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3年目4thQ (1〜3月) Part1

《目次っぽいもの》
切なる願い[WR]海賊の二ヶ月[SL]混沌[WR]注釈?



「社長……したいの。ねぇ……」

ブラインドが下りた、夜の事務所。明かりを消したばかりの部屋。
思いつめた顔で目の前に立った祐希子が、潤んだ瞳を社長の瞳に合わせた。

「し、したいって? おおお、お前っ?」

心なしか頬を紅く染めた祐希子から逃れるように、社長はあとずさった。
しかし、わずか一歩でデスクに退路を断たれ、何より、視線を祐希子から離すことができない。

「社長……いいでしょ?」

悩ましげな吐息とともに、祐希子の両手がゆっくりと伸びてくる。

「あたし……」

やがて、暖かい指先が社長の頬にそっとあてがわれ──なかった。代わりに、胸倉を掴まれる。

「へ? ──うわぁっ!?」

突然、がくんがくんと激しく揺すられる社長の頭。
その耳に、祐希子の切なる願いの声が、頭蓋骨に何度も反響しながら届いた。

「殴りこみ、したいのっ! 新女に! ねぇ、いいでしょ!? 社長!」 ゆっこ

「おおお、落ち着け、祐希子! 落ち着いてくれえ!」

「あたし、理沙子さんとシングル戦したいのっ! お願い!」 *1

……ということがあった、1月某日。 *2

その翌日、WRERA女子プロレス社長は、六角葉月を呼び出して昨夜の顛末を説明した。
祐希子の殴りこみが、興行にどれほどマイナスインパクトを与えるかを相談するために。

「あのさぁ、社長。EXタッグの時といい、ノロケ話を聞かされても、私ゃ困るんだけどねえ」

「どこがノロケだ、どこが。そうじゃなくて、祐希子を新女に行かせるかどうかをだな……」

「いいじゃん。行かせようよ」

「……いつも話が早いな、六角。今月は市ヶ谷もAAC防衛戦でメキシコだぞ。祐希子も抜けると、カードも集客も苦労しないか?」

「だーいじょうぶ。何とかなるっしょ。もしも取れってんなら、私が取るからさ」

何を取るのか──社長はすぐに気が付いた。軽く首を振り、苦笑を浮かべる。

「責任か。お前に取らせるなら、俺が取るよ。それも仕事のうちだ」

「へぇ。社長……あんた少しだけ、いい男だね。見直したよ」

どういう意味だ、と社長の苦笑は深くなった。

理沙子ゆっこ

EXタッグでの理沙子との手合わせで手応えを感じ、単身殴りこんだ祐希子。その彼女に、新女は期待通りのカードで応じた。

“女王”パンサー理沙子 VS マイティ祐希子。
ノンタイトル戦ではあったが、祐希子にとっては待ちに待った、理沙子との直接対決である。

「ようやく……この日が来たんだ。期待は裏切らないからね!」

「勝ち負けより大切なことがあるのよ。それを……教えてあげる!」

世代は違えど互いに認め合う二人の戦いは、双方ともに激しくぶつかり合い、互いにニアフォールを繰り返す熱戦となった。

最後は二連続のフェイスクラッシャーで勝利こそ祐希子のものとなったが、理沙子の戦いぶりに、まだまだ底知れない実力を感じる祐希子だった。 *3

「いい試合だったわ。またやりましょう。……今度はベルトでも賭けて、ね?」




小鳩

「頑張ってくださいね、森嶋せ・ん・ぱ・い。いひ♪」

「…あなた、調子が狂うわね…」

2月。
前月にスレイヤー・レスリングへ入ったばかりの新人・メロディ小鳩に見送られて、森嶋亜里沙は、自身初のタイトルマッチに臨んだ。 *4

WWPA

「お姉さんに投げ飛ばれたい人は、だーれ〜?」

先輩・石川涼美の持つ、WWPAヘビー級王座への挑戦。
先輩とは言え、最近の対戦ではほぼ互角の戦績を残している相手ということもあって、森嶋は必勝の決意で試合に臨んだが、結果は敗北。

しかも、最後は石川が苦し紛れに放ったエルボーで決まるという、森嶋にとっては悔しいばかりの負け方だった。 *5

「…少し、気分を換えたいわ…」 *6

翌月、ワールド女子に一時参戦した森嶋は、全五戦中の四戦め、予想もしていなかったカードでメイン戦に抜擢される。 *7

不動にして無敵、至高のIWWF世界王者、クリス・モーガンとのシングルマッチ。
ETC

当然ノンタイトルであるが、森嶋にとっては世界の頂点を肌で感じられる絶好の機会。
勝てるはずもないが、戦いの中で何かを掴めれば──などと思うほど、森嶋は殊勝でも弱気でもなかった。

《森嶋、この試合二度目のSSDぃっ!! 世界の至宝、絶対王者、このワールド女子でも無敗を誇るクリス・モーガンに、デビューから二年半の若手が互角の戦いを……いや、押しているといっていいでしょう! 森嶋亜里沙、まさかの金星なるかあ!?》

しかし、最後の最後で、地力の差が出る。
バックドロップ、ニーリフト、パイルドライバー──カウント2.8、ロープブレイク、と凌いでいた森嶋もラッシュの三段目でついに力尽き、終わってみればわずか16分での順当な決着となってしまった。 *8

「…悔しいわ。とても…」

善戦に対する拍手になど満足せず、失意のまま本拠地・神戸に戻った森嶋を迎えたのは、メロディ小鳩だった。

「どうしたんですか? 顔が暗いですよ〜、森嶋せ・ん・ぱ・い。いひ♪」

「…あなた、本当に調子が狂うわね…」




カオス

「恐怖と絶望を与えてやろう……」

2月、ついにWRERAのリングに、混沌たる黒き華が降臨した。

クリス・モーガンとは世界の双璧とされる、WWCA世界無差別級王者、ダークスターカオス。 *9

ジュディ・コーディとともに来日したカオスは、早速、六角&市ヶ谷組の持つAACタッグベルト挑戦を要求。WRERAに新たな緊張をもたらした。

「フッフッフ……久しぶりだな、ハヅキ。悪いが、ベルトはいただくぞ」

「やれやれ。これからは、楽させてもらえないっぽいねぇ」

AAC-T

葉月にとって、カオスはアメリカ時代に同じ釜の飯を食べ、鎬を削りあった選手。懐かしいという感情ももちろんあったが、思い出に浸っていて勝てる相手ではなかった。

「とんだバケモンになってくれたもんだよ……!」

底知れぬ体力と一撃必殺のパワーを持つカオスは、葉月と市ヶ谷の二人がかりでも止まらない。市ヶ谷必殺のビューティボムも、カオスの肩をカウント2つまでしかマットに付けていられない。

「くうっ……それなら、弱いところを攻めるだけですわ!」

タッチしたジュディ・コーディに襲いかかる市ヶ谷。コーディは弱いどころか世界屈指のレスラーだが、葉月と市ヶ谷にとってカオスよりはくみし易い相手。

王者組は連携を取ってカオスへのタッチを許さず、コーディのお株を奪う市ヶ谷のパワースラムで、25分間の戦いにピリオドを打った。 *10

市ヶ谷

「ふう。カオスとやら、なかなかおやりになりますわね。──私の野望の第一段階には、そこそこ相応しい相手ですわ」

試合後、マイクを手に取った市ヶ谷が、その美しい人差し指をカオスに突きつけた。
席を立ち始めていた観客が、何事かとリングに注目する中で……

「この私の才能と実力は、到底AAC世界ヘビーという一つのベルトに収まるものではありませんの。……ダークスターカオス! あなたのWWCA世界無差別級ベルトを皮切りに、このビューティ市ヶ谷が世界王座を独占し、統一してさしあげますわ!」

突然のカオスへの挑戦状。
それどころか、大胆にも『世界王座統一構想』までぶちあげた市ヶ谷に、観客はどよめき、続いて割れんばかりの大歓声──ではなく大ブーイングを浴びせかけた。 *11

『一対一じゃ手も足も出なかったくせに、何言ってんだ!』だの『実力不足なんだよ!』だの『大口もそこまで行くと見苦しいぜ!』だの罵声が飛び交う中で、当の市ヶ谷は涼しい顔をして、トレードマークの高笑いを披露した。

「オーッホッホッホ! 燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや! このリングの女神・ビューティ市ヶ谷伝説の始まりを、しかとその目に焼き付けなさい!」 *12




*11年目からちゃんと読んでくれている人にはしつこい話ですが、入団時にゆっこは理沙子と因縁ありの妄想設定です。
良かったら妄想補完その1をよろしくです。
*21月のWRERAは、ゆっこの新女殴りこみの他、市ヶ谷のAAC海外防衛、市ヶ谷ミステリー映画(お断り)、桜井写真集(お断り)、愛知県にグッズショップ開店、がありました。
*322分06秒、フェイスクラッシャーで祐希子の勝利。最後はどちらも体力ゲージがほぼゼロの熱戦でした。
できれば、タイトルマッチにしてほしかったですけどねえ。 > 新女
*41月、スレイヤーはスカウトで小鳩を獲得してます。初期HP90は過去最低値。しばらくは試合に出せませんな。
1月のスレイヤーは、化粧品スポンサー(森嶋)、石川伝記映画(お断り)、石川プライベートイベントその2、もありました。
また、GWAタッグ王座戦では、上原&龍子組が関節女王タッグのハン&フレイア組を下して、6度目の防衛を果たしてます。
*528分26秒、エルボー(難易度3)で石川の勝利。
石川と森嶋は、この時点で評価値がほぼ互角。また、同じパワータイプ(ともに攻C、防A)ということもあって、運と操作の腕が勝敗を決める組み合わせです。
*62月のスレイヤーでは、龍子のEWA初防衛戦(ナスターシャ・ハン相手に12分47秒、ギロチンドロップで勝利)、上原のスレイヤー無差別級防衛戦(フレイア鏡相手に16分52秒、ラ・マヒストラルで勝利)、ジムをLv4に、フレイアプライベートイベントその2もありました。チョコは石川、桜崎、真田の三人です。
*7一時期、集客に苦労し ていたワールドですが、3年目後半に入ってからは、IWWF提携、山本獲得、寿獲得、など活発に動いてます。
*8実に評価値差は約350。それを覆してモーガンの体力を20%まで持っていっただけでも、森嶋の戦いぶりは評価に値します。
なお、森嶋の必殺技は公式設定(ダイヤモンドカッター)を無視して (というか意識せず) 難易度9のSSDです。
*9ようやく団体評価10000到達で、WRERAにもカオスが登場。1360の評価値とそれ以上にも感じられる実力に、まともに抗せるのはまだ六角くらい。逆に言えば、六角にとってはハリのある相手の登場です。
*1026分14秒、パワースラムで王者組勝利。コーディの必殺技は、旧作の「コーディボム」が印象深いですが、今作ではパワースラムの「コーディクラッシュ」。
…どうせ、COMは使ってきませんけど。
*11とりあえず言わせてみました「世界王者統一」宣言
V3」ではそうするだけの実力は十分備えていた市ヶ谷ですが、こちらではまだそこまで強くないです。このゲームでは「世界王座」も三つじゃすまないし…ええ、実は行き当たりばったりです。
*122月のWRERAは、堀のAACジュニア7度目の防衛(VSエミリー・ネルソン)、家電スポンサー(六角)、市ヶ谷FC、六角FC、市ヶ谷SF映画(お断り)、堀のプライベートイベント、堀のフィッシャーマンズバスター(難易度9)取得、がありました。チョコは、ゆっこ、六角、越後からもらってます。
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