイデン桜崎こと桜崎美咲は、社長秘書の井上から急遽呼び出しを受け、兼任コーチ就任を要請されたのである。

「この業界のコーチ不足は深刻でね。 上原さんや他のコーチも頑張ってくれているけど、さすがに限界なのよ。 どうかしら?」 *2b

「わかりました。 お受けいたしますわ、奥様。
それで、どんなお嬢様をお世話すればよいのでしょう?」

「……だから、私を奥様と呼ぶのは……いえ、それは後にしましょう。 紹介するわ」

独身なんだから私もお嬢様でしょうに、と声には出さずに文句をつけながら、井上は隣室へのドアを開けた。 その背に向けてほんのわずかに舌を出す、桜崎の表情には気付かない。

だが桜崎も、数瞬後に危うくその舌を噛んでしまいそうになるとは、想像していなかった。

美沙

「こんにちはなのです、先輩! 美沙なのです!
陸上と魔女をやってたのですが、このたび魔法のお告げでプロレスすることにしたのです! ひとつよろしくお願いするのです!」 *3b

「…………」

桜崎が絶句したのは、開いたドアから弾丸のように少女が飛び込んでくるや、機関銃のように早口でまくし立てたのに驚いたからだ。

ただ、メイドとしてあるまじきことに、呆然としたまま挨拶も返せなかったのは、美沙と名乗ったその少女の自己紹介に奇妙な単語が混ざっていたからだった。

「…………魔女? 魔法?」

「……と、本人は言っているわね」

いったいウチの団体はどういう基準で新人を選んでるんですか、と雄弁に語る目を向けてくる桜崎に、井上はしたり顔で頷いてみせた。 *4b
半ばヤケクソに見えなくもない。

「むむむ、疑いの波動が伝わってくるのです。 美沙の魔法が馬鹿にされているのです。
今度出す写真集が大ヒットする桜崎先輩は、ちょっと失礼なのです!」

「写真集……!?」 *5b

「……私は言ってませんよ」

再び目を向けてきた桜崎に、井上は首を今度は横に振ってみせた。

確かに、桜崎は四冊目の写真集──前回は売り切れ続出の大成功だった──を出す予定だ。 今度の旅行も、丸一日は撮影用にキープされている。
しかし、まだ告知もしておらず、社内でも一部の人しか知らないはずの話だった。
それを、なぜこの子が知っているのか……?

「ちなみに、RIKKA先輩の写真集や龍子先輩のCDも結構売れるのですよ。
でも、桜崎先輩の売上げにはかなわないのです!」

美沙の自信たっぷりの宣言に、桜崎は井上と困惑の表情を見合わせた。

魔法かどうかはともかく、不思議なまでの洞察力、もしくは情報力を持っているようだ。
それがプロレスでどのくらい活かされるかはわからないが、面白い素材であることは間違いない──そう考えてから、桜崎は改めて自分がコーチすることになった少女に向き直った。 美沙 桜崎

「失礼いたしました、お嬢様。
そのお力をリングの上でいかんなく発揮できるよう、これから力一杯サポートさせていただきますわ」

「それはうれしいのです! こちらこそよろしくなのです!」

これで次の写真集が大ゴケだったら、どうしてあげようか。
桜崎はそんなことを考えながら、優雅に一礼をしてみせた。

翌月、発売された桜崎の写真集は、前回をも上回る売上げを記録した。
RIKKAの写真集や龍子の出したCDについても、美沙の予言は的中。
新人・ウィッチ美沙の「魔法」は、団体内でも一目置かれることになったのである。 *6b

「──ところで桜崎先輩、お近づきのしるしなのです。
美沙の魔法で、もう一つとっておきの秘密を教えてあげるのですよ」

「なんですか、お嬢様?」

「井上さんの、本当の年齢なのです。 実はああ見えて……」

「ややや、やめなさい、美沙さんっっっ!!」 *7b




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■ 注釈(?) ■
*1a六角&市ヶ谷が5年目2Qでの遠征防衛戦で奪われたベルトを、堀&来島が6年目1Qに奪取してます。
*2a4月の WRERAは、千種FC、理沙子2pFC、市ヶ谷CM、西北海道に飲食店設置、堀写真集(「すごい」売れ行き)、市ヶ谷プライベートイベントその2、などがありました。
*3aExtraFightをご覧いただければと。
*4a24分56秒、来島が六度目の防衛を達成してます。
*5a20分10秒、市ヶ谷が十二度目の防衛を達成してます。
*6a確かに同様の展開ですが、今回は自分が堀&来島組を操作。
石川操作でフレイアに負けた EWA王座戦といい…最近、試合操作が下手になったかも
*7a5月の WRERAは、千秋FC、来島FC、めぐみCD(「かなり」ヒット)、愛知に飲食店設置、ゆっこプライベートイベントその2、堀のAACジュニア十九度目の防衛(vs千秋)、同じく堀のNJWP初防衛(vs六角)、これも堀&越後のアジアタッグ初防衛(vsモーガン&ダダーン2p)、などがありました。
6月には、本文のような激闘のせいか、市ヶ谷が軽傷。千種CD(結果は「それなり」)、福岡に飲食店設置、富沢プライベートイベント、などが発生。富沢はバカンスでも登場してます。
*1bWRERAともども、基本的には 6月と12月にバカンス行ってます。
*2bホントに深刻。コーチは自団体が独占(WRERA4名、スレイヤー3名)してますが、それでもすでに不足。来年に上原さんがコーチ引退したら、数名がコーチ無しになりそうです。
*3b6月、スレイヤーで美沙獲得。いかにもジュニアっぽいキャラのわりに、体格Mなんですよね…。
「愛」未プレイのため、他の「愛」出身キャラ同様、彼女もキャラや設定は不明な状態。雰囲気違ってたらごめんなさい。
*4bQ:どういう基準で新人を選んでるんですか?
A:WRERAは「新女系レジェンドキャラ中心」、スレイヤーは「ひとくせあるキャラ中心」というスタート時からの指針はありますが…ここまで来ると、もはやなんとなくです。
*5b桜崎の写真集アングル(?)。3年目4Q4年目4Q、などで地味に出てきてます。
*6b6月のスレイヤーは、本文にも記載した龍子CD(「かなり」ヒット)、RIKKA写真集(「かなり」の売上)、桜崎写真集(「すごい」売上)、の他、飲食店がTVで紹介、真田一日署長、などがありました。バカンスでは小鳩が登場してます。
*7bお約束ということで。
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