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4年目3rdQ (10〜12月) Part1

《目次っぽいもの》
ワールド女子の策謀[SL]六角葉月の戦い[WR]EWAとの駆け引き[SL]注釈?



例年よりも随分と早く六甲おろしが吹いた、10月の神戸。 *1
スレイヤー・レスリング社長秘書・井上は、一つの報告を手に、社長室を訪れていた。

「ワールド女子が、秘密裏にEWAとベルト返還の交渉をしている──ということかね、井上くん?」

「その通りです、社長。WWPAヘビー級王座……さすがに取り返したくなったと見えますね」

WWPAヘビーはその略称が示す通りワールド女子の認定王座であったが、一年半前の石川涼美によるまさかの奪取劇以来、スレイヤー・レスリングが保持を続けていた。

ハン ワールド女子の返還要請には保証金でかたをつけ、いわば「有料で借りている」状態。

しかし、今年の 7月にEWAのナスターシャ・ハンが石川を破って王座についたことで、ワールド女子もこの奇妙な賃貸契約を見直す気になったらしい。 *2

「EWAも安売りをする気はないようで、現段階では両者の交渉は平行線です。
ですが、最悪の場合、WWPAベルトどころか、EWAとの提携ごとワールド女子に強奪されかねません。早期にハン選手からベルトを奪還することが肝要かと」

「うむ。だが、そればかりは選手諸君の力量次第、というのが痛いな。我々に決められるのは、誰をその役に当てるか、だけだ」

サンダー龍子、ブレード上原、といったトップレスラーであれば勝利に疑いは無い。
しかし、WWPAベルトを自団体ベルトに比べ格下に置いておきたい社長と井上にとって、それはあくまで最後の手段であった。
必然的に、候補はナスターシャ・ハンと互角あるいは苦戦を免れ得ない選手たちとなる。

「その方が、白熱する好カードになるだろうがね。それで、誰を指名するかだが……」

社長と井上が白羽の矢を立てたのは、進境著しい森嶋亜里沙だった。 WWPA

その実力、実績は、まだまだハンには及ばない。 *3
しかし、殴りこんだワールド女子では、あのクリス・モーガンを後一歩まで追い込み、WRERAでもボンバー来島、桜井千里といった有望株を連破した、その勢いを買っての指名である。 *4

「…後悔は、させないわ…」

森嶋にとっては、つい前月にRIKKAと組んでハン&クライ組に挑み、惜しくもフルタイムドローで奪取を逃した、EWAタッグ王座戦のリベンジでもあった。

その理由と、“海賊王女(Princesa del Pirata)”としてのプライドと気性により、森嶋は最初から激しく打って出る。

「…海賊の力、思い知りなさい…!」

炸裂する森嶋の決め技・SSDに、ハンの端整な顔が苦痛に歪む。
その後も、ハンのサブミッションを警戒してロープ際を意識して試合を運ぶ森嶋。必殺のSTFもブレイクで凌ぎ、WWPA王者をあと一歩のところまで追い詰めていく。

「…ベルトはもらった…!」

その思いこそが、油断を生んだか。
決着をつけるべく放った SSDはブレーンバスターで返され、そのままグラウンドに引きずり込まれる森嶋。彼女が泥沼の中でもがくうちに、呼吸を整えるハン。

長期戦となった試合。攻守は完全に逆転した。

「壊れてしまいなさい。海賊のお嬢ちゃん……?」

「…うあぁっ…!?」

再度のSTFこそ、間一髪ロープに助けられるが、序盤から飛ばしてきた森嶋に、50分を超えた激闘を制するだけの余力は、もう残っていなかった。 *5

──53分07秒。踵落としからの体固めで、ナスターシャ・ハン、WWPA王座防衛。

「…波の音が、聞こえる…」

リングに入ってきた後輩たちに助け起こされるまで、森嶋は茫然と頭上のカクテルライトを見つめていた……。




ゆっこ

《カウント3つ、入ったぁ!
マイティ祐希子、痛む足を引きずりながらのWWCA世界王座防衛! 挑戦者の場外ラビリンス・スリーパー2発にあわやのシーンもありましたが、最後はフェイスクラッシャーで辛くも勝利!
六角葉月、後輩相手に惜しくも敗れ去りました!》 *6

11月のWRERA巡業、第五戦メインのマイティ祐希子 VS 六角葉月のWWCA王座戦は、祐希子による三度目の防衛で、その幕を閉じた。

敗れた葉月は、ビューティ市ヶ谷に挑んだ前月のAACヘビーに続く、タイトル戦二連敗。 *7

試合後、退場した葉月の、唇を噛みしめ思いつめた顔つきに何を感じたか、一人のレスラーが彼女の控室へと足を運んだ──

「ハヅキ」 葉月

「おや? どうしたい、カオス。 お前さんがわざわざこっちの控室に来るなんて、珍しいね」

呼びかけに応えた葉月の声音は、いつも通りに聞こえた。
頭からタオルをかぶっているものの、その表情も普段の柔和な微笑みに見える。

「元気そう……だな」

「おかげさまでね。 あ、ひょっとして、私ゃを励ましにきてくれたとか? あははは、似合わない気の遣い方だねぇ」

「……後輩に二連敗。落ち込んでいると思ったのは、事実だ」

「くはっ、はっきり言うねぇ。 ま、どっちもあんたに勝った後輩だからね。一筋縄でいくはずないさ。ただ……」

乗せたタオルで、がしがしと擦るように頭を拭く葉月。
その口元は笑っていたが、それ以外の表情は、ダークスターカオスから見えなかった。

「……正直。本気になりゃ、私が勝てるって思ってた。 だから、ちょっとだけ悔しいかな。ちょっとだけね……」 *8

「ハヅキ……?」

「おいおい? なんて顔してんだい……って、マスクで見えないか。こりゃ失礼」

タオルを取った葉月は、いつも通りの葉月に戻っていた。
いや、あるいは、変わったことなど一度もなく、ずっといつも通りだったのかもしれない。

「あんたも、頑張んなよ。 市ヶ谷のAACはわかんないけど、次のWWCA王座戦は、あんたが挑戦者のはずだからね」

「お前こそな。 今度のAACタッグ戦……後輩相手に三連敗など、格好がつかんぞ」

「そうだねぇ。そうなったら、引き際かな?」

「……っ!」

「冗談だってば」

AAC-T

11月最終戦のメインは、AACタッグ王座戦。
葉月&市ヶ谷組に一年半ぶりの挑戦状を叩きつけたのは、祐希子と来島の親友タッグだった。

「あなたなど、ものの数ではありませんわ!」

AACヘビーでカオス、葉月の挑戦を退けた市ヶ谷にとって、祐希子はともかく来島など鎧袖一触──のはずが、このマッチアップは来島の圧倒的優位に進んだ。 *9

「へんっ! どうだ、なめてんじゃねーぞ、市ヶ谷!」

「くっ……そっちこそ、なめるんじゃありませんことよ!」

場外に引きずり出してのビューティボムで来島を黙らせ、かろうじて葉月に交替。
葉月は大技・デスバレーボムや関節技で挑戦者組を苦しめるが、親友タッグは息のあった連携を見せ、フォールを許さない。
逆に、ナパームラリアット、ノーザンライトスープレックスといった技で王者組を追い込んでいくが……そこで、ワガママなお嬢様がついにブチ切れた。

「本っ気を出してさしあげますわっ!!」

祐希子からタッチを受けた来島に踊りかかり、バックフリップ、裏投げ、そしてパワースラム。そして最後は、

「葉月さん!」

「おうさ!」

この二人のタッグには珍しい連携技、ダブルパワーボムが、ケガの影響で一瞬遅れた祐希子のカットを間に合わせずに、来島を沈めた。

六角 59分28秒、時間切れ直前での王者組勝利。 *10

「ふぅ。いろいろと疲れた疲れた。一仕事、終わりっと」

葉月は、何かを吹っ切ったように、一つ大きく伸びをした。




GWAタッグ王者、EWA認定世界王者、そして、スレイヤー無差別級王者。
現在、国内でただ一人「三冠」の肩書きを持つサンダー龍子は、11月に入ったある日、社長秘書の井上に呼ばれ、社長室に赴いた。

龍子

「EWA王座を返上しろ……だって!? 井上さんも社長も、ふざけてんのかい? はいそうですか、って言える話じゃないぜ!」

「さすがに、あなたには申し訳ないと思うわ。だけどこれは、EWAからの要求──いえ、向こうが出してきた条件なのよ」

先月のWWPA王座戦で森嶋がナスターシャ・ハンに敗れた後、水面下でEWAと交渉していたワールド女子の動きが活発化。スレイヤー・レスリングにとっては、予断を許さない状況になった。

そこで、井上は自らEWAフロントと交渉を開始。
提携継続ならびに今月もWWPA王座戦を行なう許可を取り付けたが、その見返りにと、龍子の持つEWA認定世界王座の返上を要求されたのである。 *11

「つまりは、EWA王座よりも、WWPA王座を選んだってことか。理解はしたよ。……全然、納得はできないけどなっ」

「少し、訂正が必要ね。我々はどちらのベルトも手放すつもりはないの。ただ、あなたにEWA王座を持たせることだけは許されなかった。だから、あなたには申し訳ない、と言ったのよ」

「……どういうことだい?」

EWA王座を永久に放棄するわけではなく、あくまで返上。
ベルトはEWAの女王、ナスターシャ・ハンに渡されることになるが、井上はそれを再び自団体の手に戻すべく、すかさずハンとのタイトルマッチを組むことにしたのである。

ただ、EWAもそれを見越して先手を打っていた。タイトルマッチを組む場合、スレイヤーのトップ3である、龍子、上原、そしてRIKKAの挑戦は認めない、という条件をつけていたのである。

「EWAもなかなかにしたたかだわ。 ただ、彼らの誤算は、我々スレイヤー・レスリングの層の厚さと若い選手の成長を甘く見た、というところかしら。
前回の森嶋さんは残念だったけど、その仇を取ってくれる選手が必ずいる──私も社長も、そう期待しているわ」

──そして、スレイヤー・レスリングの11月巡業では、EWAおよびスレイヤーへの揺さぶりを狙うワールド女子が殴りこんできたこともあり、実に四つものタイトルマッチが組まれることとなった。 *12

ナスターシャ・ハン VS フレイア鏡の、WWPAヘビー級王座戦。
ナスターシャ・ハン VS 石川涼美の、EWA認定世界王座戦。
ハン&クライ組 VS 十六夜&南組の、EWAタッグ王座戦。
そして、サンダー龍子 VS RIKKAの、スレイヤー無差別級王座戦、である。




*110月のスレイヤーは、RIKKAの学園祭、上原ホラー映画(お断り)、森嶋青春映画(お断り)、森嶋CM、RIKKAプライベートイベントその2、石川のワールド女子殴りこみ、上原&龍子のGWAタッグ八度目の防衛(VS RIKKA&フレイア。20分22秒 DDTで決着)と、いろいろありました。
*24年目2Q参照。なお、3年目3Qにも書いた通り「保証金」云々はもちろん妄想設定です。
*3評価値差は約90。勝てなくはない勝負、ではありますが…。
*4クリス・モーガン戦については3年目4Qをご参照ください。
*5素で(必殺ではなく)出したSSDが返されたのが勝敗分岐点でした。その後のカードが悪すぎて…(悲)
*6WWCA王座戦は、21分39秒、フェイスクラッシャーでゆっこの勝利。
この11月にはゆっこが怪我してます。ま、このゲームは怪我しても試合には影響しませんしね…
*710月のAAC王座戦は、16分40秒、シャイニングウィザードで市ヶ谷が勝ちをおさめてます。
10月には六角CD(「かなり」の売上)、ゆっこプライベートイベントも発生。
*8この時点での評価値は六角がまだ団体TOP。プレイヤー操作で「本気」を出せばおそらくゆっこや市ヶ谷にも勝てます。しかし、あくまで王者側を全力で操作するルールでやってるので…
*9この月は、否観戦ながらシングルで来島が市ヶ谷に勝ってもいます (評価値差は150ほど)。COM操作来島さんの当たり月?
*10ゆっこのノーザンライトSが決まって体力ゼロになったときは、負けたかと思いました (カウント2.8)。
11月のWRERAは、堀がAACジュニア遠征防衛、堀のコメディ映画(お断り)、移動車両Lv4、富沢参戦、も発生してます。
*11実際のところは、トップ選手に複数のシングル王座を持たせたくなかった&この月にEWA遠征要請を断ったのでどうせ翌月に返上させられるから、というだけの話です。
ただ、攻略本などでは「ベルト評価値の低い王座を返上しても信頼は下がらない」ようなことを書いてあった気がしますが、しっかりと龍子が不満表明&信頼減少しました。…バグ?
*12実は「三冠」持ってるハンには悪いですが、その三つ全部のタイトルマッチを組んでます。
ワールド女子からの殴りこみは、妄想的にはナイスなタイミング
11月のスレイヤーは、小鳩の軽傷、上原CD(「かなり」の売上)、龍子一日署長、フレイア写真集(結果は意外にも「あまり」売れず…)、もありました。
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