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1年目2ndQ (7〜9月)

《目次っぽいもの》
有り難迷惑[WR]好事魔多し[SL]三顧の礼[WR]同情するなら[WR]注釈?



スレイヤー・レスリングの旗揚げ成功が大々的に報じられた、7月。 *1
WRERA女子プロレスの社長秘書・霧子は、どうしてもその成功と、自分たちの置かれた立場とを比べずにはいられなかった。

「あ、社長。北条選手と小鳥遊選手との交渉はいかが……はい、はい。そうですか……」

携帯電話の向こうから社長が伝えてくる内容に、霧子の表情はみるみる曇っていく。
ロイヤル北条選手がワールド女子を、ガルム小鳥遊選手が日本海女子を選んだという話は、これで、名のあるフリー選手が国内には一人もいなくなったことを意味していた。 *2

「では、やはりアメリカに……はい。わかりました、こちらは任せてください。くれぐれも、お気をつけて……」

交渉が不首尾に終わった場合のシナリオ通り、社長は単身海外に飛び、海外団体や外国人選手との提携を取り付けることで、旗揚げに必要な選手を揃える予定だった。
もっとも、実績ある日本人レスラー無しでは、後が続かない。集客・営業・新人育成のいずれでも大きなハンデを背負うことになる。
それを知るからこそ、社長は、アメリカを主戦場とする“最後の大物日本人”・六角葉月の獲得交渉に全力を投じるつもりだったのだが……

「ともかく、旗揚げはまた先に延びそうね……」

「オーッホッホッホ! そのようなことは私が許しませんわ!」

「い、市ヶ谷さん! あなた、どうしてここに? 旗揚げまでは埼玉に残るって……!?」 *3 市ヶ谷

「愚問ですわね、霧子さん。社長がグズグズと私のデビューを延ばすものですから、私自らこの貧乏暇なし団体に救いの手を差し伸べんと、こーんな北の果てのド田舎まで来てさしあげたのですわ!」

「ド田舎って、札幌はさいたま市より人口多いわよ」 *4

「おだまり、祐希子っ!」


突然割り込んだ祐希子の茶々でしばらく話は中断したが、落ち着いたところで市ヶ谷は霧子たちに「救いの手」を披露した。
市ヶ谷の号令に応じて部屋に入ってきたのは、メキシコはAACの若手ルチャ・ドーラ 3名だった。 *5

「あ、あの、市ヶ谷さん? あなたまさか、AACと契約を!? AACのフロントは何て? ビザも大丈夫なの?」

「はあ? なんですの、それ? そういうややこしいことは会社の方でやっていただきたいですわね。私はただ、選手が足りないというから連れてきただけですわ」

「な……なんですってぇぇぇっ!?」

「オーッホッホッホッホ! 全ては私のグローバルなアイデアと、ワールドワイドな行動力の勝利! これで社長も、私に大感謝ですわね!」


その後。
飛び先を急遽メキシコへと変更した社長がAACに平謝りの上で提携契約を取り付けたことで、話は何とか誘拐事件にならずに済んだ。
準備不足ながら前倒しせざるを得なくなった旗揚げ興行も、満員とはいかなかったがかろうじて収支は黒字発進。 *6
ただし、帰国せずアメリカへと渡った社長は旗揚げに立ち会うことができず、一人異国で涙を流したという…… *7




森嶋

「…よろしく…」


旗揚げ興行の成功にも驕ることなく、スレイヤー・レスリングは、“海賊王女(Princesa del Pirata)”・森嶋亜里沙を獲得。翌月にはGWAへと留学させ、森嶋の成長とGWAとのパイプ強化の一石二鳥を狙った。 *8

しかし、順調な足取りの前には、一つの落とし穴が待ち構えていた。

「会場の予約ミス……だと! どういうことだ、井上くん?」

「はい、社長。営業担当者のミスで、誤って15,000席の会場を押さえてしまったようです。すでにキャンセルも間に合わず……大赤字です」 *9

「……当日まで気付かんとは、何たる杜撰(ずさん)なチェック体制だ。根本的に見直す必要があるな」 *10

「すでに運用体制変更の素案は出来ております。後で目を通していただければと」

「君に任せる。ただ、今回の件の責任者は閑職に回し、頃合いを見て首を斬れ」

「当然ですね」




思わぬ損害は出したものの、スレイヤー・レスリングの磐石な経営基盤は揺るがない。 *11
次シリーズでも2000人規模の会場を満員・札止めにする安定感を見せ付けた。

他方、一月遅れで旗揚げしたWRERA女子プロレスは、有望な新人は揃うものの、それだけでは思うように客を集めることができず、単月の黒字が出ない。

団体存続のためにも新人育成のためにも、団体の柱となってくれる人材が必要だ。アメリカに飛んだ社長は、幻のレスリング五輪代表・六角葉月の獲得に団体の命運を賭け、文字通りの三顧の礼で臨んだ。 *12

「お? やれやれ。また来たのかい、社長さん」

「はい。何度でも来ますよ。我々にはあなたが必要なんです」

「う〜ん、そう何度も来られてもねぇ」

「そこをなんとか! お願いします」

放っておけば土下座どころか切腹でもしそうな勢いだ。それはそれで見てみたい気もしたが、葉月はそこまで非情にも悪趣味にもなれなかった。 六角

「はぁ。私も甘いかねえ」

「え?」

「ま、いっか。なるようになんでしょ。受けるよ、その話」

「本当ですか!?」

「そうと決まれば、あそこの高そうなメシ屋で打ち合わせでもしましょっか? もち、社長の奢りでね」 *13




待望の実力派レスラーを引き入れた WRERA。
社長は満足顔で帰国したが、それを迎えた霧子の表情は決して明るいものではなかった。

「社長」

「……なんだい?」

「お金がありません」

「……そうか」

「そうか、で済ませないでくださいっ」

霧子は、プリンタから出したばかりの収支報告書を突きつけた。かろうじて黒字だが、葉月の獲得にそれなりの額が必要になったこともあって、キャッシュフローが極めて心もとない。

「ここの数字、見えますか?」

「……50、だね」 *14

「ええ。これがうちに残された現金です。危うく黒字倒産するところだったんですよっ」

成功しているスレイヤー・レスリングを引き合いに出し、選手に来るイベントや出版物の依頼を積極的に受けて、経営の助けとすることを進言する霧子。 *15
しかし社長は、プロレスが人気商売であることは承知しながら、それでも首を縦には振らなかった。新人選手にとって何よりも大事な練習時間を奪うことを、彼はよしとはしなかったのだ。

「一年。一年だ。デビューから一年経つまでは、芸能人の真似事のようなことはさせたくない。その間、実力を磨いてもらう方が、選手たちだけでなく団体のためにもなるんだよ、霧子くん」 *16

「わかりました。そこまでおっしゃるのなら、信じてついていきますわ。ですが……」

「ですが……?」

「選手たちや私の給料を払えない、とか言い出したら、即刻辞めさせてもらいますからっ」




*1良かったら、妄想補完その3 もどうぞ。
7月は、ゆっこと市ヶ谷のFCが。来島の署長と市ヶ谷の写真集依頼もありましたが、断りました。WRERAは練習優先の方針なのです。
*2獲得リストに出てこない六角さん狙いをやめようかとも思いましたが、この時点ですでにフリー選手枠が空っぽに。本気で頭を抱えました。
*3市ヶ谷は札幌の選手寮には入らず、普段は埼玉の豪邸で生活→必要な時だけ札幌に来る、という妄想設定です。妄想なので、選手宿舎の人数には当然カウントされます。
*4確認のためにGoogle検索したら「札幌市とさいたま市ってどっちが都会なんだろう?」なんて2chのスレが…
*5もちろん、実際にはAAC提携の結果です。初回来日はシウバ、エレナ、マスクド・ミスティ。
また、海外フリーのグレース・ハンとも提携。
*61000人会場で何とか700。いきなり1500を埋めたスレイヤーとは雲泥の差…
*7「3」などと違い、市ヶ谷所属団体でも旗揚げメッセージは変わらない模様。ちぇっ。
*87月、新人テストで森嶋を獲得。この月は上原のFC設立&CMも。8月には森嶋を海外遠征に。RIKKA、フレイアのFCも設立。
*98月に、本当にやっちゃいました。埋まるはずもなく(2200席)、マイナス145APの大赤字
*10そーゆー問題ではなく、普通はありえませんけど。ま、ゲームですから。
*11社長のスキル:経営術&財力も、結構効いてる感じです。
*12市ヶ谷の「財力」で何とか収支はプラスも、無ければ赤字続きの状態。葉月さん獲得は本気で賭けでした。
実際に三回も移籍交渉したわけではありませんけど。
*138月、営業活動&サイン会で団体評価をブーストして登場条件の5000まで届かせ、フリーの六角を獲得。評価値1020は、外国人入れてもWRERAでは無敵状態。
*14葉月さん獲得直後、残りAPは50でした。マイナスになっても即倒産はしないシステムですが…
*159月、スレイヤーでは上原が写真集を発売。結果は「それなり」でしたが、序盤の75APと人気アップは大きいです。
*16正直、そんなにこだわるほど、イベントの1つや2つで成長に差は出ないんですけどね。
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