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5年目3rdQ (10〜12月) Part2

《目次っぽいもの》
龍虎決戦:四大タイトルマッチ空前絶後?炎の女神 VS 雷霆の女神[SL,WR]注釈?



《き、来たぁっ! 来ました、マイティ祐希子っ!!
既報の通り、サンダー龍子の挑戦を受けたマイティ祐希子、NA世界無差別級王者が、このスレイヤー・レスリングのマットに姿を現しましたぁ!》

ゆっこ

「来てあげたわよ、龍子! 約束通り、ベルトも持ってきた……だけど、渡すつもりはないからそのつもりでね!」

「誰だって、そのつもりだろうさ。 ただ、世の中そう思い通りにはいかない。 それを思い知らせてやるよ!」

11月のスレイヤー・レスリング興行。
超満員の観客の多くは、噂されていた通りに現れたマイティ祐希子を、驚愕ではなく半ば当然のこととして受け止めた。

ただ、そんな観客たちにとっても、この人の登場は驚愕の出来事だった。

市ヶ谷

「オーッホッホッホ! お初にお目にかかりますわね!
貧乏ヒマ無しでこーんな物騒な名前の田舎プロレスしか見に来れない、哀れな下々の皆さん?」

「い、市ヶ谷ぁっ!? あんた、なんでここにいんのよ?
今月は、モーガンとAAC防衛戦やる予定でしょうが!
社長や霧子さん、知ってんの!?」

「手紙は置いて来ましたわ。 AAC防衛戦はこっちでやるから、と。
先月の屈辱、今度は私の AAC王座戦で返してあげますわよ、サンダー龍子!!」

「ははっ。 こいつは社長や井上さんもマッチメイクに悩みそうだ。 *1
あらためて、スレイヤーへようこそ。 この団体には、私以外にも強いのが一杯いるからね。
生きて帰れるなんて、思うんじゃないよ!」

WRERAの、いや、世界でもトップクラスのレスラー二人の参戦。
この好機にスレイヤーのフロントは、スキャンダル事件後初めてとなる東京・新日本ドームでの開催を決意。

WWCAジュニア、アジアヘビー、AAC、NA、という、なんと四大タイトルマッチを引っ提げて、ドーム興行の成功を目論んだのであった。 *2




「ブツブツ……。
なんでこの私が、今さらカオスなんかと AAC防衛戦をやらなければいけませんの?
龍子が私を恐れるのは当然としても、勝ち逃げされるのは不愉快ですわ!
ああ、忌々しい!」 *3

「あーもう、市ヶ谷! 向こうのフロントが決めたんだからしょーがないでしょうが!
あんたの不満はわかったから、とりあえずちゃんとあたしのタッグパートナーしなさい!」

大きな話題を集めたスレイヤー 11月巡業最終日の四大タイトルマッチは、
 ダイナマイト・リナ VS メロディ小鳩の、WWCAジュニア王座戦、
 RIKKA VS ブレード上原の、アジアヘビー王座戦、
 ビューティ市ヶ谷 VS ダークスターカオスの、AAC世界ヘビー王座戦、
 マイティ祐希子 VS サンダー龍子の、NA世界無差別級王座戦、
というカードに決定。 *4 タッグ

最終日以外の興行でも、ノンタイトルながらも豪華なカードが組まれ、特に、龍子&上原組 VS 祐希子&市ヶ谷組などは、EXタッグリーグでも目にすることのできない──後者はこういう場でもない限りタッグを組まない──ファン必見のカードとなった。 *5

そうして、巡業は盛り上がったまま最終日を迎える。 *6




小鳩

「もうちょっと面白い勝ち方できたら、よかったかしら?」

22分42秒、メロディ・スタンプで、新WWCAジュニア王者・メロディ小鳩が誕生。
スレイヤー・レスリング初のジュニア王座がもたらされた。 *7

そのWWCAジュニア王座戦を皮切りに、いよいよ幕を開けた四大タイトルマッチ。

販売開始後数時間で完売御礼となりドームを埋め尽くした観客も、試合を重ねるごとに興奮の度合いを増していった。

WWCA-J ASIA AAC

アジアヘビー王座戦は、18分20秒。不知火で RIKKAが初防衛。 *8

AAC世界ヘビー王座戦は、35分43秒。市ヶ谷には珍しいローリングクラッチホールドで、八度目の防衛を達成。 *9

そして、ついにメインイベントの時がやってくる。

《ついにあいまみえた、二人の女神!!
北の地、WRERAから降臨せしは、NA世界無差別級王者、“炎の女神”マイティ祐希子!
迎え撃つは、このスレイヤーが誇る無双の女王、“雷霆の女神”サンダー龍子です!》

NA

二人が登場するだけで、ドームは地鳴りのような大音響に包まれ、負けじとアナウンサーの声も絶叫の度合いを増す。

両者がロープをくぐってリングで顔を合わせた時、場内の興奮はまさにピークに達した。

《今期に入ってシングルでは無敗を続ける、スレイヤー無差別級王者、サンダー龍子!
今日は挑戦者として、実力世界一を掲げる NA世界無差別級のベルトに挑みます!
果たして狂える龍は、王者・マイティ祐希子をその爪牙で食い破ることができるのか!?
全世界注目の一戦! 今、そのゴングが……鳴ったぁ!!》

「試してやるよ……あんたが、どれだけ強いのか!」

「よおっし! 全力で楽しませてもらうわよ!」

先月の龍子と同様、祐希子もこの日までに、ブレード上原、フレイア鏡、RIKKA、森嶋亜里沙という、スレイヤーの名だたる選手たちを撃破してきている。 *10
祐希子は、その勢いに乗って仕掛けた。

《マイティ祐希子、連打ぁっ! チョップ、エルボー、ドロップキック!
これは一気に戦いの趨勢を決め……いや!? サンダー龍子、効いていない!
仁王立ちで、不敵な笑みを浮かべている!》 *11 龍子

「その程度かい? それなら──拍子抜けだね!!」

「!!」

《ああぁぁぁっっ! プラズマサンダーボム、爆裂ぅっ!!
ここで早くも伝家の宝刀を抜き放ったサンダー龍子!
一気に趨勢を決めるのは、このスレイヤー王者の方なのかぁ!?》

「そうさ! 一気に、終わらせる!」

「そうはいかないわ!」

「必殺技」の一発が文字通り必殺となるほど、甘いレベルの戦いではない。
投げ、打撃、パワー、関節、飛び技、受け。 いずれも高度な攻め合い、凌ぎ合いが、リングの上で繰り広げられていく。

実力、調子、全てを総合した今の二人の力は、ほぼ互角。
それならば、後は天運が勝敗を左右する。

幸運にも序盤にプラズマサンダーボムを決めることができた龍子と、それを喰らって深刻なダメージを残した祐希子。
その違いは、勝負が終盤に差し掛かるにつれ、大きな差となって顕現してくる。

「どうした、息が上がってきたな。 もう降参か!?」

「冗談っ! まだまだよ!」

勝利の女神はこの時、間違いなく龍子の方にオリーブの枝を差し出していた。
だからといって、その運命に唯々諾々と従う祐希子ではない。

「これで、逆転っっ!」

半ば強引に、しかし見事なタイミングで放たれたのは、祐希子双翼の片方、JOサイクロン。
過去に相手してきたどんな敵でも、これを返せはしまい。しかし。 *12

「覚えときな! 龍はどんな暴風でも支配できるんだよ!」

サンダー龍子は、その誰よりも強かった。

まさかのリバース、前方回転エビ固めに、祐希子の肩がマットに付いて──かろうじての、キックアウト。ドーム中が、呑んだ息を吐き出す。

「最強の女神の座! このサンダー龍子がもらったぁっ!」

続く高速ブレーンバスターを決めたとき、龍子は勝利を確信した。

起き上がろうとするその視界の中、マットに叩きつけたはずの祐希子の姿が、どこにも無いことに気付くまでは。

《龍子、上だぁっっ!》

「!!?」

弾かれたように頭上を振り仰ぐ龍子。
無数に輝くライトの中に、一枚の天使の羽根が見えた気がした時── ゆっこ

「どんな高みにも……あたしはたどり着いてみせる!」

祐希子の双翼。そのもう一枚の羽、ムーンサルトプレス。

投下された華麗なる無重力弾に、龍子は信じられない表情のまま、カウント3つを奪われていた。 *13

「なっ……私は、負けたのか……?」

龍子にとっては、半年以上前まで遡る、シングルでの敗北。
それを与えた相手は、死闘を物語る苦しげな表情で仰向けの龍子を見下ろすと、その表情を一呼吸で別のものに変えた。

屈託のない笑顔に。
ゆっこ

「そだね。 今日は、あたしの勝ち。あんたの負け。
でも、これで終わりじゃないでしょ? あたしも、あんたもね!」

「祐希子……」

「このレッスルの世界に、終わりはないもん。
どんどん、どんどん、ずーっと続いていくの。
だから、あんたとあたしの関係も、今始まったばかり。 これからが面白くなるんだから!」 *14


〜 風と天使と殺戮者 第一部・完 〜 *15




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■ 注釈(?) ■
*1はい。けっこう悩みました。
*2スキャンダルの影響で東京シェアは70%止まりとはいえ、これだけタイトルマッチやれば、さすがにドームも埋まるでしょう。
*3日をずらしての市ヶ谷VS龍子によるAAC王座戦も考えましたが、ここは市ヶ谷様に譲っていただくことにしました。
*411月のスレイヤーは、デパートスポンサー(RIKKA)、EWA遠征防衛、ライラCM、龍子写真集(「かなり」の売上)、がありました。
11月のWRERAは、AACジュニア遠征防衛、千秋FC、千秋CM、堀の誕生日、ワールド女子からの殴りこみ(十六夜、南、滝)。
WRERAでは、ゆっこ&市ヶ谷不在時に参加してくれたワールド女子に敬意を表し、モーガンVS十六夜のIWWF王座戦も組んでます。(18分18秒、ポセイドンボンバーでモーガン十度目の防衛)
*5この試合は、市ヶ谷&ゆっこを操作したこともあって、バッドタッグの二人が勝利してます。ダブルインパクトも飛び出すなど、相性悪い影響もあまり感じさせませんでした。
*6本文ではスルーしてますが、第五戦には龍子がフレイア相手にスレイヤー王座六度目の防衛(17分05秒、DDT)果たしてます。
*7必殺技のメロディ・スタンプで、リナの体力を40%削って勝ちました。
*8何気に師弟対決(上原兼任コーチの弟子がRIKKA)。RIKKA体力30%まで削られる(上原は90%)も、無明蹴もあって何とか逆転。
*9カオスの粘りに 2.9&ロープで計7回も凌がれ、逆転負けも意識しますが、何とか丸め込みました。
*10前月の龍子同様、全部観戦&ゆっこ操作で、全員なぎ倒してます。…RIKKAにはちょっとてこずりましたが。
*11カードは良かったので序盤から打って出たのですが…体力が高く「頑健」な龍子に、序盤の低難易度技はあまり効果がありません。
*12「返せはしまい」なんて書いてますが、投カードのJOサイクロンなので、龍子でなくても返せます
*13最後の最後、ようやくゆっこに出た必殺カード。24分07秒、ムーンサルトプレスで二度目のNA王座防衛です。
*14V2」の名ゼリフの一つ(ストーリー紹介では載せてませんが)を、ちょっとだけアレンジして拝借してます。
そう、レッスルエンジェルスの世界に終わりはないのです。
*15…なんとなく、完結させてみました。「女神誕生編」?
最後のゆっこのセリフを書いていたら、唐突に終わらせたくなってしまって。
第二部は、数年後の世界が舞台…なんて話も無く、そのまま続ける予定です。
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