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1年目3rdQ (10〜12月)

《目次っぽいもの》
魅惑の銀狼[SL]スランプ[WR]師走:スレイヤー[SL]師走:WRERA[WR]プロレス大賞結果注釈?



旗揚げから数ヶ月で、3000席を誇る姫路シーサイドドームを札止めにしたことでも分かるように、地元・兵庫県におけるスレイヤー・レスリングの人気はひときわ高いものがあった。

その人気に目をつけた地元ケーブルTV局が放送契約を打診してくるのは、むしろ当然とさえ言える流れであったが、その話には一つの要望が付随していた。

フレイア

「イメージソング……ですの?」

「そうよ。先方のたっての希望で、フレイア鏡、つまりあなたに番組のイメージソングを歌ってもらいたいの。先日の学園祭イベントでの件が耳に入ったみたいね」 *1

「あら……」

社長秘書・井上の言葉に、フレイア鏡はひそやかに、しかし妖しく微笑んだ。

地元大学の学園祭に呼ばれた鏡は、その妖艶な美貌で男子学生たちを虜にしただけではなく、アドリブ的にステージで披露した歌声で老若男女の別なく観客を魅了、熱狂させ、パニック寸前にまで至らしめたのだった。 *2

「反響次第では、即CD化も考えています。率直なところ、利益が出るようなら、あなたの来期の年俸にも相当の色が付くと思うわよ」

「ウフフッ。お金ももちろん欲しいですけど、一つ条件を付けてよろしいかしら?」

「……条件?」

「CDにする場合、カップリングは社長と私とのデュエットソングにしてもらうこと、ですわ。フフ、どう思います? 井上さん?」

「どう思うって……」

「個人的に、でよろしいのよ?」

心なしか挑戦的にも思える鏡の口調と目つきに、井上は形の良い眉をひそめた。
その表情にどこまで個人的感情が含まれているかは、自分でもわからなかったが、団体の経営に携わる身として、井上にはどうしても言っておかなければいけないことがあった。

「個人的かどうかはともかく、OKは出せない話ね。たとえ社長が乗り気になられても」

「あら。どうしてですの?」

「社長はね……とてつもない音痴なのよ……」

その表情に、冗談やはぐらかしではない真剣さを感じ取り、鏡も思わず口をつぐんだ── *3




10月には、何とか1000人規模の会場を埋めることができるようになった WRERA。 *4
まだまだ油断できない経営状況ではあったが、社長や霧子の庇護の下、選手たちは延び延びと練習や試合に打ち込むことができていた。 *5

「はあぁぁ……」 来島

「……なに、わかりやすい溜息ついてんだよ、祐希子。調子悪いのか?」

「あ、恵理。そうなの。スランプなのよ」

「スランプねえ。そーいや、葉月さんも『いつにもましてやる気が出ないねぇ』って、ボヤいてたな。二人でやってた特訓、失敗したのかよ?」

先月の巡業で、祐希子はライバル・市ヶ谷相手に連敗。しかもボコボコにされたとあって、祐希子は葉月に弟子入りを志願した。葉月も「いい暇つぶしに……じゃなかった、可愛い後輩の頼みだし」と言ってそれを快諾し、ここしばらく、祐希子は真面目に、葉月もそれなりに、毎日特訓に励んでいたという経緯があった。 *6

「ううん。特訓は成功だったわよ。おかげで、あたしも少しは強くなれたと思う」

「それにしちゃ、浮かない顔だな」

「今朝ね……カレーが 3杯しか食べられなかったのよ」

「……そっちのスランプかよ。まあ、お前が 3杯ってのは異常事態だな。何があった?」

「特訓は、昨日で最後だったの。で、葉月さんが打ち上げってことで、食べ放題のジンギスカンに連れてってくれたんだ」

どうも話が妙な方角へ向かっている気もしたが、来島は黙って先を聞くことにした。

「そしたらそこに、巡業明けの新女の選手がいてね。ソニックキャットって新人なんだけど、この子も特訓明けだとかで、それはもう凄いくらいに食べるのよ」 *7

「…………」

「でね、あたしも葉月さんも張り合っちゃって、ついでにその子とも意気投合しちゃって止まらなくなっちゃって。葉月さんなんか、カパカパお酒も空けちゃうし、結局明け方まで……あれ? 恵理、なによそれ?」

「胃腸薬。葉月さんにも渡しといてくれ……」




EXタッグリーグ。
業界最大手の新日本女子が、毎年暮れに団体の垣根を越えて開催する、伝統ある最強タッグ決定戦。
通常、設立間もない団体では出られない──招待はされても、選手を貸し出す余裕も、上位を狙う実力も無い──コンベンションだが、進境著しいスレイヤー・レスリングはそれなりの勝算を持った上で、初年度から参加を表明した。 *8
しかし──

「EXタッグが中止、ですか?」 龍子

「中止って、どういうことだよ。社長!?」

EXタッグリーグに参加するはずのところを呼び戻した両選手、ブレード上原とサンダー龍子に詰め寄られ、社長は大仰に肩をすくめてみせた。大部分はポーズだが、若干は本心も混ざっている。

「先方の都合だ、仕方ないだろう。新女さんと海外団体との提携交渉が難航しているせいか、今年はチーム数が十分に揃わなかったようでね」 *9

「それにしたって、こんな急に……」

龍子にとっては、自分がどれだけ強くなったかを試す良い機会がいきなり失われたのだ。簡単に納得のできるものではなかった。
そんなパートナーを横目で見ながら、上原は比較的冷静に言葉を発した。慰めるような口調だ。

「残念だけど仕方ないさ、龍子。私も、久しぶりに理沙子とやり合いたかったけどね」

「上原さん……」

「でも、社長。だとすると今月はどうするんですか? 私たちが抜けることもあって、巡業予定は無しにされたはずですが」

「……それなんだがね」

社長はどこか複雑な表情を浮かべながら、デスクの引き出しから出したものを二人に渡した。航空機のチケットだ。
海外遠征でもさせられるのかと中を見て、二人は同時に驚いた。南半球の有名リゾート地へのチケット。しかも──

「実は、鏡くん、RIKKAくん、石川くんの三人に説得されてね。急遽全員でバカンスに行くことになった」 *10

しかも、出発日は今日。わずか数時間後だった。

「と、いうわけだ。二人とも、急いで荷物をまとめてくれ。ああ、二人の水着はもう石川くんが選んで買ってあるそうだから、好みでなければ彼女に文句を言ってくれたまえ。それでは、三時間後に集合だ。遅れないようにな」




ミスティvs堀

《さあ、満員の一宮文化体育館、いよいよAAC世界ジュニアのベルトを賭けたタイトルマッチの時間がやってまいりました!》

12月。WRERA女子プロレスの愛知巡業において、団体初のタイトルマッチが行なわれようとしていた。 *11
AAC世界ジュニア、チャンピオンのマスクド・ミスティに対するは、デビューからまだ半年のテディキャット堀。

まだまだ未熟かつ稚拙な堀は、序盤こそ経験豊かな相手に圧倒されるが、同期の仲間たちとしっかりと積んできた基礎鍛錬の成果が出て、徐々に優位に立っていき…… *12

《タイトル奪取っ! テディキャット堀、初挑戦でチャンピオンです! 11分22秒、トベ・リベルサで、マスクド・ミスティから3カウントを奪いましたあ!》

「……やった。やったにゃん! ゆっこ、来島ちゃん、麗華ちゃん、葉月さん……私、チャンピオンになっちゃったよ!」

「おめでとー! 寮長、あんた、大したもんよね!」 *13

「よくやったぜ、寮長! くぅー、先越されちまったなあ!」

祐希子や来島らの作る祝福の輪に、一人、市ヶ谷だけは加わらないままでいた。それに気付いた堀は、たたずむ市ヶ谷の元に駆け寄って、奪ったばかりのベルトを見せる。 *14

「えへ。麗華ちゃん、ベルト取れたよ。麗華ちゃんが鍛えてくれたおかげだね」

「……皮肉ですの? 私は、あなたの練習にお付き合いなどしていませんわ」

「試合で鍛えてくれたでしょ。麗華ちゃんの凄いパワーに慣れてたから、今日だって何とか逆転できたんだよ」

「……ふんっ。まあ、勝手に感謝する分にはかまいませんけど、所詮はジュニアのタイトル、名前の通りのお子様ベルト。そんなもので満足しているようでは、お里が知れますわね! オーッホッホッホ!」

「うん。ありがとね、麗華ちゃん!」

「あなた……少しは人の話をお聞きなさいなっ」

あんたに言われたくない、とその光景を見ていた全員がツッコミたくなったが、誰も口には出せずじまいに終わったという……




この年のプロレス大賞受賞者は、以下の通り。 *15

ベストバウト:ジュニアコリィ・スナイパー VS ダイナマイト・リン
ベストバウト:タッグブレード上原、サンダー龍子
 VS バニー・ボンバー、ファントムローズ1号
ベストバウト:シングルブレード上原 VS バニー・ボンバー
最優秀新人サンダー龍子
最優秀外国人ダークスターカオス
最優秀選手ブレード上原

外国人選手を除けば、ブレード上原とサンダー龍子が独占。 *16
事実上、スレイヤー・レスリングが独占したと言っても良い結果が示す通り、この年の日本女子プロレス界はスレイヤー・レスリングを中心に回った、と称しても過言ではなかった。




*110月、フレイア学園祭お呼ばれ&フレイアCD収録&ケーブルTV契約。CDは「かなり」ヒット。
他には、石川FC設立もありました。フレイアは11月に写真集(結果は「それなり」)もあり、人気うなぎのぼり
*2歌唱力持ちではないフレイアですが、まあ、何か魅惑の術でも使ったということで。
*3スレイヤー・レスリング社長の特殊スキルは、「音痴」「演技力」「人脈」あたりでしょうか。
*4営業とかフルにやっちゃうと赤字です。六角効果はさほど劇的ではなく。獲得するまで意識しませんでしたが「地味」持ちなのが結構痛いかも?
*510月には堀の一日署長と市ヶ谷の写真集打診があるも、練習優先でお断り。11月はゆっこのミステリー映画とケーブルTVの打診。前者は当然のごとくお断り。
*610月に六角とゆっこを特訓したところ、11月には二人揃ってスランプになりました。
*7大食いのソニックは新女所属。10月に特訓はしてましたが、新女が北海道巡業してたかどうかはてきとーです。
*8過去二回のプレイでは、いずれも初年度は不参加。今回も、WRERAは早々に不参加を決定してます。
上原&龍子タッグなら、理沙子組や外国人組に負けても、3位以内はいけると思ったんですが…
*91年目は絶対に開催されないという仕様もしくはバグでなければ、やはりチーム数不足でしょうか。ただ、何のメッセージもなく中止になるのはいただけません。
*101年目バカンス(12月)も、過去二回のプレイでは未体験のお初です。WRERAと違って、150APがポンと出せるスレイヤー。
好感度不足で誰も出てこないバカンスになるかと思いましたが、上原さんが出てきてくれました。
*11実際には、外国人同士のAACジュニアタイトル戦はやっちゃってました。
なお、この試合の集客は2800/3000。1500すら埋まるかどうかのWRERAでは、この時点での最高記録。
*12技はなかなか決まらないものの、堀は一撃が大きい。てゆーか、ミスティは体力無さすぎ。
しかし、評価値500台vs400台の世界タイトルマッチというのは少し悲しいものが…
*13「V1」などのイメージから、堀はみんなに「寮長」と呼ばれてるという妄想設定です。
*14市ヶ谷の「唯我独尊」効果 (全員の信頼度下降大。人徳と相殺) と、堀の「人徳」効果 (全員の信頼度下降小。唯我独尊と相殺) に気付いたのはこの頃。ちょっとした名コンビかも。…というか、迷った末に堀を獲得しておいて良かった。
*15その他の12月イベントは、WRERAが六角FC。スレイヤーがフレイアFC、石川CD(結果は「すごい」大ヒット)、上原の一日署長。
*16龍子さんの新人賞 (新人というのに違和感あるけど) はともかく、上原さんのMVPには驚き。評価&人気のトータルで初年度から理沙子さんを上回れるとは思わなかったです。
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