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6年目2ndQ (7〜9月) Part2 〜 (打撃&関節)×2 〜

《目次っぽいもの》
二人目の小鳥遊[SL](打撃&関節)×2[SL]伝説のはじまり…?[WR]注釈?



小鳥遊

「プロレス団体ねぇ……なんでまたいきなり、私を?」

9月。スレイヤー・レスリングでは、社長秘書の井上自らが、有望な新人候補・小鳥遊薫のスカウトに訪れていた。 *1A

「うちはスカウト網がしっかりしてますので。
ところで……日本海女子のガルム小鳥遊、という選手はご存知ですか?」

「……ああ、知ってますよ。 ソックリだってんで、甥っ子や姪っ子が、私にしょっちゅうモノマネを要求してくるんで。 名前も同じ小鳥遊ですしね」

「随分と珍しい苗字ですものね……他人の空似、と片付けるのはどうしても無理が出てくるほどに。 そう思いませんか、小鳥遊さん?」 *2A

「……!? あんた……何を知ってるってんだい?」

「特に何も。 いえ、あなたのお父様が、お仕事の林業をたたむかもしれない、ということは報告を受けていますね。 うちの団体なら契約料もそこそこ出ますし、プロレス入りは悪くない話だと思いますが……いかがです?」

「……ま、私でいいなら受けましょう。 ですが、今後一切、家族の話はしないで欲しい。 そういう条件で、どうです?」 *3A

「結構です。 契約条項にも織り込んでおきますから、ご安心を」




後に“ケルベロス小鳥遊”というリングネームをもらうことになる小鳥遊薫が、スレイヤー・レスリングとの契約書に判を押していた頃。

彼女の四年先輩にあたるメイデン桜崎と真田美幸の二人は、十ヶ月ぶりに巡業参戦すべく新日本女子を訪れたのだが、そこでちょっとした騒動に巻き込まれることになった。 *1B

桜崎

「いかにお嬢様といえど、やっていい事と悪い事があります。
今あやまれば、許してさしあげますわ?」

「ハッ! 誰があやまるって? 私はただ、チョロチョロ目ざわりな小猿に『どけ』と言ってやっただけだぜ?」

彼女の『言っただけ』には、必ず蹴りが伴うのだろう。
久しぶりの新女で子供のようにはしゃいでいた真田を横から蹴り飛ばしたのは、見るからに鋼のような肉体を持つ、短髪のヨーロッパ系選手だった。

「……ヨーロッパの人は謝罪できない、と聞いたことがありますけど、本当ですのね。
せっかく日本に来たのですもの。 謙虚さや慎ましさをお土産に、とっととお帰りになってはいかがです?」

「お前……誰にモノ言ってるのかわかってるのか?
私は、“蹴撃サイボーグ”ドリュー・クライだぞ!」 *2B

「存じ上げておりますわ、お嬢様。
いつぞや、うちの鏡先輩に挑戦して、5分で負けたゴリラ女のお名前ですわね」 *3B

「……イイ度胸してるじゃないか、東洋の猿が……!」

クライが殺気とともに間合いを詰め、桜崎が半身に構える。
クライがさらに半歩を踏み出そうとして──

「やめなさい、ドリュー。 ここはドイツのストリートじゃない。日本なのよ」

一触即発の空気を霧散させる、落ち着きはらった声。
その声に肩を叩かれ、クライは背後の通路を振り返った。

苦痛に顔を歪めた真田を助け起こしているのは、彼女のタッグパートナーにして、どうしても敵わずに頭も上がらない、“関節の女王”ナスターシャ・ハンであった。

「ちっ、ターシャか! あんたの指図は受けないよっ!」

「どうしてもやりたいなら、試合まで待ちなさい、ドリュー。
次の GWAタッグのタイトルマッチでは、嫌でも戦うことになるのだから」

「なにぃ? じゃあ、こいつらが!?」

「ええ。 先ほどニュージャパンのリサコから聞いたわ。
スレイヤーのサクラザキとサナダ……彼女たちが、次の挑戦者よ」

「ハハハッ! こりゃ、いい! 楽勝ってやつだな!!」

GWA-T

GWAタッグ王者、ナスターシャ・ハン&ドリュー・クライ。

かつて上原&RIKKA組をも破ったソニック&理沙子組から GWAタッグ王座を奪い取った、EWA最強のタッグチームである。

対して、桜崎と真田への評価は「中堅どころ」まで。下馬評では王者組が圧倒的に優勢だったが、試合は思わぬ展開でその幕を開けた。

「うふふふふっ……な〜にが楽勝ですって、クライお嬢様!?
本日はとことんご奉仕してさしあげますからっ!」

「アワワワ、桜崎先輩、今日はなんか怖いっスよ!?」

先鋒のクライ VS 桜崎のマッチアップは、パートナーの真田が引くほどの迫力で打って出た桜崎が、クライを圧倒した。

このまま一気に……と思われた勝負は、しかし、ハンの登場で一変する。
桜崎の得意は関節技。 それを完璧に封じ込んだハンのコマンドサンボは、代わった真田をも翻弄。
王者組の勝利は近いかと思われたが…… 真田

「根性が負けてたまるかぁぁぁああ!」

試合をひっくり返したのは、真田の気合と根性だった。

ハンを必殺の斬馬迅で打ち倒すと、さすがにタッチで出てきたクライを、この前のお返しとばかりに蹴り技のオンパレードで押し込んでいく。

それでも王者組は、細かなタッチと、ここぞの大技で凌いでいくが、挑戦者組も、桜崎がここへ来て十八番のメイド・イン・ヘヴンをハンに決めるなど、決してペースを渡さない。
そして、

「気合と根性は、無敵っスっ!!」

勝負を決めたのも、真田の気合と根性だった。

再びハンを打ち倒した、真田の斬馬迅。カットに入ったクライを抜け目無く桜崎が押さえる間に、レフェリーはマットを 3つ叩き終わっていた。 *4B

桜崎 真田

「ぃやったぁぁ、勝ったあ!
自分らが GWAタッグチャンピオンっスよ、桜崎先輩!」

「そうですわね、お嬢様。
ですが、まだまだ最強の座は遠く険しいもの。
油断せずに行きましょう!」




千種

「はう〜、また負けちゃった……。これで、22試合かぁ……」

9月の巡業全六戦のうち、四戦を消化した WRERA。 *1C

新人・結城千種は、5月にデビューしてからの五ヶ月間、いまだ一勝もあげられないことに煩悶としていた。

「はぁ。 私、いつ初勝利あげられるんだろ。 来年の新人が入るまでダメとか……?
あはは、いくらなんでもそんなこと……あるかもっ。 ああああ、そうなったらどうしよぉ!?」

「……なに、一人で身悶えてるのよ、千種?」

「あ、めぐみぃ。 あの……実はね……」

ジムに現れためぐみに、千種は自分の悩みを素直に話した。

めぐみは千種よりも一年近く先輩だが、学年としては同い年。
めぐみが「照れるからやめて」と頼んだこともあって、敬語なども使わず「めぐみ」「千種」と呼び合う仲になっている。

めぐみ

「……なるほどね。 シングルでは実力差で負ける。 タッグでも足を引っ張って負ける。 とにかく勝てない、と」

「ううっ。 めぐみ、もうちょっと優しく……」

「気にすることないわよ。 うちは新人には厳しいの。 格上の外国人とやらせて鍛えるやり方だから、最初は苦労するのよね」 *2C

「……めぐみは、初勝利いつだった?」

「えーと。 デビューの翌月だったかな」

「……他の先輩はどうだったか、知ってる?」

「ん〜。 私の時に、富沢さんの四ヶ月がワーストだって聞いたような?」 *3C

「はう〜! 私、ワースト記録更新中だよぉ! 私ってダメな子なんだぁ!」

「はいはい。一人で身悶えるのやめてよね、可愛いから。
心配しなくても、次の試合は勝てるじゃない。 私とタッグなんだもの」

「!! そっか、めぐみとの初タッグだったね! 相手は誰だっけ。 新人の外国人選手とか?」

「千秋さんと、富沢さん」

「あぅ〜っ! やっぱりダメだよぉ!」

試合

周囲の評価は、千秋 > めぐみ > 富沢 >> 千種。

千秋&富沢組はお世辞にも良いコンビとは言えず、一方のめぐみは急成長を見せていたが、まだ“お荷物”状態の千種とのタッグで勝てるなどとは、誰も思っていなかった。
おそらくは、めぐみ以外の誰も。

《む、武藤めぐみ、これは強い! 先輩二人を相手に、堂々と渡り合うこの展開!
“次代のエース”、その急成長は本物だぁ!》

「チイッ! なめんじゃないよ、武藤ぉ!」

富沢はともかく、千秋は実力・経験ともにめぐみよりも上。
事実、まだまだ甘いめぐみの攻めを見切って、的確な反撃を入れようとする。
しかし、今日の試合では、それを妨げる要因が一つ存在していた。

「千種!」

「うん!」

《おーっと、まただ! 武藤がピンチになると結城が登場!
タッチ、カット、ツープラトン! この連携、これが初タッグの新人の動きかぁ!?》 *4C

「行くよ、めぐみ!」

「来て、千種!」

富沢を肩車しためぐみの呼びかけに応じて、千種がコーナーから飛んだ。
16分57秒、新人同士のタッグとは思えない、見事なダブルインパクト──

めぐみ 千種

「はぁはぁ……や、やった、初勝利だぁ!
ありがと、めぐみ!」

「おめでと。 でも、記録上、今日の勝ち星は私のだし。
次は自分でがんばってね、千種?」

「うん! 私、がんばるよ!」




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■ 注釈(?) ■
*1A9月のスレイヤーは、真田CD(「それなり」のヒット)、兵庫でコンサート(石川、小鳩、千春)、龍子&石川のNAタッグ二度目の防衛、などがありました。
8月は、小鳩のワールド殴りこみ&WWCAジュニア三度目の防衛(vs金井、6分40秒、メロディ・スタンプ)、さらにRIKKA&石川のIWWFタッグ三度目の防衛、石川のEWA七度目の防衛、RIKKAのアジアヘビー四度目の防衛、龍子のスレイヤー無差別級九度目の防衛、森嶋のWWPA初防衛、がありました。
タイトルマッチ、多すぎ
*2A小鳥遊(たかなし)というのは現実には7世帯くらいしかいないのに、ゲームや漫画など架空の世界では山ほど出てくる名前だそうで。
*3A9月、スレイヤーで初の2Pキャラとなるケルベロス小鳥遊獲得。
本文ではガルム小鳥遊とのただならぬ関係を匂わせてますが、実は何も考えていません。おそらく今後の伏線にもならないでしょう…。
*1B前回の殴りこみについては、5年目3Qをご覧ください。
*2Bこのあたりのクライのセリフは、「V2」登場時のものを一部拝借してます。(ただ、当サイトのストーリーダイジェストでは、ハンもクライも名前しか登場してません…)
*3B4年目4Q5ターンキルされてます。
*4B28分22秒、(打カードの)斬馬迅での勝利です。
*1C9月のWRERAは、千秋写真集(「かなり」の売上)、越後の日本海殴り込み、堀のAACジュニア十七度目の防衛(vs千秋)、桜井のIWWF二度目の防衛(vs来島)、ゆっこのNA王座八度目の防衛(vs市ヶ谷)、などが。
8月には、来島写真集(「あまり」売れず…)などがありました。
*2C評価値同等の選手がいない場合、201以上高い(=負けても経験値が多く入る)外国人を相手にさせることが多いです。
資質Sの千種ですが、めぐみを始めとする先輩は既に評価値が200以上高く(=戦わせると勝った先輩に経験値が入らない)、ちょうど良い外国人選手もいないため、本当にデビュー以来の連敗を続けてます。
*3Cここのめぐみ&富沢の初勝利日はてきとーです。さすがにメモってません…。
*4Cこれでもかというくらいに合体技カードが出まくりました。さすがはベストタッグ。
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