「俺と祐希子で、WWCAタッグ王座に挑戦!? ホントかよ、社長!」
「ああ。 ようやく WWCAのフロントも首を縦に振ってくれたよ。 カオスがシングルのベルトを失ったことで、先方も渋っていたからな。 ただ、おそらく二度目はないだろう。だから……」
「おうっ、任しときな! このボンバー来島が、祐希子と二人でベルトを奪ってきてやるぜ!」
団体設立時以来の親友である、マイティ祐希子とボンバー来島。
二人がタッグチームを組んだ際のコンビネーションには特筆すべきものがあったが、実力差のある葉月&市ヶ谷組の厚い壁に阻まれ、ここまでは目立った成果を残せていない。 *6
しかし、WWCA王者となった祐希子はもちろん、来島も市ヶ谷を破って春のAAC王座戦の相手に指名されるなど、シングル戦線での充実ぶりは顕著。
この二人にタイトル奪取のチャンスを──そう考えた WRERAの社長は、1月の興行でダークスターカオスとジュディ・コーディへの挑戦の舞台を整えたのである。 *7
「えへへ。 来月は、あんたとシングルのタイトルマッチよね、カオス。 悪いけど、どっちも勝たせてもらうわよぉ!」
「フッフッフ……悪いが、そうはいかん。 勝つのは我々だ」
祐希子とカオスの先鋒で始まった試合は、両者の探りあいから互いに交替。戦いは、来島 VS コーディへと移行する。
「悪りぃな。今日の俺は……絶好調なんだよ!!」
その言葉通り、際立った動きを見せる来島は、得意のパワー殺法でコーディを圧倒。 コーディはたまらずカオスにタッチするが、
「こいつで、ブッ飛んじまえ!」
ラリアットを得意とするカオスの向こうを張る、来島必殺のナパームラリアット。
さらにエルボーでカオスの額を割るが、相手もさすがにダークスターカオス。試合を組み立て直し、徐々に来島を追い詰める。
「くそ、さすがに強えな! 後は任せたぜ、祐希子!」
「オッケー、恵理。 いっくわよぉ!」
──カオス、コーディといえど、消耗しきった状態では、満を持して登場した祐希子の敵ではない。
WWCAタッグ王座は、28分15秒、祐希子のシャイニングウィザードで、祐希子&来島組の手に渡ったのだった。
「これがベルトかぁ……へへっ、思ってたより軽いんだな。 これなら、あと二つか三つ腰に巻いても大丈夫そうだぜ」
「あはは、頼もしいわね、恵理。 じゃ、次は市ヶ谷の AAC王座を奪ってみせてよ。 あたしの WWCA王座は渡さないけどね?」
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